消費者金融業者などの金融機関から複数の借入によって、多重債務者となってしまった人や、単純に収入が少なくなり、借金苦に陥った結果、生活が苦しくなる人もいらっしゃいます。
この様な場合には、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して、債務整理の手続きをすることが考えられます。任意整理や個人再生(民事再生)を申立てることによって、借金の負担を軽減することが可能で、取立てもストップするメリットもあります。
そんな中でも自己破産は、借金が帳消しになるということで、再生を後押ししてくれる方法ですが、問題点はないのでしょうか?この記事では、自己破産のデメリットについて解説します。
自己破産する前に知っておくべき5つのデメリット
自己破産は有効な方法ではありますが、申立人本人がその内容を把握してから債務整理手続きをしないと、知らなかったでは済まされない事態になる可能性があります。
そこで、自己破産する前に知っておくべきデメリットを5つ紹介します。
1.信用情報にキズが付く
金融取引の情報は、信用情報機関に登録されています。もしも遅延や延滞、債務整理などの金融事故を起こした場合には、事故情報として最大10年の間、信用情報ブラックとなってしまいます。
その結果、家を買う時に住宅ローンを組めなかったり、自動車ローンも組むことができなくなります。クレジットカードもその対象で、カードを発行することができなくなります。
今後の金融取引に支障が出るというデメリットがあるのです。
2.官報に破産情報が載る
自己破産をすると、他の人に知られる可能性があります。債権者や裁判所関係者に知られる可能性があるほか、官報という国の機関紙に情報が掲載されるので、それを見た人に破産したことが分かってしまう恐れがあるのです。
ただし、法律関連の仕事に就く一部の人しか見ていないため、人に知られる可能性は限定的ともいえます。
3.連帯保証人に迷惑がかかる
連帯保証人がいる場合に自己破産をすると、連帯保証人に迷惑がかかります。
連帯保証人は破産者の借金を肩代わりしなければならないため、場合によっては許可の上で、一緒に自己破産をするケースもあります。
連帯保証人は家族がなっている場合も多いので、大切な家族に迷惑をかけてしまう可能性に配慮が必要です。
4.財産が処分される
自己破産をすると、借金はリセットされますが、財産もリセットされます。つまり、高額な財産は処分しなければならないのです。高額な財産とは、
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える預貯金
- 保険の返戻金や不動産
- 自動車
などがあげられます。
5.職業が制限される
自己破産をすると、破産手続き中は職業資格に制限が生じます。たとえば、弁護士や司法書士、税理士のほか、行政書士や警備員などが制限されます。
ただ、自己破産手続き無事に終わると、制限されていた職業に就くことは可能となります。
自己破産自体ができないケースとは?
自己破産をするつもりでいたとしても、自己破産自体ができない可能性もあります。
では、自己破産できない場合とはどのような時のことなのでしょうか?いざという時に慌てなくて済むように、あらかじめ把握しておきましょう。
支払い可能である場合
自己破産はどうしても借金を返すことができない場合の最終手段です。前提条件として「支払い不能である」というのが付いています。そのため、裁判所で支払い不能であることを認めてもらう必要があるのです。
逆にいうと、返済できる可能性がある場合には、自己破産することはできません。今まで通り返済して行くか、それが厳しい場合には他の債務整理の方法をとる必要があります。
関連記事
免責不許可事由がある
免責不許可事由とは、たとえば過去に自己破産をしているとか、自己破産する前に詐欺行為を行った場合などを指します。
これらの場合には、自己破産の手続きをしたとしても、借金は返済しなければなりません。
ちなみに、過去に自己破産をしている場合とは、過去7年以内という期間が設定されていますので、あわせて知っておきましょう。
自己破産したら出来ること出来ないこと
自己破産をすると、上記5つのデメリットで紹介したような制限が付きます。では、さらに具体的に、自己破産後に出来ることと出来ないことを紹介したいと思います。
新規借入はできる?
新規借り入れは出来ません。これは上記にて信用情報ブラックとなるからだと紹介させていただいた通りです。信用情報から履歴が消えるまでの間は全ての借入が不可となります。
盲点となりがちなのが、携帯電話の機種変更やETCカードの新規発行です。これらも借入と同じ性質があるため、基本的にはNGとなります。
引っ越しはできる?
自己破産をしたとしても、手続きが終了してからであれば引っ越しは可能です。ただし、手続き中は引っ越しが制限される場合があります。それは、管財事件となった時に制限があります。
自己破産は、財産がない人のための同時廃止と、財産がある人の場合の管財事件があります。
同時廃止の場合は手続き中でも引っ越しは可能ですが、管財事件の場合は裁判所の許可が必要となることがあります。
海外旅行はできる?
海外旅行も制限される場合があります。海外旅行も引っ越しと同様に、同時廃止となった場合には、手続き終了後だけでなく、手続き中でも海外旅行に出かけることは可能です。
一方、管財事件になった場合には、手続き中は制限される可能性があります。どうしても海外に行く必要がある場合には、裁判所の許可があれば行くことができます。
信用情報ブラック期間終了後の借入はできる?
自己破産をすると、最大10年は信用情報に履歴が残ると紹介しました。では、10年経てばすぐに借入は可能なのでしょうか?結論からいうと可能ではありますが、不利となります。
なぜなら、信用情報ブラックとなっている間は、金融取引ができないため、その間は一切の記録がない状態となります(スーパーホワイト)。
融資する側の立場で考えると、金融事故を起こした可能性が疑われるため、融資に慎重になるのです。
就職はできる?
就職は問題なく可能です。手続き期間中の職業の制限を除いて、他の仕事で不利になることもありません。自己破産の経験を採用先の会社に知られることもありませんので、安心して就職活動を行うことが可能です。
また、自己破産をすると公務員になれないと誤解している人がいらっしゃるようですが、公務員にも問題なくなることは可能です。
賃貸契約はできる?
自己破産をしていても、賃貸契約は可能です。そもそもこれができなければ、住宅を手放した場合に住むところがなくなってしまいます。賃貸契約では信用情報を調査されることはありません。
賃貸の審査があったとしても、年収要件などのチェックがある程度なので、自己破産自体とは無関係なのです。
まとめ
自己破産は借金苦に陥った時の最終手段です。これまで借金の悩みから抜け出せなかった人にとって希望の光でもあるでしょう。
しかし、自己破産をすると、さまざまなデメリットがありますので、デメリットの内容もしっかりと把握してから手続きを行う必要があります。手続きをしてから後悔が無いように、弁護士事務所や司法書士事務所など専門家へ相談することをおすすめします。
弁護士法人サンク総合法律事務所では24時間、借金に関する無料相談を受け付けています。全国対応で相談料無料・初期費用も¥0なので安心して相談できます。
デメリットを想定した上での自己破産であれば、自分自身を前向きに再生へと導くことができるでしょう。借金の悩みからキッチリとした形で抜け出しましょう。