少し前の話ですが上戸彩さんが出産しましたね。1987年生まれの私はリアルタイムで彼女の芸能活動を見続けてきたので、このニュースには時の流れを感じます。
そこで、近年上戸彩さんが出演したドラマで一番ヒットした『半沢直樹』を観たのですが、第一部の融資事故5億円、第二部の融資事故100億円以上の事件があることを思い出しました。
今回は、私が子どもの頃に起きた北海道拓殖銀行(拓銀)の破たんについて考えてみたいと思います。
半沢直樹も真っ青!?なんと2兆円の融資事故
ドラマ『半沢直樹』では、第一部(第1話~第5話)で5億円の融資事故がクローズアップされ、最終的に12億円を回収していました。「現実に5億円の融資事故が起きたら、ドラマのように銀行全体が責任のなすりつけ合いになって、現場責任者が左遷させられて終わるよな……」と思っていましたが、事実は小説よりも奇なり。もっと大きな事件が現実の日本社会では起こっていました。それが、拓銀破たんです。
拓銀が潰れたときに抱えていた不良債権化した金額は、なんと2兆3433億円だったそうです。もし、この金額を半沢直樹が回収しようとすると9,763話かかります。「『半沢直樹』を見ないと日曜日が終わらない」と言われていましたが、187年くらいは放送できるので、視聴者の方は安心して日曜日を終えることができると思います。
不良債権の原因はバブル崩壊
拓銀破たんの概要を説明すると、バブル景気中、土地を担保にどんどん融資をしたため、巨大な不良債権を抱えてしまったことに起因しています。拓銀の拡大路線は、バブル崩壊による不動産の値下がりとともに終焉を迎えました。
破たん直前、拓銀の株価は100円にも満たない金額になってしまいました。不動産担保融資の焦げ付きもおよそ1兆円に上ったため、「拓銀が存在する限り、日本経済は回復しない」と言われていたそうです。
それでも、当時の大蔵省は他の金融機関から融資をさせ、どうにか拓銀を再建しようと考えていたと言います。護送船団方式と呼ばれる銀行経営が行われていました。「銀行は潰れてはならない」という状況です。
しかし、不良債権を1兆円抱える銀行は「もはや潰れたも同然」でした。
ついにXデーが訪れ……
1997年11月14日、ジャパンプレミアム(日本の銀行の金利が欧米の銀行よりも高くなる現象)が発生します。つまり、金利を引き上げることで資金調達をしようとしたのです。
同日、東京の平均株価はおよそ2年半ぶりに15,000円を割り込み、海外からも日本金融に関する懸念を表明する声が挙がりました。それだけ、日本経済に対する信頼が失墜していたのです。
そして、Xデーである11月17日。北洋銀行に支店を譲渡することが決まり、およそ100年にわたる拓銀の歴史は事実上幕を閉じることになったのです。1998年11月10日に引き継ぎが完了し、拓銀という名前は消滅しました。
当時、日本経済全体に与えたダメージは大きかったようです。特に、地元である北海道の経済全体は大きな打撃を受けたと言われています。
歴史は繰り返す!?慎重な投資を心がけよう
私の地元にある静岡銀行は「しぶぎん」と揶揄されるほど、投資には慎重です。
バブル景気の時代、他の銀行から取り残された感があったらしいのですが、それだけ本業を務めることに必死だったと思うと、経営陣や上層部の英断だったと言えるかもしれません。
現在、オリンピックを目前に控えた不動産投資は過熱気味です。一時期のブームよりは鎮静化しましたが、まだ不動産に関心を持っている方も多いと思います。
投資目的で住宅ローンを使って不動産を購入しても、「買ったときが一番高かった」という可能性もあるので、投資は慎重に検討すべきです。