昨年、メディアでは気がふれたように「今は空前の猫ブームです!」と喧伝していた。
生き物にブームもへったくれも、そもそも存在しないんだけど、なぜか人間は命に優劣を付けて売った買ったをやらかしてしまう。
日本の小さな家屋でもいっしょに暮らしやすくなった犬や猫は、ペットとして通年で人気だ。
一方で、以前は大ブームだったのに、最近ではなかなかスポットライトの当たる機会が少なくなったペットというのもいる。
そう、熱帯魚だ。
熱帯魚を飼育する環境を整えることを、アクアリウムと呼ぶ。
かつて一大ブームとなった熱帯魚!需要は今もわずかに
ほんの20年前までは、書店では熱帯魚関連の専門雑誌をいくつも見かけることができた。
しかし近年では往時の勢いもなくなり、あれだけたくさん発刊されていた雑誌も、廃刊、休刊の憂き目に遭っている。
だけど、いまだにペットショップには熱帯魚コーナーというものが用意されている。
ブームらしいブームはないものの、やっぱり熱帯魚に癒される人というのは、今も昔も一定数はいるようだ。
実際、他のペットと同じように、熱帯魚と暮らすと、眺めているだけで心が癒されるものだ。
手狭なアパートでも苦労せず設置できる水槽もあるし、ペットと暮らしたいなら、熱帯魚は候補に入れても損はない。
ただし、熱帯魚を元気で長生きさせるためには、犬や猫と同じような努力と注意を怠るのは厳禁。
ある意味で、あらゆるペットの中でも金がかかる部類に入るのが、アクアリウムだったりもする。
アクアリウムは癒し!だけど費用は馬鹿にならない
犬や猫を家族として迎えると、予防接種に日々の食事、身の回りのケアなど、結構お金がかかってしまう。
一方で熱帯魚と言えばどうだろう。
水槽に水を入れさえすればなんとかなりそうだと思える丈夫な品種もいるけど、全体的に見ればかなりデリケート。
生体は品種によって値段がピンキリだが、高価な品種は数万円することも。
現在僕はカージナルテトラという、ネオンテトラよりちょっと大きな体をした熱帯魚を飼っているが、これは安価で、ショップによっては1匹100円程度で購入可能だ。
しかし、知人が迎え入れたアロワナは、幼魚だったにも関わらず30,000円もしたそうだ。
生体を家に連れ帰って終わりではない。
アクアリウムにはとにかく初期費用と維持費が付き物。
水槽、それを支える頑丈な台座。ろ過機にヒーター、それからエアレーション。
いずれも熱帯魚を健康で長生きさせるためには欠かせないものばかりだ。
それからソイルや砂利、水草などに凝りだすともう、とにかくお金が飛んでいく。
お金はかかるけど、愛情を注ぐに値する大切な家族に!
数年前、僕は狭い自宅に、5つも6つも水槽を並べていた。
それぞれの水槽には、個々に必須の設備が用意されていた。
冬場には全水槽のヒーターを起動させていたので、電気代も馬鹿にならないものであった。
特にお気に入りのレイアウトがなされた水槽などは、それだけで200,000円分の機材をセットしていたんだから、ちょっと行き過ぎだったかもしれない。
6つの水槽それぞれに投じた平均費用は、100,000円を超えていたものである。
不幸中の幸いだったのが、寿命が短い魚ばかり飼育していたという点。
今では水槽もたった1つになったが、前述のカージナルテトラ数匹は、平均寿命を既に2年もオーバーして長生きしてくれている。
見て癒されるのがアクアリウムだけど、水槽の中には家族が住んでいるようなもの。
直接触れることはできないけど、普段から熱心に世話をしていれば、こちらの顔も覚えてくれる賢い魚もいる。
動物といっしょに暮らしたいというのであれば、熱帯魚という選択肢も十分にアリだと伝えたい。
(文/松本ミゾレ)