ギャンブルマシンで稼ぐ。この言葉に惹かれる人は少なくない。たとえばパチンコ。たとえばパチスロ。双方、ツボにはまれば数十万円の勝ちを手にすることが可能となる。
しかし、ハイリスクハイリターンどころか、最近ではハイリスクローリターンと言いたくなるような機種も少なくなくなった。見返りが弱ければ、いつかは脳のふやけたユーザーも目が覚めるというもの。
今回は、都内在住の元ギャンブル依存の男性、H氏から聞いた話を紹介したい。このH氏、現在はパチンコホールとはほとんど無縁だという。しかし、パチンコ、パチスロ機種とはまだまだ繋がりがあるという。どういうことだろうか。
落ち目から息を吹き返したマシン
2014年に全国のパチンコホールに「バジリスク〜甲賀忍法帖〜絆」というパチスロマシンが導入された。この機種、当初は従来のパチスロファンに、ピーキー過ぎるゲーム性を敬遠され、導入から2ヶ月ほど経った頃には価格が暴落。
中古市場では、70,000円台という、ありえない安さで出回ることとなった。よくよく探せば、もっと安くで買い叩かれた場合もあったという。この手の機種は、大抵導入の際にホールがメーカーに支払うお金は、1台300,000円程度。
あるメーカーは、とにかく安く流通させることを目的とし、導入価格を130,000円としたケースもあるが、これはまさに例外。そう、パチンコ、パチスロはとにかく導入するだけで金がかかるのだ。
そんな大金を払って導入すた機種が、毎度毎度ヒットするわけではない。「バジリスク〜甲賀忍法帖〜絆」の場合、初っ端でこけてしまって、多くのホールが早々に対策に迫られた。中には売り払ってしまった店もある。
ところが。ところがである。その後この機種は、解析情報が出回ると共に、勝つためのノウハウまでが、やたら詳しく明らかとなった。するとどうなるか。ユーザーは当然、仕入れた知識を頭に入れて、この機種を攻略しようとする。
結果的に「バジリスク〜甲賀忍法帖〜絆」の需要が高まり、瞬く間に全国のホールは、この機種を再導入する運びとなった。
下がったときに買い、上がったときに売る!
ここでH氏の出番だ。実はこのH氏という男、これまで価格が急落し、なおかつ今後価値が見直されると思しき機種を安値で買い集め、価格が上昇したら手放すことで小銭を稼いでいたという。
無論、これが収入の主たるものではないが、彼は「バジリスク〜甲賀忍法帖〜絆」の中古価格が急落した際に、「今後息を吹き返すのでは?」と感じたというのである。
事実、その後解析情報の充実と共に、この機種の人気が再燃した。H氏は最低価格に陥っていた頃に、ネットオークション経由で「バジリスク〜甲賀忍法帖〜絆」を6台キープしていた。手数料込みで250,000円ほどの出費だったというから、破格である。
そしてとうとう、つい最近になって価値が高まったと見るや、この6台をまとめて、中古市場に流した。中古台を買い取る店舗に片っ端から連絡し、手にした金額は860,000円。純利益は610,000円ということになる。
これは個人で中古台を売り買いをするケースでは、まさに大成功に終わった事例だ。
ホール再導入価格は200万円にも!
本機種が一時期人気がなく、70,000円程度で取引される時期もあったため、その乱高下にホール業者はてんやわんやとなっているのは前述のとおり。個人での売買ですら数十万の利益となっているのだ。
これが正規のパチンコホールが関与している市場の話になると、もうとんでもないこととなっている。2016年5月時点で、「バジリスク〜甲賀忍法帖〜絆」の中古価格は1,950,000円。
200万円に届くところまで迫っている。まさにとんでもない暴騰という按配だ。H氏がこれを聞いたら、思うところもあるだろう(知ってるだろうけど)。パチンコ、パチスロを介してお小遣い稼ぎをするには、何も絶対にホールに通う必要があるというものでもない。
値崩れした機種を底値で仕入れ、価値が高まったら手放す。このやり口で、財布を分厚くすることも、不可能というものではないのだ。
(文/松本ミゾレ 写真/Milosz Maslanka / Shutterstock.com)