あなたは、住む部屋というものにどんなこだわりを抱いているだろうか。
少々職場から離れていても、大きな家に住みたいとか、とにかく都心に近ければ、ある程度高くてもいいとか、色々とライフスタイルによって求める部屋の条件は異なるはず。
基本的に、安い部屋はアクセスの利便性が悪く、高い部屋は駅近で住んでいても不自由は少ないものだ。しかし、中にはそういう基本から大きく外れた部屋もある。
今回は、山手線沿線に点在する激安アパートの住人の話を、こちらで紹介してみたい。
山手線まで徒歩5分、1Rが3万円以下!
今回取材を試みたのは、僕の高校時代の同級生、Yである。Yは田舎に辟易して、今年31歳になって今さら上京したという、とんでもない放蕩息子である。こんなYが、とてつもなく良い条件の部屋に住んでいるというので、話を聞いてみた。
「東京なら多少は僻地でも良かったんだけど、実際探してみると、結構いい部屋があって助かったよ」
こう話すYは現在、JR山手線の駒込駅から徒歩5分の位置にあるアパートに暮らしている。そのアパートの部屋、どの程度の広さがあるかと言うと、なんと2畳程度しかないという。
狭い!狭いが日当たりも良好で、ベランダもある。収納はないが、Yはベランダにビニールシートで覆った箪笥を設置し、そこに衣服などを収納するスペースを設けたそうだ。
何よりこの部屋に入居することを決めた理由は、その価格設定である。なんと、敷金礼金なし、保証人も不要で、さらにはネット使い放題。諸々コミコミで月々29,000円なのだ。
これはかなり安い部類に入るだろう。ぶっちゃけ僕も、仮住まいとして毎月29,000円払って、同じ部屋をキープしておきたいぐらいだ。東京でも仕事するし。
部屋が狭いだけで、必要なものが揃っている
この部屋、Yにとってはかなり当たり物件だったようで、その後も色々とメリットを話してくれた。話が長いので具体的に要約して書き出すと、
- キッチンがあって料理をすることもできる
- 部屋が狭い割にはシャワーが備え付けられている
- エアコンも設置されている
- 部屋が狭いので冷暖房の効きが抜群に良い
という。
トイレと風呂は共同だけど、そこはこの際仕方がないところだろう。もっともYの場合はやや潔癖なところがあるため、共同のトイレを使うよりは、近所のパチンコ屋の綺麗なウォシュレット付きのトイレを使うということだ。
入浴とトイレの不便に目を瞑れば、なかなかに住み心地の良い部屋だと感じているようだ。
主な欠点は物が置けないことぐらい
では逆に、住んでいて「これはちょっと……」と感じる部分はないか聞いてみた。
「ん~、トイレも風呂も、そんなに不便とは感じないなあ。あ、でも部屋が狭いから、物を買っても置き場がないのはちょっと困るところかも」
なるほど、何か欲しいものがあっても、それを買ったところで置く場所がないというのは、ちょっと困るところかも知れない。もっとも、Yは壁に棚を設置して、そこに色々と趣味の物を並べているようだが。
何はともあれ、アクセスの利便性が良くて、最低限の人間らしい生活が送れる部屋は、都内に実在するということは分かった。地方在住で、都内で暮らすことに憧れているというそこの君!是非Yと同じアパートに引っ越してみないか!
大丈夫、このアパートには現在、Yとアジア系外国人5人しか入居していないので、まだまだ空きがあるぞ!
(文/松本ミゾレ)