年収1000万円を稼ぐ人のことを一本プレイヤーと言ったり、婚活をする女性が「年収1000万円以上ある人を希望します」と言ったりするほど、年収1000万円はサラリーマンにとって憧れであり、実際に年収1000万円を稼いでいる人はお金持ちで、貯蓄もたくさんあるのだろうと思います。
ですがこれだけの年収がありながら貯蓄はゼロという人も少なくなく、年収1000万円だからと言って十分に安定した生活を送っているかと言えば実はそうでもないようです。
年収1000万円超の毎月の貯金額は?
年収1000万円を超える人の割合は全給与所得者のうち、わずか4%程度です。パートやアルバイト、正社員など給料をもらっている全ての人を対象とした国税庁の調査では全給与所得者の平均年収は414万円となっているので年収1000万円は狭き門です。
ですが年収1000万円と言っても住民税や所得税、健康保険や雇用保険、厚生年金などが天引きされていない状態なので、年収1000万円の手取り額は700万円~800万円となります。だいたい月のお給料が50万円程度、そしてプラスαでボーナスが年2回入ってくるというイメージです。
年収1000万円はいくらを貯金に回せるの?
総務省がまとめたデータによると2人以上いる勤労者世帯の消費支出の一ヶ月の平均は31万円ほどです。これを単純に年収1000万円世帯の予想給与額である50万円から差し引くと18万円が残ります。
毎月18万円も貯蓄に回すことができれば一年で180万円、十年で1800万円ですから一般的な家庭に比べると貯金も楽に作ることができると考えられるのですが、実は年収1000万円以上の人のうち貯金があるのはわずか1割程度だと言われています。
「年収1000万円なのに貯金はゼロ!?」と驚く人もいるでしょう。ではこの年収1000万円の人の生活などを見ながら、貯金がゼロという理由を考えてみましょう。
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年収が高い家庭にありがちなNG習慣
年収1000万円以上の人は全体の給与所得者のうちわずか4%程度とさきほど説明しました。このわずか4%程度というのが特別感を持たせる結果となり、普通の人よりリッチな暮らし、快適な暮らしを必要以上にしてしまいがちになってしまいます。
「買える」がゆえの悪習慣
日常の中で食料品や日用品、洋服など欲しいものが出てくる機会は多くあります。多くの人は欲しいと思ってもすぐに買うことは控えるのですが、やはり年収1000万円ともなると迷わず買う、とりあえず買う、という思考が強くなります。
なぜなら買えるからです。やりくりをして欲しいものを買っていたのを考えると夢のような生活だと思っている人もいるでしょう。ですが怖いもので慣れてきてしまいます。
ファミレスではなく雑誌に載っていた話題のお店に外食に行ったり、毎年海外旅行に行ったり、子供は私立に入学、戸建のマイホームも自由度が高い注文住宅などで環境の良いところに、そしてやはり外車に乗ることがステイタスになります。
支出はどんどん膨らんで、手取り700万円~800万円、毎月のお給料50万円ほどでは貯金どころか、毎月カツカツという状態に陥ってしまいます。
これが高収入でも貯金はゼロというからくりであり、生活の質を上げすぎることで支出>収入になってしまうことも少なくないようです。
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年収1000万円が一生涯続くわけではない
年収1000万円以上の人は一生涯、年収1000万円以上を稼ぎ続けることができるのでしょうか?答えは限りなくNOに近いでしょう。中には不動産による不労所得などで年収1000万円以上を死ぬまで得ることができるという人もいるでしょう。ですが、こういった人はわずか4%の中のさらにわずかな限られた人となります。
今、年収1000万円以上を稼いでいても、いずれはこの収入が大幅に減ってしまうことを頭に入れて日々の生活をする必要があります。給与所得者の年収のピークは40歳から54歳です。55歳を過ぎると出向や転籍などで大幅に年収が下がってしまうだけでなく、中には優秀な若い人にポストを空けるために早期退職優遇制度などを取り入れている会社も多いので年収1000万円以上の収入が途絶えてしまうこともあります。
年収1000万円に届いた!と思っていてもそれが十年続くのか一年だけなのかは実際にはわからないのではないでしょうか。
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年収1000万円世帯でも老後が不安?
年収1000万円以上の人で貯蓄があるのはわずか1割程度となれば、残りの9割の人たちは老後のための資金不足に不安を抱えることになります。年収1000万円以上の生活水準を知っているだけにさらに不安は大きなものとなるでしょう。
また増税などで今後起きる変化は高年収層を直撃することも考えられ、年収1000万円以上の家庭こそ老後が危ないと言われています。
年収1000万円とは言っても人より少し豊かなだけだと理解し、財布の紐を緩めない生活を送ることで貯蓄に回す余裕ができ、老後の不安も解消することができます。
(文/中村葵)
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