30代の平均年収っていくらぐらいだと思いますか?500万円、600万円なんて数字を目にすることもありますよね。しかし、本当にそんなにもらっているのかと思うこと、ありませんか?
実際、私が20代の年齢で正社員だった頃の年収は200万以下でしたし、30代の先輩だって300万円台でした。そんな環境で働いていたせいで、500万だの600万だの言うのは、一部の大手企業だけの話だろう、という気持ちが根強くあるのです。
そこで、国税庁の統計調査を調べてみました!
日本の30代の平均年収
平成26年の平均年収……4,084,500円
500万円には達していませんが、これでもかなり高額ですよね。本当でしょうか、ということで、さらにデータを細かく見てみましょう。
事業所規模1,000人以上の平均年収……4,854,500円
事業所規模10人未満の平均年収……3,269,000円
なんと、150万円以上の賃金の開きがありました。事業所規模1,000人以上と言うと一般に企業規模が大きい大企業と言われているところです。もちろん上場企業もこの中に含まれています。同じ30代でも、稼いでいる額がまったく違うのです。
この平均収入の差はいったい何なのでしょう?そして、この「事業所規模10人未満」の中には、職業はそれぞれです。人数は少ないけれどバリバリに稼いでいるIT業界のベンチャー企業のマネージャーも、小さい工務店の事務員も混ざっています。
平均年収が300万オーバーだと言っても、やはり、40代で年収200万という人だって少なくないのです。
低年収のドロ沼にはまる人々
景気は回復傾向にあると言われていますが、実際には、仕事が見つけられずに年収200万円台の仕事を続けている人だってたくさんいます。一流大学を出た人の中にも、保険業の営業職で部長にまで上りつめたにも関わらずトラブルで仕事を辞めたら再就職先が見つからない!正規雇用者の道がとざされた!なんてケースはいくらでもあるのです。
スーパーに行くと、30代や40代らしき男性警備員をよく見かけます。この人たちの時給が仮に1,000円だったとすると、年収は、1,000円×1日8時間×22日×12か月=2,112,000円です。お正月や夏休みが加わったら、さらに収入は減少してしまうでしょう。
たとえ独身だとしてもこの程度の手取りなら趣味や貯蓄などの余裕はなく、どうにか自分のお小遣いを捻出するのがやっとで、結婚の道のりは険しいでしょう。
ハローワークの求人票を見ていても、以前に比べ求人数そのものは増えているようですが、月収18万円や15万円といった募集はたくさんあります。でも、年収300万円を超える待遇である月収25万円オーバーという条件の求人はあまり見かけません。
東京などの首都圏では一部の業種が人手不足だと言われていますが、日本における平均給与の格差の割合はさらに深刻化していくのではないかと思われます。一度低年収の沼にはまり込んでしまうと、そこから抜け出すのはとても難しいのです。
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働き過ぎもダメ!?
30代で500万円オーバーの高年収を取っている人であっても、油断は禁物です! 年収が高い仕事は、それだけ忙しかったり、責任が重いことも多かったりするからです。
月給が20万円だったとしても、残業を月100時間すれば、残業代がついて、月の給料は手取りで30万円を超えることになるでしょう(※概算/計算方法や給与規定によります)。でも、そんな生活を続けていては、いつか身体にガタがきてしまいます。
リスクがあるのは、身体の健康だけではありません。仕事が忙しくてストレス発散ができず、抑うつ状態が続いて精神的に参ってしまうこともあります。
うつ病は治療にも時間がかかりますから、それまでの貯金を食いつぶしてもまだ働ける状態にならないという最悪のケースもあり得ます。その上、うつ病で長期のブランクがある場合、サラリーマンとして高給が見込める大手企業への転職はますます難しくなるでしょう。
生涯年収を考えてみよう
一時的に高年収を取っていたとしても、退職することになってしまっては、結局は低所得層に落ち込む可能性があります。もちろん、転職してキャリアアップが目指せるケースもありますが、これはレアケースでしょう。
一方、年収300万円であっても、毎年少しずつ給与が上がり、定年まで社会人として勤めあげて退職金を満額もらえるという人は、生活環境も気持ちも安定した日々を過ごすことができます。
再就職に失敗して、なんの保障もないバイト暮らしになってしまうのが最もキケンです。どんどん辞めて次を探せばいいというのは、よっぽど高いスキル特別な資格を持った人や経験豊富な一部の人の中の、さらに運に恵まれた人だけが成功できるステップです。
おわりに
年収にこだわって上を目指すのは良いことですが、今の会社が働きやすくて、無理なく仕事を続けていける雇用条件だと感じているのであれば、給与アップだけのためにあまり自分の能力を鑑みず、その環境を大事にして生きていく‥そんな生き方もひとつの大きな選択ではないでしょうか。