趣味がサイドビジネスとしてでも、実益に繋がれば、それが何よりである。
世の中いつだって、お金があってこそ。そのお金を生み出すための手法が趣味の延長線上にあったのであれば、最高のことだ。
先日僕は、偶然SNSで知り合った人物の話を聞くことができた。
その人物は、模型製作代行をしてお小遣いを稼いでいるという。
自分で作るのが苦手な模型ファンの依頼で代行製作する、アルバイト感覚のサイドビジネスをやってきたというのだ。
模型は時間をかければ金になる!
この人物、Y氏にとって模型は、完成したものを飾るよりも、製作中の試行錯誤を楽しむ趣味という。
だから常に何かを作っていたいものの、機材、塗料、キットを自分で揃えるのも、働きながらではなかなかめんどうだそうで、全く作らない時期もあったということだ。
そんな状況では腕が鈍る。そう考えて、Y氏はふと、知人が作らずに放置している模型を代わりに完成させてみた。
自分の感性で仕上げるのもいいけど、知人の注文を聞いて、その声にこたえるというのもまた、違った楽しみがあったようで、以降はネットでフィギュアの製作代行をやるようになった。
Y氏の作るフィギュアは、いわゆる版権モノではなく、オリジナルばかり。
これは権利関係を考慮した場合は絶対に避けるべき案件なのが版権アイテムというだけで、作ろうと思えば何でも作れる腕はあるようだ。
オリジナルということで、たとえば情景模型だとか、たとえば動物のフィギュアなんかを作ってきたが、最近は写真を基にして実在の人物のミニチュアを作成するケースが増えている。
これはどういうことかといえば、要は結婚式などのプレゼント品として、新郎新婦の友人が2人のミニチュアを用意したいと考えるケースが、結構あるというのだ。
そこでY氏に依頼して、新郎新婦の写真と製作代金を入金する。
Y氏は写真資料を参考に造形していき、塗装まで行ってから完成品を納品する。
この一連の作業を、およそ1ヶ月で行うということだ。
気になる料金は、1体10,000円から。
結婚式の場合は2つ造形するので20,000円ということになる。
プロのモデラーになるための注意点3つ
模型はサラリーマンでも作る時間ぐらいはギリギリ確保できるもの。
中には昔ハマッていたという方もいるはずだ。
そこでY氏に、これから同じことをしようという人のために幾つか作成する上でのアドバイスを貰うことにした。
・初期投資は抑えてOK!
最近市販されているエアブラシや筆、パテなどのマテリアルや機材は安物であってもそれなりに使えるものが多い。
むしろ消耗品だと割り切って、あまり高級なものは避けておく方が無難。
・版権モノには手を出すな!
たまにプラモデルの製作代行で、版権アイテムを作っている人がいる。
版権元に知られたら「企業として対策を取らざるを得ない」と動かれる場合もあるので、絶対引き受けないこと。
これまでに何度も逮捕されたモデラーが出ている。
・ボランティアじゃないのでがっつり料金を請求してOK!
製作代行はボランティアじゃない。
何かと値切ってくるクライアントもいるけど、そういう声に屈するぐらいならやらないほうがマシ。
それなりのものが完成したら、それなりの対価をしっかり要求しよう!
さらにY氏は、「フィギュア製作は細かな作業の積み重ねだけど、1つ1つを真摯にこなしていけばいずれ良いものが仕上がる」と話している。
また「プラモデルや粘土遊びが好きだった人なら、幾らでも芽吹くチャンスはある」とも。
趣味感覚で稼ぎたい人には良いのでは?
フィギュアを作ってお金に換えるというのは、ものづくりでお金を稼ぎたい人にとっては、割と敷居の低いものではないかと思う。
かく言う僕も、製作代行こそしないけど、たまに粘土を捏ねて色々と作ってしまう。
作っている間は頭の体操になるし、完成すると気分が良い。
趣味としても没頭できるので、下手なりに楽しんでいる。
(文/松本ミゾレ)