どんな人でも、これを欠かすとたちまちに健康が損なわれるものというものがある。
それが食事と睡眠だ。
このうち食事は、主に生命活動をするための原動力を取り入れる力になってくれる。そして睡眠は、日々の生活で溜まっていく疲労を解消させる力を持っている。
食事も睡眠も、健康を維持するためには欠かすことはできないものだ。
しかし現代では、十分な睡眠時間を確保できていない人も多い。
社会人は仕事に追われ、学生もまた勉学や遊びなどに終始し、なかなか満足いく睡眠をとれていない。
こういった状況を、最近メディアでも話題の、「睡眠負債」と呼ぶ。
このワードはSNSでも、しばしばトレンドに上がることが増えてきた。ではこの睡眠負債とは一体どういうものなんだろうか。
寿命に直結!睡眠負債とは何か?
睡眠負債とはその文字のとおり、睡眠時間が足りない生活を送る上で、少しずつ蓄積された、睡眠時間の不足分ということになる。
まさに借金のように、足りない分の睡眠時間が徐々に当事者を蝕んでいくものなのだ。
しかし、状況は通常の借金のそれよりも深刻だ。
なんせ借金は一括で返済することができても、睡眠負債の場合は慢性的な睡眠不足がやがて重大な健康被害に結びつくので、1日だけガッツリ寝たからOKとはならないからだ。
日々のこまめな睡眠時間の確保で、十分に休養をとり、睡眠時間の不足を招かないようにしなければ、睡眠負債はどんどん膨れ上がってしまう。
これを怠れば健康寿命を圧迫することになるし、睡眠負債を貯め続けると、現実の借金のようにじわじわと当事者の首を絞めてしまう。
たとえ日々、1時間だけ睡眠時間が短いような生活を送っていても、長期的に見ればその1時間の不足が積み重なって、取り返しのつかないことになってしまうというわけだ。
睡眠負債、そのデメリット…
ではその「取り返しのつかないこと」とは、具体的にどういう状況を指すのだろうか。いくつか簡単にまとめてみた。
- がん、糖尿病、心臓病などの重大疾病発症リスクの上昇
- アルツハイマーの発症リスクの上昇
- 血糖値低下の可能性の上昇
ざっと挙げただけでも、こんなにある。
このように、どれをとっても見過ごすことはできないものばかりとなっている。
実際、今年の6月18日に放送された「NHKスペシャル 睡眠負債が危ない」という番組の中でも、2014年の研究データとして、アメリカ・シカゴ大学が行ったある実験結果を引用している。
その実験結果というのが、睡眠不足状態とがん細胞の増殖の因果関係。
実験のために慢性的な睡眠不足に陥らせたマウスの体を調べてみると、なぜかがん細胞を攻撃するために存在する免疫細胞が、その役目を果たさなくなっていたことが分かったという。
正常な睡眠時間をキープできていれば防げたはずのがんリスクが、睡眠を怠っただけで全く逆の結果になってしまうのだから、これは恐ろしい話である。
ましてや日本の労働者は労働時間が長い。となると相対的に、睡眠時間はそれだけ短くなっていきやすい。
1日の終わりはしっかり寝て、睡眠負債を貯めない生活を!
健康で、日々十分なパフォーマンスを発揮して生活するためには、睡眠をしっかりと摂ること。これが何よりも重要なものとなる。
人の平均的な睡眠時間は、およそ7~9時間程度だという。
最低でも7時間はしっかりと布団の中に入って眠ること。これが健康寿命を長く保つためには、必須ということになるのだろう。
睡眠負債は、解消するのが非常に難しい。日々慢性的な睡眠不足の状態を維持して、休日に一日中寝ていたところで、負債はなくなったりしない。
毎日しっかりと寝て、睡眠負債がそもそも貯まらないようにすることが、何より大事というわけだ。