住宅購入する場合には、銀行などの金融機関から借り入れをする人が多いかと思います。銀行側が定めている金利条件で借入をし、完済まで長期間の返済期間があるため、返済能力に見合った希望額で融資審査にのぞむことになります。
最近はネット銀行などの躍進により、住宅ローンの選択肢は増えているので、比較的借りやすくなっています。そんな住宅ローンですが、転職したての場合にはどうなるのでしょうか?住宅ローンと転職の関係について、情報提供いたします。
住宅ローンを組む時に審査されることとは?
転職が住宅ローン契約に及ぼす影響を知るためには、住宅ローンの審査基準を知ることが近道です。お金を借りる場合には、借入申し込みをした人の状況を精査した上で、本当に返済できるのかが分析されるのです。
大別すると「信用情報」「勤務状況」「安定収入」「健康状態や年齢」「担保の価値」の5つのポイントを参考に、審査されているようです。それぞれどのような内容がチェックされているのか、1つずつ詳しく解説します。
1.信用情報
個人の金融取引情報は、信用情報機関に登録されています。クレジットカードや自動車ローン、消費者金融の利用など、全ての金融取引が一定期間掲載されているのです。
もしも、遅延や滞納などの金融事故を起こしたケースには、信用情報ブラックとなり、住宅ローンの借入は厳しくなるでしょう。また、信用情報ブラックではなくても、複数の借入先がある場合にも、住宅ローンの契約には不利に働きます。他社借入がある場合には、住宅ローンの借入前に整理しておく必要があります。
2.勤務状況
勤務状況も融資審査でチェックされるポイントです。勤務状況とは、勤務先の状況や勤続年数などを指します。会社の業績状況や、どれくらいの年数その会社で働いているのかなどが審査されます。
銀行員の融資担当者にヒアリングをしてみたところ、大企業か中小企業かよりも、業績や勤続年数を見ているとのことですので、勤務先の規模はそれほど見ていないようです。つまり、業績が悪い会社に勤めている場合には、住宅ローン審査に不利となってしまいます。
3.安定収入
融資審査で重要な要素と考えられているのが安定収入です。一般的な適正年収額と比較して、しっかりとした給料をもらっているかや、希望借入額から逆算した支払額で、返済計画通りに返していけるのかなどが見られます。
瞬間的な高収入よりも、継続的な安定収入の方が重要視されるため、個人事業主よりも会社員の方が審査で有利となる場合が多いようです。貸し倒れの可能性があると判断されると審査通過は厳しくなるため、返済プランに見合った収入は前提条件となります。
4.健康状態や年齢
住宅ローン審査では、健康状態や年齢も見られています。健康状態が悪く、働けなくなった場合には、住宅ローンが返せなくなる可能性もありますし、完済する年齢があまりにも高ければ、返済する手段がなくなっている場合もあります。
そのため、借入額と返済額、返済期間のシミュレーションがなされ、融資可能かどうかの参考とされるのです。住宅ローンの審査では、お金の面だけでなく、本人の身体の状態もチェックされると覚えておきましょう。
5.担保の価値
担保の価値も大切な要素です。担保の価値は新築の場合と中古の場合とでは計算方法が異なることが特徴です。新築の場合には、立地状況や建物のグレードなどの付随条件も踏まえて査定が行われます。
中古の場合には、ローン申込をした金融機関が担保の価値を計算するため、金融機関によって異なるケースもあります。いずれにせよ、担保の価値が高い場合には融資審査は有利となり、担保の価値が低い場合には、融資審査は不利となります。
住宅ローン借入時の転職には注意が必要
住宅ローンの審査では、ここまで紹介した要素を総合的に判断するため、転職をしたことだけが直接的に影響をするとは限りません。ただし、転職したことが住宅ローン審査の1つの項目としてマイナスに働く可能性は十分あり得ます。
一般的な考え方としては、転職直後に住宅ローンを組むのは不利なので、そのタイミングには注意する必要があります。また、契約から引き渡しまでの間に転職をしてしまうと、思わぬトラブルに陥る可能性もあります。
転職直後に住宅ローンを組むのは不利
住宅ローンの借入直前に転職をすると不利な理由は、勤続年数が短くなることや、場合によっては安定収入に影響を及ぼすからです。転職したことによって収入が目減りする場合にや、転職後の会社の経営状態が悪い場合には、複数の要素でマイナスとなります。
逆に、業績の悪い会社から良い会社に転職した場合やキャリアアップの場合には、審査で不利とならない可能性もあります。いずれにせよ、借入を希望する金融機関の担当者に相談した方が良いでしょう。
引き渡しまでの転職におけるトラブル
ローン契約から引き渡しまでの間に転職をした場合、自己都合か会社都合かによってその状況はことなります。もしも、自己都合で転職をした場合には、審査で了承を得た条件に変化を生じさせたことになりますので、住宅ローンが不承認となり、手付金が没収されたり、工事業者への違約金の支払いが必要となる可能性があります。
会社都合の場合など、借主に過失がない場合には、万一住宅ローンが不承認となっても、手付金は返金されるケースが多いようです。ただ、すでに内装工事をしている場合には、現状復帰のための費用がかかる場合があります。
住宅ローン返済中に転職した時に注意すべきこと
既に住宅ローンを支払っている間に転職をした場合には、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか?結論から申しますと、必ず住宅ローンを組んでいる金融機関への届け出が必要です。
なぜなら、住宅ローン契約約款には、届け出事項に変更があった場合には、手続きや連絡を行うように明記されているからです。手続きをしたとしても、転職だけを理由に融資が見直されることは考えにくいので、安心して担当者に相談すると良いでしょう。
繰り上げ返済
転職をした結果、収入が上がるのであれば何の心配もないかと思いますが、もしも下がってしまった場合には、返済方法を見直した方が良いでしょう。銀行に相談することで、返済計画が見直され、月々の返済額軽減につながる可能性がありますので、検討してみましょう。
もしもある程度余裕資金がある場合は、いっそのこと繰り上げ返済をして、ある程度の金額を一括返済するのも良い方法です。その結果月々の返済負担が下がるため、蓄えが減る代わりに月々の生活は楽になります。
ローンの見直し
転職をしたことで年収が下がった場合には、住宅ローンの借り換えの検討も重要です。借りた時に金利が高かったり、長期固定で借入をしている場合には、低金利のローンに借り換えたり、変動金利のローンに借り換えることで、返済総額そのものを軽くできる場合があります。
ただし、手続き費用がかかるため、借り換えた方が損な場合もありますし、他の金融商品に投資をした方が得となる場合もあります。ファイナンシャルプランナーなどのお金の専門家に相談して、最適な方法を決めるのも良いでしょう。
まとめ
住宅ローンを契約する時には、安易な転職は控えた方が無難です。転職をして一定期間が経ってから住宅購入を検討するか、住宅購入をして一定期間が経過してから転職を検討するなど、しっかりとライフプランを立てることが重要です。
また、住宅ローン契約後に転職をする場合には、金融機関に伝える必要があります。場合によってはペナルティーとなる可能性もありますので、リアルタイムに相談すると良いでしょう。