大学生になると、経済的な自由が増え、管理するお金が増えます。そして社会人になると、さらに自分でお金を稼いで、完全に自分のお金で出費をまかなうようになります。
またそのうち、結婚や出産など人生の重要なイベントも増えてきます。
このような20代という時期に貯金すべき金額について、職業別・年齢別に見ていきましょう。
年齢別貯金
まず、大学生の時期に貯めるべき金額とはどれくらいなのでしょうか。結論から言うと、この時期には、まだ「結婚・出産」「マイホーム購入資金」みたいなことを見据えて貯金する必要はないでしょう。
もちろん、貯めれば貯めるほど、将来の自分が楽にはなるのは確かです。ただ、自由な時間に恵まれ、友達と遊んだり、恋人とデートしたり、仕事や家庭の事を気にせず趣味に没頭できる時間がたくさん確保できるのは、学生の間が最後かもしれません。
なので、貯金するために出費を切り詰めてやりたいことをセーブするよりは、やりたいことをたくさんやる方に力を入れることをオススメします。もし貯金するのであれば、
- 車・バイクを買いたい
- 楽器を買いたい
- 留学費を稼ぎたい
- 恋人へのプレゼント用資金を貯めたい
といった、具体的な目標額があって、それに向かって貯めるようなケースでしょう。
さて、学生の時代を終え、新社会人になると、完全に自立すべき時期でもあり、「貯金は必要ない」とも言ってられません。では、新社会人が貯めるべきお金はどれくらいなのでしょうか。
ここでは、分かりやすい数値目標として、「まずは貯金が100万円あることを目指す」というのをオススメします。
理由は、100万円あれば、普段の生活で何かしらのトラブルや突然の出費(病気、失職、車・バイクその他のトラブル、友達の結婚式でのご祝儀、など)があっても、それほど困り果てることもないからです。
カツカツで親に泣きつくということが必要ない状態を目指しましょう。
そして次に、結婚や子育てを見据えた資金として、いくら貯めればよいかを考えましょう。
とはいえ、特に子育てに関しては、
- 何人産むのか
- 学校は私立か公立か
- 習い事・塾に行かせるか
等々の無数の条件によってかかる金額が大幅に変わるため、厳密な試算を試みても仕方がないところがあります(不確定要素の1つとして、2020年以降は大学受験制度も大幅に変わるという点も挙げられます)。
なので、ざっくりとした目標値ですが、「結婚相手と2人で1,000万円貯めることを目指す」とよいでしょう。
もちろんこれは理想的な数値で、達成は困難かもしれませんが、逆に頑張ってこれだけ貯めることができれば、1人目(・2人目)の子育て費用をかなりカバーでき、大助かりするはずです。
平均貯金額
それでは、現実に20代の平均貯金額はいくらくらいなのでしょうか。
- 大学生
- 新社会人
- 社会人5年目
に場合分けして見てみましょう。
まず大学生ですが、過去に実施されたアンケート結果によると、約50万円が平均貯蓄額であるようです。
やや高いと思われる方も多いかもしれませんが、これは実家が裕福な方など、一部にお金持ちで貯蓄高が数百万円以上の方が存在するため、平均値が押し上げられており、このような結果になっているようです。
次に新社会人ですが、調査すると、過去のアンケート結果によって平均貯金額はまちまちですが、こちらも大学生とあまり変わりなく、概ね数十万円というところが相場なようです。
社会人1年目から手取り額がとても多い職業は限られており、貯蓄できる額も限定的でしょうから、この結果も妥当でしょう。
最後に社会人5年目ですが、調査をしてみると、社会人5年目に的を絞ったデータがなかったので、20代後半の社会人のデータで代替します。それによれば、約120万円が平均貯金額のようです。
なので、結婚だけならともかく、将来の子育てまで考えて貯蓄を蓄えていられる人は、ほんの一部であることがうかがえます。
貯金できる人の特徴
貯金できる人は、支出を減らすか、収入を増やすこと、あるいはその両方に成功している人です。
前者の観点から言えば、「どれだけ浪費を抑えられるか」がポイントとなってきます。家計簿をつけてみると、自分が日々何気なく使っているお金にどれだけムダが多いかが把握できてオススメです。
後者の観点から言えば、副業などのほか、投資でうまく収益を得ている方(意外と皆さん実践されています)が、高額の資産形成に成功する傾向にあるようです。
今後を見据えて
今後の人生にどれだけお金がかかるかは、自分の人生設計によって大きく左右されます。
- 結婚願望の有無
- 結婚願望がある場合、結婚式をするかしないか
- するとして規模感はどうするか
- 子どもを何人持つか、どのように育てるか
- マイホームを持つのか
- どこに住みたいのか
- 趣味はあるか、あるとすればどれくらいお金が必要か
- 老後はどうするか
こうした自分のビジョンを明確にしない限りは、「これから先の人生でどれだけの金額が必要になるか」などわかりっこありません。こうした点を具体的に考えて明確にすることからスタートしましょう。
なお、一人で考えるのが不安であれば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談することも検討するとよいでしょう。
職業別の年収と貯金額
なお参考までに、いくつかの職業別の平均年収を以下に載せておきます。なお、これらの数値は、給与という形で収入を得ている人を対象に集計されたデータであり、独立開業している医師・会計士・税理士・弁護士等は含まれていません。
独立開業者のデータを含めれば、平均年収の数字はより高くなると考えられます。
- 航空機操縦士(2,047万円)
- 医師(1,240万円)
- 大学教授(1,069万円)
- 公認会計士、税理士(864万円)
- 弁護士(759万円)
- 会社員全般(約470万円(正規雇用))
- 会社員全般(約170万円(非正規雇用))
一般的には、給与の多寡が収入の多寡に直結しますので、貯金を増やすために収入を増やすことを検討されるのであれば、こうした職業別の平均年収も参考にし、キャリアチェンジやステップアップを図るとよいかもしれません。
おわりに
これから先の日本では、政府が国民をどれだけ守ってくれるかわからない時代に入っていきます。
数十年後にどれだけ年金が支払われるかというのも不透明でアテにならない現在、どのように生きていきたいかという人生設計をしっかり考え、自分にどれだけ貯蓄・資産が必要なのかを把握し、自分で自分の資産をしっかり構築していく意識が大切です。
まとめ
- 大学生から将来設計を厳密に考えて貯蓄に励む必要はないが、就業してからは意識的に取り組むべき。まずは100万円の貯蓄を目指し、結婚や子育てを見据えて貯めるなら、理想的な額として、結婚相手と1,000万円貯めることを目指すとよい
- 貯金を増やすなら支出を減らし、収入を増やすことを心がける
- 将来どれだけお金が必要かは、人生設計によっても大きく左右されるので、そこをまず明確にするとよい
(文/tdom)