新卒採用は将来性で採用されるのに対し、中途採用は即戦力重視でこれまでの実績や管理職としての経験で採用されることが多くなります。転職ではこれまでのキャリアがものを言うのは明らかでしょう。
転職理由を聞いた時、表面上はキャリアアップを図るためとみんな、口を揃えて言います。自分のイメージをよく伝えたいと思うなら当然でしょうが、実際にキャリアアップという結果にならないことの方が多いようです。それは転職する本人もよくわかっていなかったりするのです。
今回は人事担当者視点でそのワケについて追ってみましょう。
【この記事の目次】
転職が長引くことへの焦りが影響
転職を経験したことのある方から、「なかなか内定が取れず、猶予もないので条件が良くなくても内定を受けてしまった。」という声をよく聞きます。
転職活動を始めて内定に至るまでにかかる期間は数か月かかることが多く、40歳以上の転職になると1年以上かかることも。
在職中に転職活動する場合、仕事が忙しく面接の時間が確保しづらくなるので、短期間で転職を決めるのは難しいようです。1日も早く転職したいという気持ちから、転職先を焦って決めてしまうのでしょう。
採用する企業は既存社員とのバランスを考えている
採用する企業が、敢えて年収を低く提示するということもあるようです。
その理由の一つとして、既存社員との年収のバランスを考慮した結果による場合があります。会社としては、同クラスなのに年収に差がつくことで、不満になることを避けた結果です。
また、年収の交渉になることを見込んで、低く設定している場合もあります。
しかし求職者が採用に影響することを懸念して、年収交渉に踏み込まないということも多く、結局は企業が提示する低い年収に落ち着いてしまうようです。
転職活動する環境が大事
中途採用での転職をする場合は、経済的に安定した環境が重要です。
就業中の状態で転職活動するのが良いでしょう。退職してからの転職活動は、収入が安定しませんので非常にリスキーです。
休みや就業後の限られた短い時間の中での転職活動なので、長期に渡るかもしれませんが、毎月の収入が保証されている以上は、お金の心配をしないで心に余裕を持って転職活動を行えるでしょう。
実際、先走って内定が決まる前に会社を辞めてしまうケースも多いようで、そのような状態では、面接官から見ても
- 計画性がない
- 衝動的に行動するタイプなのでは?
と不安を抱きかねません。
そして、転職が長期化した結果、「希望を落としてもいいから、早く職を見つけよう。」と、妥協した結果、前職よりも低い条件で転職をせざるを得ない状況になるのです。
そのような事態を避けるために、転職エージェントを活用するというのも有効です。転職に関するノウハウや実績が豊富なエージェントが味方になってくれるのは魅力です。年収交渉についてもエージェントが行なってくれる場合もあるようです。
最大手のリクルートエージェントなどが有名です。
業界トップクラスの求人数を誇るリクルートエージェントでは転職サイトに掲載されていない非公開求人の紹介や、言いだしづらい年収交渉まであなたに代わってサポートしてくれます。
転職を考えている方はこのような転職エージェント活用すると良いでしょう。リクルートエージェントの無料登録はこちらからどうぞ。
自分の実績を過小評価しない
交渉することで、採用に影響するのでは?と給与交渉をしないケースが時々見られますが、給料の交渉はしっかり行うべきです。
これまで転職をした方で年収交渉しなかった人は約6割にもなるそうです。交渉する際は賞与や手当の確認も忘れずに行いましょう。
そして、これまでの自分の実績を再度理解しましょう。例えば、マネージメント力のある管理者はどこも欲しい人材ですので、管理職経験があれば大きな武器になります。
これまでの経験や実績から給与相場を踏まえて、過小評価せずしっかりアピールしましょう。
ただし、中途採用において年収交渉は即戦力であることが前提ですので、未経験の職種で前職と同じかそれ以上の条件を求めるのは無謀です。その仕事において年収を上げるだけの価値があるのかを納得してもらう必要があります。
履歴書、職務経歴書で関心を持ってもらう
転職を成功させるために、面接官の関心を自分に向かせることが重要です。
交渉する前に、履歴書や職務経歴書から自己アピールする内容を魅力的な印象に映るか再度確認しましょう。
職務経歴書はそれぞれの職歴に対して細かく書き、履歴書にはその中から、入社した際すぐに活かせるポイントをピックアップし、分かりやすく伝えることが重要です。
自己PR欄には空欄が多すぎず少なすぎず、すっきりと適切な文量で収めるのがコツです。箇条書きにするのも読みやすく伝わりやすいでしょう。
積極的な自己アピールは好印象
採用する側も数多くの求職者と出会います。 “聞かれることに答えるだけ”の受け身の姿勢で、自らアピールしない人も多く、“自分を採用したらこんなメリットがある”とさりげなくアプローチしてくる人には面接官も心躍るものです。
また交渉することをあつかましく思われるかもしれないと思うかもしれませんが、交渉することは「意欲の表れ」でもあるので、プラスに働きます。トークが上手ければビジネスに長けた人という印象も与えられるでしょう。しっかり自己アピールすることがカギです。
切り出すタイミングが重要
年収交渉をしっかり行うことを意識しすぎて、そればかりが先行してしまうと、悪印象になりかねません。最初は自分をアピールすることに徹しましょう。
切り出すタイミングは、面接官が給与、待遇の話になった時が自然でベスト。もし交渉の流れに持ち込めなかった場合は、質問をする時間をもらった時か内定の連絡をもらったタイミングでも遅くはないでしょう。
ただし、入社後に話すのはマナー違反なので必ず入社前に行いましょう。
年収アップの根拠となる言葉を用意する
年収アップを切り出す際、重要なのはその根拠です。年収アップを交渉する際は、その根拠となる言葉も用意しておく必要があるでしょう。
「現在○○円いただいており、この業種だけでは相場的に妥当ではありましたが、営業やマネージメントもしており、○○円の年収が妥当と考えております。」
など、その職種に対しての相場を知っておくことがカギです。もし根拠が不確実であれば、企業側のリスクに配慮してインセンティブの交渉をしてみると上手くいくかもしれません。
おわりに
以上、転職によりよく見られる年収が下がるケースと対処法についてお話ししました。
年収が下がるのはほとんどの原因は自分が作り出してしまっているようです。転職の長期化からの焦り、逃げは転職において不利な要素になります。
年収&キャリアアップのために、しっかりと計画的な転職を行いましょう。
まとめ
- 転職で年収を下げてしまうのは、妥協してしまう自分自身にあった
- 年収の交渉すらしない人も多い。自分を過小評価せず相手が納得できる交渉をすること。
- 交渉の切り出し方は、自分に関心を惹きつけてから行うこと。
- 年収アップの根拠を用意する。その職種や実績、経歴に対しての年収の相場感を持つこと
(文/クラモトマキヤ)