国税庁が発表し平成26年度の日本のサラリーマンの平均年収は415万円でした。この年収を踏まえれば、年収500万円というと平均年収よりも少し裕福という感じでしょうか。
では年収500万円で住宅ローンを組んで3,000万円の家を購入することは可能なのでしょうか?
今回は
- 年収500万円を稼ぐ夫30歳
- 専業主婦の妻30歳
- 小学生の子供が2人
いるCさんの家庭をモデルに検証してみました。
年収500万円のうち自由に使える金額や毎月の返済額の限界はどのくらいなのか?
年収500万円は税込みの年収なので税金や社会保険料を差し引くと月の手取りは29万円ほどです。Cさんの場合、ボーナスはないので毎月29万円のみが給与所得となります。
これに加えて子供2人分の児童手当が毎月2万円支給されています。
Cさんの家庭が毎月自由に使うことができるお金は31万円です。
ではCさんの家庭の家計簿を見てみましょう。
家賃 | 8万円 |
食費 | 5万円 |
水道光熱費 | 2万円 |
通信費 | 2万円 |
雑費 | 1万円 |
保険 | 2万円 |
教育費 | 1.5万円 |
夫小遣い | 3万円 |
妻小遣い | 1万円 |
ガソリン代 | 1万円 |
交遊費 | 1万円 |
貯蓄 | 3.5万円 |
合計 | 26.5万円 |
支出の合計が26.5万円となっており、黒字となる分は全て貯蓄にまわしています。
この他に
- 毎年4月には車の税金が3万円
- 2年に1回車検代が15万円程度
かかります。
- 毎月の生活費・・・27万円×12ヵ月
- 車の税金・・・3万円×年1回
- 車の車検代・・・15万円÷2(1年分換算)
となるので一年間でCさんの家庭が必要なお金は約335万円となります。
手取り年収と児童手当を足すと372万円となるので
372万円-335万円=37万円
となり、この37万円は余剰金として考えることができます。
とは言っても全く貯蓄がないままで生活をしていくのはリスクとなるので20万円を残しつつ、17万円を住宅ローンに充てることができると考えると、今支払っている家賃分の8万円と17万円÷12ヵ月=約14,000円で毎月の住宅ローンの返済に充てることができる金額は94,000円が限界となるのではないでしょうか。
もちろん食費やレジャー、小遣いなど切り詰めるところは切り詰めるという生活をすれば、これ以上に住宅ローンの返済に充てることができるお金は増えます。
年収500万円の人が3,000万円借りるとどうなるのか?
では頭金なしでCさんが3,000万円を銀行などの金融機関から借り入れた場合、毎月の返済額はどのくらいになるのでしょうか。実際に住宅ローンを取り扱っている銀行でシミュレーションをしてみました。
条件は
- 借入額300万円
- 返済期間は35年
- 今回はフラット35
を利用して全期間固定金利型の住宅ローンとなっています。またCさんはボーナスがないのでボーナス払いはなしになっています。
住信SBIネット銀行の場合
毎月の返済額 | 8.2万円 |
金利 |
当初10年0.8% 11年目以降1.1% |
返済総額 | 約3,500万円 |
楽天銀行の場合
毎月の返済額 | 8.6万円 |
金利 |
20年以下1.03% 21年以上1.1% |
返済総額 | 約3,600万円 |
フラット35を利用するとお得?
住宅ローンを組む際に決めなければならないのが金利を固定型にするか変動型にするかです。
固定型の場合は返済終了まで金利が変わらないので将来の計画も立てやすくなるのがメリットですが、その分金利が高めに設定されていることも多くあります。
これに対して変動型の場合は金利が低めに設定されていることがほとんどですがその時々によって金利が変動するので固定型の金利よりも高くなる可能性もあるものです。
そこで金利負担をできるだけ軽減することを目的として作られたのがフラット35です。
フラット35は最長で35年間借入時の金利が返済終了まで変わらない全期間固定金利の住宅ローンとなっており、通常の固定型金利に比べると金利が低くなっています。
フラット35の場合、ローン審査で重要になるのは年収に対する返済負担比率です。
- 年収400万円未満の場合は30%以下
- 年収400万円以上の場合は35%以下
と定められており、この返済比率内で返済ができるのであれば勤続年数などは特に重視されることはなく、また保証人や保証料なども不要となっています。
さらにフラット35にすることで繰り上げ返済時にかかる手数料も不要となり計画的に繰り上げ返済を行うことができます。
3000万円の住宅ローンをどう減らしていくのか?
綿密な返済計画を立てて住宅ローンを借り入れていても返済を行っているうちに様々な理由によって住宅ローンの返済が負担になってくることがあります。もし万が一返済不能に陥ってしまったらと不安に思っている人もいるでしょう。
そこでできるだけ早くローン返済を終わらせる方法やローン返済の負担を軽減する方法を考えてみました。
金利は0.1%でも低い方がいい??
3,000万円を借り入れるということから金利は0.1%でも低いに越したことはありません。たった0.1%の差でも総返済額は大きく異なってしまうのです。
ですが金利ばかりを見て金融機関を選んではいけません。金利が低い分、事務手数料や保証料などの初期費用がかかることも多くあり、結局蓋を開けてみると金利が低いローンを選んだのに金利が高いローンと総返済額が変わらないなんてことも多くあります。
返済方法を決める
住宅ローンの返済方法には多くの場合、元利均等返済と元金均等返済の2つがあります。
元利均等返済
元金返済額と利息額が一定になる返済方法であり、返済当初は利息の割合が多いが返済が進むにつれて利息額が減っていきます。
毎月の返済額が一定となることから家計の計画なども立てやすいのがメリットとなるのですが、当初は利息を返済する形になるので元金の減りが遅いことがデメリットとなります。
元金均等返済
元金返済額が一定でこれに利息額を上乗せした金額が上乗せされる返済方法であり、返済が進むことで元金が減ると利息額も減っていくので返済額そのものが減っていきます。
元金の減りが早く、総返済額は元利均等返済に比べると少なくなるのがメリットですが、元利均等返済よりも当初の返済額は大きくなるのがデメリットです。
元金均等方式は通常の住宅ローンでは選択することができない場合も多いのですがフラット35であれば選択することが可能です。返済終了までのライフプランを考慮して返済期間だけではなく返済方法も選ぶことで早めに元金を終わらせるのか、返済負担を軽くしてゆっくり返していくのかなど選ぶことができます。
繰り上げ返済はするべきなのか?
住宅ローンを返済する中で考えるのが繰り上げ返済です。今残っている住宅ローンの一部を繰り上げて返済するものであり、元金を効率的に減らすことができるので返済期間を短縮することができたり、利息の負担を軽減したりすることができます。
中には住宅ローンが残っている内は何よりも繰り上げ返済を優先するという人もいます。ただし繰り上げ返済の場合、より効果を発揮するには早めに繰り上げ返済を行わなければなりません。
貯蓄を後回しにして繰り上げ返済をするのであれば手元に資金を残しておいて返済をストップしないようにすることも大切で繰り上げ返済ばかりに気を取られて繰り上げ返済貧乏にならないようにすることが大切です。
金利の見直しのために借り換えを検討する
住宅ローンを上手く借り換えることで返済総額が大きく変わることがあります。現在の日本の住宅ローンの金利は実はとても低い水準となっています。ですからこれまでの住宅ローンを借り換えて金利を見直しているという人は多いのです。
今低い水準で住宅ローンを借りても将来的にもっと金利が低くなることも予想されます。ですが固定型の場合は一度金利が決まると下がることはありません。そこでその時々でタイミングを見計らって住宅ローンの借り換えを検討してみましょう。例えば
- 住宅ローンの残高が1,000万円以上残っている
- 返済期間が10年以上残っている
こんな時に
- 今の住宅ローンの金利よりも0.5%から1%以上下げることができる
こんな条件が重なったら借り換えを検討するチャンスです。借り換え前の条件と借り換え後の条件をシミュレーションしてみましょう。
(文/中村葵)