国民健康保険などの、公的医療保険を除く、特別にプランを選ぶ必要のある任意保険に加入していると、何となく安心するものだ。
でも、その何となくの安心のために、本来必要でもない保険料を支払い続けている人も少なくない。例えば2010年に発表された総務省の国勢調査を見ると、30~34歳の男性の未婚率は47.3%。35~39歳でも35.6%にのぼっていたとされている。
そして、40代以降になって結婚することのできる独身男性なんてほんの一握りしかいない。男性に限らず、昨今では婚期をのがした女性も増えている。
にもかかわらず、生命保険などに加入している人もいるようだ。果たしてこれにどれほどの意味があるのだろうか。
保険をかけておくことは重要!でも伴侶もいないのに死亡保険?
独身者が生命保険に加入しているという構図、普通に考えれば首をかしげてしまうものだ。
伴侶も子供もいないという人が万一に備えて生命保険をかけておいたって、その万一の事態が起きて、亡くなってしまっても保険金を受け取る者がいない。これは考えるまでもなく、誰でも分かることだ。
ところが保険のセールスマンも必死なもので、以前僕の家に訪問したあるセールスレディなどは、僕が独身男性であると伝えたにも関わらず「今後のために」と生命保険を勧めてきた。
押しに弱い人などは、案外そのまま判を押してしまうかも知れない。前述のように生命保険は、万が一自分が不幸な事故や病気で亡くなったとき、家族にお金を残すための保険。
だから独身者が加入する意味は、ほぼない。
独身が生命保険に加入しても、そんなに意味はない!
生命保険は、基本的に家族を持った人々が加入すべきもの。
しかし、前述のように保険のセールスマンは、相手が独身だろうと構わず生命保険を勧めてくる場合がある。こういうときはきっぱりと断ればいいのだけど、永らくこの日本では、「保険に加入してこそ一人前の社会人」とする風潮がある。この風潮に毒されている人、今でも少なくないようだ。
僕の知人のDくんは、独身ながら貯蓄型生命保険に加入して数年。月に10,000円程度支払っているが、今年で32歳になるというのに嫁のもらい手もないありさま。
両親はとっくに他界しているので、実質意味のない保険にお金を投じ続けていることになる。1年で120,000円かかることになるこの保険、仮にDくんがあと20年生きたら240万円を支払うことになる。
貯蓄型なので、支払いが満期になれば払った以上のお金は返ってくるけど、その差額も特に魅力的というわけでもなく……。
かといって月々手ごろな支払いで済む、掛け捨て型の生命保険にすれば、払ったお金は万が一のとき以外は戻ってこない。
あくまで僕個人の考えとしては、やっぱり独身に生命保険というのは無用の長物としか思えない。
おわりに
少子高齢化が加速している昨今。人口がどんどん減り続け、家庭を持たない人々も増えてきた。
今まで漠然と存在していた私たち日本人の保険信仰も、そろそろ認識を改める時期に差し掛かったようだ。生命保険の加入の是非などは、現状の自分を取り巻く環境をしっかりと見定めて考慮する必要がある。
一方で独身の場合でも、例えばがん保険などは、公的医療保険とあわせて万が一のときに本当に役立つ可能性が高い。生命保険の代わりに、医療保険についてよくよく注目するのも悪くないはずだ。
(文/松本ミゾレ)