年収1,000万円と聞くと、多くの人はとても裕福な暮らしをしているのだろうとイメージします。住宅ローンも楽になる、憧れの高級自動車に乗れる、妻は専業主婦で家にいて、子どもを私立に通わせることができる、そんなふうに思っている人も多いのではないでしょうか。
平成26年度の平均所得金額は425万円となっており、地方では若い世代になると平均年収は200万円に満たないところもあるので「年収1,000万円=お金持ち」と多くの人は思うのですが、実は年収1,000万円の世帯でも生活が苦しいと感じている世帯が多いのを知っていますか?
まず年収1,000万円を超える人は日本にどのくらいいるのでしょうか。民間給与実態統計調査によると、全給与所得者のうち年収1,000万円を超える人は全体の3.9%です。
一人で稼いでいる人もいれば、夫婦共働きで、合算して稼いでいる世帯もあります。一人で稼いでいる人の仕事には、弁護士や大学教授、医師やパイロットなどがあります。
【この記事の目次】
年収1,000万円を超える主な職種
これほどまでに高年収の人たちと言えば、どんな職業の人がいるのでしょうか?大きく分類すると、以下のようなお仕事についている人が多いようです。
- 命に関わる仕事
- 大きなお金を取り扱ったり集めたりする仕事
- 難易度の高い国家資格
- 起業家
- 外資系企業などでビジネスエリートとして活躍
- 芸術や芸能分野で著名
職業で代表的なもので言えば、医者や弁護士など人の人生を預かるような仕事や、パイロット、証券会社や商社勤めの人も30代になると1,000万円を超える場合が多いようです。不動産の営業職なども高年収を得られている人がいるようです。
年収1,000万円の手取り金額はどのくらい?
年収1,000万円は総支給額です。そこから住民税や社会保険料、厚生年金、雇用保険などが引かれて実際に手にする金額としては、家族構成や年齢によっても異なりますが、およそ700万~800万円ほどになります。
その中でも税金の割合は大きく、日本の場合は高額所得者ほど高い税率が課せられる「累進課税制度」をとっています。平成27年度分では課税される所得金額が900万円以上1,800万円以下の場合、税率が33%となります。控除額が153万円となるので1,000万円×0.33-153万円=177万円となり、まず所得税が177万円引かれることになります。
年収が上がれば上がるほど引かれるものも多くなっていくので、手取り額を見るとそこまで贅沢な暮らしができる状況とは思えません。
さらに、この所得層の人たちは、児童手当の所得制限や、保育料が高額になる、高齢者になったときに医療費が高いなど、たくさん税金を納めているにもかかわらず、不公平に感じるような制度もあります。
生活レベルの高さが大きな落とし穴に
年収1,000万円の世帯という意識があることで生活レベルをあげがちになる家庭は比較的あります。住宅や自動車の購入など、大きな金額の購入をする場合も、今後のライフプランやお金の計算がザルになりがちで、さらに教育費や日々の浪費がかさみ、気が付くと家計は火の車、などどいったことになりかねません。
「1,000」という数字のインパクトは大きく、住宅や生活品、嗜好品、娯楽への高級志向を生み出す要素にもなるため、思わぬ落とし穴にハマってしまうケースが多々見られるのです。
隠れ貧困家庭が増えている
年収1,000万円と言えば、貧困とは無縁のものと思われるでしょうが、実は年収1,000万円世帯の1割が貯蓄0という実態があります。
こういった家庭は一見して裕福な暮らしをしているのですが、蓋を開けてみると家計は火の車、借金地獄や自己破産にいつ陥ってもおかしくない家庭がいるのです。
仮に今は問題がないとしても、給与が上がらないにも関わらず生活水準を下げらない、貯金ができないまま老後を迎えてしまい、将来的に貧困になってしまうことも考えらえます。
そんな人生を送るのは悲しいですよね。
世帯年収1000万円でも苦しい家庭の家計簿
共働きで年収1,000万円のAさんの家計簿です。
5,000万円のマンションを35年ローンで購入し、現在は子供が一人います。世帯年収1,000万円、手取り月収は約55万円です。
では実際に簡単な家計簿を見てみましょう。
内訳 | 費用 |
住居費 | 17万円 |
食費 | 7万円 |
光熱費 | 3万円 |
通信費 | 3万円 |
保険代 | 5万円 |
教育費 | 8万円 |
車代 | 3万円 |
嗜好品代 | 1万円 |
夫婦の小遣い | 5万円 |
レジャー代 | 2万円 |
合計 | 54万円 |
残金 | 1万円 |
子供を保育園に預けて共働きをしていますが、保育園の他には英語教室とピアノを習っており、教育費は高めです。どの家計の項目もちょっとずつ平均値より高くなっています。月収約55万円に対して月の平均支出額は54万円となり、貯蓄なんて考えられない家計簿ですね。
冠婚葬祭などがあると赤字になってしまいます。もちろんAさんたちはこれまで家計簿をつけたことはなく、ざっくりとした家計簿なのでこの他にも支出がある可能性もあり、毎月のほとんどが赤字になっている可能性もあります。
隠れ貧困家庭を脱出する鍵は貯金
毎月カツカツの生活を脱出するには、まずは家計の無駄や日々の浪費を見直して、毎月少額でもよいので貯金を作っていくことがカギになります。
せっかく稼いだお金も感情のままに使ってしまえばあっという間になくなってしまいますね。お金に対する意識を変えることはとても重要です。
貯蓄できない人に共通する特徴
貯蓄できない人にはいくつかの特徴が共通していることが多くあります。まずは自分に当てはまっていないか振り返ってみましょう。
- 面倒くさがり・・・例えば買い物は近所のコンビニで済ませるなどスーパーで買えば同じものでも安く買うことができるのに節約するぐらいならお金を使えばいいやという人は、貯蓄ができません。
- 借金癖がある・・・借金をする人は貯蓄ができません。
- 時間にルーズ・・・時間にルーズな人は自制がききません。自制がきかないことでお金をあるだけ使ってしまう、好きなものも我慢せずに買ってしまい貯蓄よりも欲しいものを優先してしまいます。
- 流行に敏感・・・流行に敏感な人は貯蓄ができません。中には借金をしてまで流行を追いかけてしまう人もいます。
年収が高い人ほど収入に見合わない贅沢をし、見栄を張る傾向にあります。
人が持っているものは自分も持っていたい、人よりも良いものを持っていたいなど、こういった感情が人間であれば少なからずあるものですが、見栄を張ってリッチさを演出することでお金はあっという間になくなってしまいます。
隠れ貧困家庭の場合は
- 自家用車は必ず新車を購入する
- 立派な家具や革張りのソファ
- 最新の家電やブランドもののバッグや靴
- 休みの日には毎週ショッピングやレジャーに行く
など、見栄によって全く貧乏には見えないのです。
隠れ貧困家庭を脱出して貯蓄を作るには?
年収1,000万円世帯であるAさんの家計簿を見ても無駄や浪費など多くあるのがわかります。引き締められるところは多くあるのです。
ただし、今すぐに上げてしまった生活レベルを下げるとなると難しい家庭も多いでしょう。ですから少しずつ家計を見直しながら身の丈にあった生活レベルに戻していくようにしましょう。
そのためには賢いお金の使い方を身に付ける必要があります。
賢いお金の使い方とは?
まずはなんと言っても家計簿です。家計簿をつけることで何にどのくらいのお金を使っているのかが明白になるので、無駄や浪費などを見つけることができます。
そしてさらに出費を消費・浪費・投資の3つにわけてみましょう。
- 消費・・・支払った金額と同等の価値や効果を期待することができる支払いであり、食費や家賃、光熱費や日用品などがこれにあたります。
- 浪費・・・支払った金額ほどの価値や効果を期待することができない支払いであり、衣類などは生活に必要でも衝動買いをしてしまうと浪費になり、嗜好品やギャンブルなども浪費です。消費も投資も過度になると浪費になります。
- 投資・・・支払った金額以上に価値のある効果や影響などが期待できるものであり、資格取得のための勉強や書籍の購入などが含まれますが、貯蓄も投資に含まれます。
消費、浪費、投資の理想の割合は消費70%:浪費5%:投資25%です。
これをひとつの目安として考えることでお金を有効に使いこなすことができるようになります。また消費であっても使い方を変えることで投資にすることもできます。
食料品などはお腹を満たすために購入するのであれば消費ですが、健康に良いことを意識して購入することで消費ではなく投資になります。ですが過度になれば消費でもなく投資でもなく浪費になってしまうのです。
また、絶対に必要だと思っている出費もよくよく考えてみると不要な場合もあります。例えば生命保険など、保険営業マンの言われるがまま何となく保険に入ってしまい、本当は必要のないプランのまま保険料を払い続けているとすれば、それは浪費に入ります。
保険プランを見直すことで無駄な出費をを減らすためにもう一度、保険のプロに無料相談することをおすすめします。保険のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)が無駄のない、無理のない保険プランを提案してくれます。
保険相談は、自宅や職場の近くにファイナンシャルプランナーが来てくれるので忙しい方でも安心です。また、何度で相談しても無料なので、まずは相談だけでもすると良いでしょう。
このように、限られた収入の中で支出のバランスを見直すことで投資を多くできれば貯蓄を増やすことができ、3つの支出をバランスよくコントロールしていくことができるようになります。
また、節税効果が高いのもこの層ならではです。情報に敏感になってお金の勉強をしたり、ふるさと納税などを活用したりするのも良いでしょう。