NISAの非課税期間が20年に延長?これで何がお得になるのか

節約・貯めたい        2016年10月07日

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(この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。)

  • 日本経済新聞に、こんな記事が紹介されていました。

    政府は利用が伸び悩んでいる少額投資非課税制度(NISA)をテコ入れする。毎月少額を積み立てたい人のために新たな枠を設ける調整に入った。投資上限を現在の年120万円の半分以下に抑える代わりに売却益や配当に税金がかからない期間を現行の5年から大幅に延ばす方向だ。制度の使い勝手を良くして利用者の裾野を広げる。

    この記事を読んで、「そもそもNISAって何?」と思いませんでしたか?そこで、NISA出現の背景から順を追って解説していきます。

    NISA(少額投資非課税制度)はなぜ出現した?

    そもそも、NISAはどうして始まった制度なのでしょうか?

    それ以前に、NISAって何でしょうか?基本から解説します。

    NISAって何なの?

    NISAとは、少額投資非課税制度のことです。詳しくは後述しますが、もともとはイギリスの個人貯蓄口座=ISA(Individual Saving Accounts)をモデルにした制度のため、「日本版ISA」という意味で、NISAという略称が使われています。なのでNISAの「N」は日本(NIPPON)の「N」なんですね。

    軽減税率が終了したから導入された

    2013年12月31日までは、上場株式等の配当・譲渡所得等については10.147%(所得税7%、住民税3%、復興所得税0.147%)の軽減税率が適用されていました。

    しかし、2014年1月1日からは軽減税率の適用はなくなり、20.315%(所得税15%、住民税5%、復興所得税0.315%)の税率が適用されています。

    株式取引にかかる税金が単純に倍になったため、軽減税率に替わる制度の導入が求められていました。

    若年層にも投資に取り組んでほしいから

    財務省の統計によれば、年齢別の金融資産の保有状況は次のようになっています。

    <年代別金融資産残高の分布:2009年>

    年代

    比率(%)

    30歳未満 

    0.5

    30歳代 

    6.3

    40歳代 

    13.1

    50歳代 

    21.5

    60歳代 

    33.9

    70歳代 

    24.8

    <年代別金融資産保有総額:2014年>

    年代

    金融資産保有総額(兆円)

    30歳未満 

    7.8

    30歳代 

    103.6

    40歳代 

    215.5

    50歳代 

    358.4

    60歳代 

    576.8

    70歳代 

    430.7

    この2つの表だけを見てもわかるように、年齢が上がれば上がるほど、金融資産を保有している割合が高くなります。一方で、若年層(特に30歳代以下)は、あまり金融資産を持っていません。

    このような状況を鑑み、若年層にも気軽に金融資産を保有し、投資にチャレンジしてもらいたい、という目的を掲げ、NISAがスタートしたという背景もあります。

    NISAはどんな制度?

    NISAが出現した背景についてお話ししたところで、早速次の話題に移りましょう。NISAの制度について、詳しく内容をご説明します。

    NISAの概要について

    簡単にまとめてしまえば、「専用口座(以下、NISA口座)を通じて金融商品を購入し、投資を行った場合、一定の条件を満たせば投資で得た利益(売却益、配当)が非課税になる制度」です。詳しい条件を表にまとめてみました。

    非課税対象

    NISA口座において保有する株式投資信託・上場株式の配当所得・譲渡所得

    非課税投資枠

    毎年120万円まで

    ※上限まで投資を行わなかった場合でも、余りの投資枠を翌年以降に持ち越すことはできない。

    非課税期間

    投資を始めた年を含めて5年間、途中売却は自由

    NISA口座開設の有資格者

    NISA口座を開設する年の1月1日時点で、20歳以上の日本の居住者、または、20歳以上で恒久的施設を保有する非居住者

    NISA口座開設の手続きと注意

    それでは、実際にNISA口座を開設する場合は、どういう手続きを取ればいいのでしょうか。基本的には、次の流れを押さえれば十分です。

    個人番号確認書類と本人確認書類の準備

    次の個人番号確認書類、および本人確認書類のいずれかを用意しましょう。

    個人番号確認書類

    本人確認書類

    個人番号カード

    個人番号カードがある場合、
    本人確認書類は不要

    個人番号の記載のある住民票の写し

    以下、いずれか1点も必要。

    • 運転免許証 
    • 各種健康保険証 
    • 旅券(=パスポート) 
    • 国民年金手帳 
    • 各種福祉手帳 
    • 介護保険証
    • 児童扶養手当証書
    • 特別児童扶養手当証書 
    • 私立学校教職員組合の加入者証
    • 在留カード 
    • 特別永住者証明書 
    • 国家公務員共済組合または地方公務員共済組合の組合員証

    通知カード

    基準日住所確認書類(住民票等)の取得

    NISA口座の開設にあたっては、基準日(平成25年1月1日)時点の住所、氏名、および生年月日の記載がある住民票が必要になります。基準日と情報に変更がなければ、最寄りの市町村役場に住民票を取りに行けば十分です。

    しかし、次の場合は必要になる住民票に条件が設けられていますので、注意してください。

    <基準日(平成25年1月1日)時点の住所と現住所が一致しない場合の扱い>

    基準日(平成25年1月1日)時点の住所

    確認書類

    現住所と異なる場合

    基準日以降

    同一の市区町村内

    で転居

    平成25年1月1日時点の住所及びその住所に住んでいた期間が記載された「住民票の写し」

    異なる市区町村間

    で転居

    平成25年1月1日時点の住所を証明する「住民票の除票の写し」または「戸籍の附表(生年月日の記載のあるもの)の写し」

    海外に居住していた場合

    平成25年1月1日以降、国内に転入した日の国内住所を証明する「住民票の写し」

    ※ただし、海外から国内に転入した日から現在までの間に転居された場合は、現住所を証明する本人確認書類も必要。

    なお、仕事が忙しい、遠くに転居してしまったなどの理由により自分で住民票を用意しにくい場合は、金融機関が提供する住民票取得代行サービスを利用しましょう。

    その金融機関でNISA口座を開設することが前提ですが、無料で利用できる場合がほとんどです。

    投資信託口座とNISA口座の申し込み

    大抵の金融機関では、NISA口座を保有するためには投資信託口座の申し込みをしなくてはいけません。

    投資信託口座自体はすぐに開設できます。銀行の支店に行って申し込むか、インターネットバンキングから所定の手続きを行ってください。

    その上で、NISA口座の開設手続きを始めましょう。金融機関から郵送で書類が届くので、確認し、必要事項を記入して返送してください。この時、申込書の個人番号欄にもれなく記入し、個人番号が確認できる書類のコピーも同封しましょう。

    なお、NISA口座は1人1口座しか開設できません。並行して他の金融機関でもNISA口座の申し込みをした場合でも、無効になってしまうので注意してください。

    NISAのメリットとデメリット

    次に、NISAのメリットとデメリットについて検証してみましょう。

    メリット

    まずはNISAのメリットからいきましょう。最大のメリットは、非課税枠が活用できることです。

    つまり、一般的な証券取引口座(特定口座・一般口座)では、株式・投資信託の売却益や配当など、取引を通じて得た利益に対して、20.315%の税金(所得税・復興特別所得税・住民税)が課税されます。

    しかし、NISA口座を通じて取引を行った場合には、毎年120万円までの投資であれば、これらの税金はかかりません。よりわかりやすくするために、数字を用いてみましょう。

    例)株式の売却益が10,000円生じた。この時、一般的な証券取引口座では2,031円の税金を支払わなければならないので、手取りの利益は7,969円。一方、NISAでは10,000円が全部受け取れる。

    だいぶ違うのがわかりましたか?

    デメリット

    一方で、デメリットもあります。一般の証券口座の場合、複数の証券会社に口座を持つことができるので、利益がでる口座も、損失が出る口座もあります。

    この場合、1年を通じて取引で出た利益と損失が相殺できたり(損益通算)、損失が上回った場合は翌年から3年間繰り越せたり(繰り越し控除)する形で税金の優遇制度が設けられているのも大きな特徴です。

    しかし、NISA口座の場合、これらの優遇制度は使えません。

    また、年間投資限度額が定められているので、株式投資に回す資金を確保できる方にはあまり魅力的ではありません。あくまで、取り掛かりのための制度としてとらえておきましょう。

    NISA制度の問題点

    投資のすそ野を広げる、という目的で始まったNISAですが、実態はどうなのでしょうか。

    案外若年層は保守的だった!

    日本証券業協会の調査によれば、2015年10月末現在でNISA口座の稼働率は54.8%となっています。つまり、NISA口座を開設した人のうち、2人に1人が実際に取引をしているということです。

    たしかに、投資にトライする人を増やす、という意味では効果があったようです。でも、若い人に限ってはどうなのでしょうか?

    ここで、金融庁が発表した、年代別のNISA口座開設数に関するデータを見てみましょう。

     

    NISA口座数(平成28年3月末時点)

    年代別比率

    総数

    1,012万909口座

    100.0%

    20歳代

    46万235口座

    4.5%

    30歳代

    100万5,123口座

    9.9%

    40歳代

    149万2,936口座

    14.8%

    50歳代

    171万7,492口座

    17.0%

    60歳代

    264万2,539口座

    26.1%

    70歳代

    195万4,893口座

    19.3%

    80歳代以上

    84万7,592口座

    8.4%

    20歳代、30歳代に限って言えば、10%を切っています。つまり、10人に1人もNISA口座を持っていないということです。若年層への拡大、という意味ではまだまだ課題を残しています。

    ジュニアNISAが登場

    若年層への拡大、という目的でスタートしたNISAですが、2015年からはジュニアNISAの運用を始めました。

    ジュニアNISAとは?

    2015年から導入された、未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。主に、大学・短大・専門学校等の進学資金の形成を目的として、口座の開設を呼び掛けています。

    一般のNISAとの違いは?

    毎年一定額までの投資なら、得られた利益が非課税になる、という点は通常のNISAと変わりがありません。しかし、いくつか違いもあるので覚えておきましょう。わかりやすく、表にまとめてみました。

     

    ジュニアNISA 

    NISA

    対象年齢

    0~19歳            

    20歳~

    年間非課税投資枠

    80万円

    (5年で最大400万円)     

    120万円                    

    (5年で最大600万円)

    対象商品

    上場株式、公募株式投資信託等

    投資可能期間

    2016~2023年

    2014~2023年

    非課税期間

    最長5年間

    払出し制限

    18歳までは途中払出しに制限         

    なし

    運用口座の管理

    親権者等が代理 

    本人

    ジュニアNISAはどれだけ効果があったのか?

    さて、ここまでやってどれだけ効果があったのか考えてみましょう。

    金融庁の調査によれば、平成28年3月末のジュニアNISA口座開設数は78,168口座です。つまり、78,168人の未成年がジュニアNISA口座を開設しています。

    一方、同時点の総人口は約2,200万人。つまり、19歳以下人口の0.3%しかジュニアNISAを利用していないのです。なかなかうまくいきませんね。

    まとめ:もし投資期間が20年になれば

    ここで、記事の冒頭に戻ります。NISA及びジュニアNISAのさらなる普及を目指して、制度の改正がささやかれるようになりました。

    金融庁は、平成29年度税制改正要望項目の中で、冒頭で紹介されていた新しいNISAの運用=積立NISAについて、具体的な指針を示しています。要点を図にまとめてみました。

    非課税投資枠

    年間投資上限額60万円、非課税期間20年

    ※長期・分散投資のメリットを十分得られるよう、現行NISAよりも年間投資上限額を小さくする代わりに、非課税投資期間をより長期とする。

    投資対象商品

    長期の積立・分散投資に適した一定の投資商品
    (例:バランス型ファンド、非毎月分配型ファンド等)

    投資方法

    あらかじめ締結した契約に基づき定期・定額で投資(積立)を行うものに限定

    現行NISAとの関係

    現行NISAとは選択的に利用可能とする

    (参照:金融庁の平成29年度税制改正要望について:金融庁)

    少しのお金で始められる、という選択肢を設けた制度ができるのはうれしいですね。NISAを始めるハードルが下がったのではないでしょうか。まずは気軽にチャレンジしてみませんか?

    (文/菊地美亜)

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