男のあこがれ!?ヒモ男の世界
私事で恐縮だが、僕は「ヒモQ」というお菓子が好きだ。
子供の頃から、あの長いヒモのようなグミを食べていると、なんとも幸せな気持ちになる。
その縁もあってか、僕の知人には、ヒモが大勢いる。
ヒモを養ったことがあるという女性もいる。
僕にはなかなか理解できないヒモの世界。
今回こうした人々に話を聞いてきたため、こちらでご紹介したい。
ヒモになれば貯金が減らない!夢と自由の生活
まず手始めに、元々は物書きだったものの、怠惰をきわめて筆を折り、2年前に交際相手の住むアパートに転がり込んだ、Nという男を紹介したい。
Nの見た目はそこそこ良い。
基本的に、女性が「この彼を養いたい」と思わないとヒモになるのは難しい。Nはこの点を容易くクリアできている。羨ましい限りだ。
ヒモになると決め、彼女の家に住みつくようになった時、彼の貯蓄は500,000円ほどだったという。
その貯蓄、2年経過した現在でも、ほとんど変わっていない。要は一切お金を使うことがなくなったため、減らなくなったというのだ。
欲しいものがあっても、外食して食べたい料理があっても、全て彼女が財布を使う。ホテル代だって相手持ちだというのだから、そりゃ減らないというものである。
しかしながら、このNがいわく、ヒモ生活もそれなりの苦労はあるようだ。
ヒモ生活にはどんな苦労があるのか?
「何と言っても彼女には愛情を注ぐことを忘れたらダメ。
正直性欲がない夜でも、求められれば絶対に応じるし、彼女が体調不良になったら看病をする。
家事や自炊もして負担を減らすことも大事。何もしないようなヒモは、すぐに愛想を尽かされるからね。
ヒモもなかなか苦労が多いよ」
ふうん。そうなんだ。
ところで僕は気になっていたことがある。彼女の家に居着くということは、住所変更をする必要があるが、このときNは、相手の扶養家族として住民届けを出し変えているかどうか、これが知りたかったのだ。
この点についても聞いてみた。
「え? 住所はここっしょ。扶養? ちょっとわかんねえわ」
う~ん、ちょっと質問が難しかったかな!?
ヒモを養う女性にも話を聞いてみる
続いて、現在都内でOLとして生活しつつ、自宅アパートでヒモ状態の彼氏と同棲している30代女性のHにも話を聞いてみることにした。
率直に、ヒモとの生活を今後も続けたいか。この素朴な疑問をぶつけてみたところ、このような返事が。
「私ももう30代半ば。家族は『あんな甲斐性なしさっさと捨てて、
地元に戻ってお見合いして安心させろ』と言うようになった。
正直、今の彼の存在は自分にとっては何のプラスももたらさない。
でも愛着が沸いてるのも事実で、愛情というよりも、情がうつってしまった状態。
可哀想で見捨てられない」
Hの家にいるヒモは、気立てが良い好青年ながら、これまでまともに就労した経験もないという。
自分が彼を見捨てた後のことが心配と考えているようだ。
でも、ヒモを養うってそういうリスクあってのことだし、最初からそうなることは分かっていたはず。
本音を言えば、これはHが招いた事象であって、僕なんかは自業自得と考えてしまう。
ヒモは確かに楽だが人としてはどうなのか?
今回話を聞いたヒモのNを見ていても、ヒモを養っているHを見ていても、ぶっちゃけ情けないと感じることが多かった。
Nは住民税や保険料も滞納し、その都度督促は彼女の家のポストに投函され、彼女が慌てて支払いに行くのだと、面白そうに話していた。
HもHで、彼が先日、路傍に咲いていた花を摘んできてくれて、とても嬉しかったと笑っていた。
他所の恋愛事情に口を挟むつもりは毛頭ないけれど、なんとも人として未熟というか、幼稚な人々だなぁと思った次第である。
もしかするとNのように、ヒモになることで貯蓄を削ることもない、自由な生活を送ることに憧れる男性はいるかも知れない。
ただし、その自由ってものは、寄生している相手の犠牲によって成り立っていることを忘れてはいけない。
(文・松本ミゾレ)