先日、駅前で懐かしい文字を見た。
「テレクラ 2ショットダイヤル」と書かれたティッシュをもらったのだ。
まだテレクラなんてものが生き残っていたとは。
いまや2016年。もしかすると、テレクラを知らない方もいるかもしれないので、軽く説明しておきたい。
テレクラとは、専用の店舗に出向き、そこでエロ本でも読みながら個室に備え付けの電話機に、女性からの電話が掛かってくるのを待つという大人の遊びだ。
女性からの電話が来たらエッチな会話を楽しんだり、場合によってはその後外で会う約束を取り付け、ホテルであんなことやこんなことをしたりするという場合もある。
僕はテレクラ全盛期にはかわいい坊やだったので一度も利用したことがない。
さらに今では精力もだいぶ衰えてきたので、今後もこんな奇抜なサービスを利用することはないだろう。
テレクラで車を買った主婦、登場!
ところで世間は狭いもので、僕は普段、アンダーグラウンドな世界について無記名で記事を書いているんだけども、中にはテレクラを使ってお小遣い稼ぎをしたことがあるという人物に出会うこともある。
今回は、20年ほど前にテレクラで車を買ったという、主婦のGさんに話を聞くことができた。
「欲求不満な男は24時間いつでもいるでしょ。そういう人をからかうのが、そもそもテレクラをする最初の動機だったよ」
Gさんは、17歳の頃、母親の買って来たレディコミの巻末にある、テレクラの広告を目にして、男性をからかう悪戯を思いついたそうだ。
「でも、実際やってみると結構面白くて、男の人に会うこともあったし、お小遣いも相当もらったよ」
普通に利用するだけでは飽き足らず、利用者の男性と落ち合って、援助交際のようなこともやってきた、ということだ。
しかし、10代の女の子にしてはやっていることがおかしいようにも思う。
Gさん曰く、「お金はあっても困らないし、使ったら親バレするから、ずっと隠し持っていた」という。
毎月コンスタントに、200,000円ほどは稼いでいたと話す。
やがて高校を卒業して就職しても、彼女のテレクラ癖は抜けなかった。
就職先で早々に仕事に対するモチベーションを失ってしまった彼女は、一方的な理由で退職。そこからは日々、テレクラ三昧だった。
「お店のサクラとしてもぐりこんでバックマージンをもらって生活するようになったんだよね。
ほら、やっぱり顔が分からない男と会うときって、毎回心臓に悪い思いをするから。
今みたいに写メールもないし、声が良くても顔が悪いってパターンで、何度もガッカリしてきたし」
そうこうしているうちに、21歳になっていた。
テレクラでの収入で、Gさんは車を一括購入したのである。
性欲に根ざすお小遣い稼ぎは、自分が老いるまで安泰
ところで、この世には、なかなか廃れない商売というものがある。
それが人間の食欲を満たす飲食店、そして性欲を満たす産業だ。
これらは人間の持つ欲求に根ざすものであり、需要が途切れることはない。
実際Gさんは、大勢の男性がいだく性欲を存分に刺激し、これを満たすことで収入を得る日々を送っていた。
そしてその日々は、2011年まで続いていたという。
もっとも、その頃になるとテレクラよりも出会い系サイトの方が人気になっていた。
テレクラをやるよりも、Gさんは出会い系サイトでこっそりと援助交際を募集していたというが、元々美人なのでそちらの方でも安泰だったようだ。
しかし、さすがにアラフォーになるとGさん自身の需要も減っていき、「頃合いかな」と悟った彼女は、さっさと結婚してしまった。
当然、今の旦那はGさんのこの輝かしい前歴を知らない。
不自然に多い貯蓄を旦那にバレないように注意する日々
Gさんの貯め込んだ収入は、現在は旦那の知らない口座に丸ごと貯蓄しているという。その額を聞いたが、決して教えてくれなかった。
ちょっとでも自分の貯蓄が公になるリスクは侵したくないということだろう。
したたかな女である。
お金の有無って、生活レベルに反映されやすいものだ。
貧乏人は高級な家具を買い揃えられないし、金持ちは1Kのアパートには住まない。
ぶっちゃけGさんは相当額を貯め込んでいることは示唆したが、世間や旦那に怪しまれることがないように、旦那の収入状況に見合った住居に住んでいるという。
秘密を作るのが得意な女。これが今回僕がGさんの話を聞いて感じた率直な思いである。
(文/松本ミゾレ)