税金のプロフェッショナルといわれている税理士は、高収入の仕事といわれています。年収3,000万円以上あるのでは?と囁かれることもあるようですが、本当にその年収はあり得るのでしょうか?実際の税理士の平均年収はいくらくらいなのでしょうか?
ここでは税理士の年収について紹介したいと思います。と、その前に、税理士とは具体的にどのような仕事をしているかをご存知でしょうか?高収入といわれるその仕事内容は本当に収入に見合っているのでしょうか?
税理士の具体的な仕事内容や、税理士になるためにはどんな資格が必要なのか、公認会計士との違いは何か、それらのことを踏まえながら、税理士の年収について迫ってみたいと思います。
【この記事の目次】
税理士ってなあに?
そもそも税理士とは一体何者なのでしょうか?税理士とは、税金に関する業務を手助けしてくれる仕事です。我々国民には税金を納める義務があります。これを納税義務といいます。
義務ですから当然納めなくてはいけないのですが、とはいえ税金にはいろいろな種類があります。身近なところでいうと
- 買い物をした時に支払う消費税
- 給料を貰った時などに支払う所得税
- 住宅にかかる固定資産税
など、その内容ごとに税金がかかります。
他にも、相続税や住民税、法人税や事業税など数多くあり、それらをどういう風に計算して、どれだけ税率がかかるかなども合わせて考えると素人ではちゃんと計算して納税できなくなる可能性があります。
そこで、これらを助けてくれるのが税理士です。税理士は税理士事務所で働いていたり、独立開業している人もいたり、企業で働いている人などさまざまです。
それぞれのフィールドで、税金を納める人の代わりに申告をしたり、税務署への提出書類を作成したり、確定申告の相談業務を行っています。
具体的な税理士の仕事内容とは
税理士の仕事は個人と企業の両方に関わります。個人相手の場合は確定申告や相続や不動産に関わる仕事、企業の場合は顧問契約を結んで税務処理についてのアドバイスを行います。
まず、個人の場合、年金生活をしている人や、自営業をしている人は収入と支出を計算して税務署に申告する確定申告というのをしなければなりません。確定申告をすることによって、税金をいくら納めるのかが変わってくるのでとても重要な手続きです。
しかし、個人が確定申告をしようと思っても、計算方法や申告方法が複雑なので、正確に申告できない恐れがありますし、多大な手間もかかります。そこで、税理士が書類作成や申告を代わりにしてくれるのです。
その他、不動産を購入や、相続をして税金の支払いが必要になる時もフォローアップするのが個人に対する税理士の仕事です。
企業相手の税理士の仕事は?
企業相手の税理士の仕事は、企業にとっての縁の下の力持ちです。顧問契約を結んでいる企業に、たとえば毎月1回程度訪問して税金に対する相談を受けたり、アドバイスを行ったりします。
企業側からすると不必要な経費を浮き彫りにして削減したり、節税の方法を教えてもらったりすることができるので、とても頼りになる存在といえます。
会社経営をする場合、経営者はほぼ例外なく資金繰りに奔走するといっても過言ではないでしょう。そんな時に会社の経営状態を数字で熟知してくれている税理士は、経営者のよき相談相手となります。
個人にとっても、企業にとっても、税理士という存在は非常に重要な存在であるのです。
税理士になるために必要な資格
税理士になるためには年1回行われる税理士試験を受験して合格する必要があります。税理士試験を受験するためには、学歴や履修科目、単位数などによって受験資格が設けられています。
《学職での受験資格》
- 大学か短大を卒業し、法律学か経済学を1科目以上履修した人
- 大学3年次以上で法律学か経済学を1科目以上履修した上、62単位以上を取得した人
- 専修学校の専門課程を修了し、法律学か経済学を1科目以上履修した人
- 司法試験に合格した人
- 平成18年以降の公認会計士試験の短答式試験に合格した人
《資格での受験資格》
- 日商簿記検定1級合格者
- 昭和58年度以降の全経簿記検定上級合格者
《職歴での受験資格》
- 会計の実務経験3年以上
- 金融機関の一定の事務経験3年以上
- 税理士や弁護士、公認会計士等の補助として実務経験3年以上
これら3つのうちいずれか1つを満たしている必要があります。
無事に税理士試験を合格したら、日本税理士会連合会に登録しなければなりません。それをしないと実務に携わることができないので注意が必要です。
公認会計士とどう違うの?
税理士はよく、「公認会計士とどう違うの?」という疑問を持たれるようです。確かに公認会計士もお金に関する仕事をしているので、何となく税理士と似ているようなイメージがあるかも知れません。
しかし、その仕事の中身は大きく異なり、事例によって税理士に相談した方がいいのか、それとも公認会計士に相談した方がいいのかが分かれます。
では、税理士との違いは一体何なのでしょうか?税理士の業務が税務代理、納税書類の作成、税務相談であることに対し、公認会計士の仕事は監査証明業務、財務書類の調整や相談業務となっています。
特に重要なのは監査証明業務です。監査証明業務は、企業が作成している業績の通知簿のような決算書が、ちゃんと作られているのかをチェックする仕事です。
この決算書をもとに銀行が融資を決めたり、上場企業の場合は株価に影響を及ぼしたりするのでとても重要な仕事です。
ちなみに、一定規模以上の会社は公認会計士による監査が義務となっているので、公認会計士はニーズの高い職業といえます。
これだけ貰っている!税理士の平均年収
税理士がどんな存在なのかご理解頂いた上で、いよいよ税理士の平均年収を紹介します。平成27年度の賃金構造基本統計調査によると税理士の平均年収は717万円です。
ただ、このデータは公認会計士と抱き合わせでの数字となっているので、参考程度と考えて頂ければと思います。
そこで、別の角度から税理士の平均年収を紹介したいと思います。日本税理士連合会が2004年にアンケート調査を実施しており、年収帯ごとの割合を算出しています。
それによると、最も多い年収帯は300万円未満で全体の24パーセントとなっており、続いて300万円以上500万円未満の15.2パーセントと、世間でささやかれている3,000万円には程遠い年収帯の税理士が多いようです。
しかし、
- 700万円以上1,000万円未満の年収帯が14.2パーセント
- 1,000万円以上1,500万円未満の年収帯が12.8パーセント
と、平均年収が指し示すように高収入の税理士が多いことも事実のようです。では、3,000万円の年収はあり得るのでしょうか?
実は
- 2.5パーセントが年収3,000以上5,000万円未満
- 5,000万円以上1億円未満が0.8パーセント
- 1億円以上が0.1パーセント
いますので、年収3,000万円以上の税理士は全体の3.4パーセント存在することとなります。年収は開業後の実力によって大きく変わるのが現実のようですね。
まとめ:実力次第で高年収は可能
税理士とは、税金に関する業務を手助けしてくれる仕事で、個人や自営業者に対して確定申告や相続や不動産に関わる仕事や、企業に対して税金に関する相談やアドバイスをする仕事です。
平均年収の目安は700万円程度のようですが、比率が多いのは500万円以下の税理士という現実がある反面、3,000万円以上の年収がある税理士も少なからずいるようです。
個人の役に立ち、企業経営者にとって頼れる存在である税理士は、どうやら実力次第では高収入を得られる仕事のようです。
もしあなたが税理士を目指されるのであれば、人に役立つ仕事であるという志を持って、ついでに高収入を目指しましょう。
(文/田中英哉)