株式投資で失敗はしたくない―誰でも当たり前に持つ気持ちです。物事に絶対はあり得ないので、どんなに頑張っていても失敗してしまうことはあるでしょう。
しかし、失敗のパターンを分析し、「どんな人が失敗するのか」を把握しておけば、大きな損害を被るのは避けられるかもしれません。そこで、株式投資に失敗する人に見られる共通点と、失敗しないための心掛けについてまとめました。
株式投資の失敗談をまとめてみました
いきなりですが、株式投資の失敗談をまとめてみました。「こうなると失敗するのか」という理解にお役立てください。
仕手株で大損した
<ケーススタディ> 1週間近くものすごい勢いで値上がりを続けている株があった。 試しに買ってみたが、その後は数日ストップ安をつけてしまう。 売買が自由にできるようになった時には、株価が半値以下になっていた。 |
この現象が起こる裏には、特定の投資家集団が値を釣り上げ、ある程度の水準になった時点で一気に売り抜けて暴落させる、という罠がある場合もあります。
また、非合法な手段でなくても、相場が急騰している最中は、市場の注目や資金が集中するため、株価が乱高下しながら下がることもあり得るのです。
しかし、一番の問題は、「ものすごい勢いで」という理由だけで買ってしまったことでしょう。
こつこつ貯めた利益が一度の失敗で吹き飛んだ(コツコツドカン)
<ケーススタディ> 「いつかは株価が戻るはず」と保有を続けていたが、一向に株価が戻らず、含み損が拡大してしまった。 ついに半値になってしまったので、さすがにロスカットをしたが大損した。他の銘柄で取り返そうとしても、焦ってしまいなかなか損が埋まらない。 |
少しずつ積み重ねた利益が一度の損失で吹き飛んでしまうことを、「コツコトドカン」という俗語で呼ぶようです。
確かに、コツコツがドカンになっていますね。ロスカットのタイミングを見誤ったのも大きな問題です。
信用取引にはまってしまい貯金が尽きた
<ケーススタディ> ある株式を信用取引で買い建てした。 アメリカで金融不安が起き、そのあおりで日経平均株価も暴落し、保有株も急落してしまった。 しかし、金融不安が日本で起こっているわけではないのでそのうち株価も戻るだろうと、追加証拠金が必要になっても、その都度入金して取引を繰り返した。 手元の資金が尽きてしまったので、子供の教育費にまで手を出し、家庭内トラブルを巻き起こした。 |
追加証拠金とは、信用取引を始める際に金融機関に預けた証拠金が不足した場合に入金しなければならないお金のことです。主に、株価の暴落などで損失が膨らんだ場合、追加証拠金が必要になります。
いつか取り返せる、という根拠のない自信で無茶を繰り返したのが大きな原因でしょう。
株式投資で失敗する人の共通点8つ
株式投資の失敗談をご覧になっていただいたところで、次の話題に移りましょう。どんな人が株式投資に失敗するのか、共通点を考えてみました。
共通点1.株式投資はギャンブルだと思っている
原始的な間違いかもしれません。株式投資はギャンブルではないにも関わらず、ギャンブルだと考えている方は案外多いでしょう。
その場の勢いで銘柄を決めてしまったり、売却益・売却損が出るたびに一喜一憂して、「もっと稼ぎたい」「すぐにでも負けを取り戻したい」と焦ったり……とにかく、支離滅裂な行動をしてしまいがちです。
ギャンブルだって、勝つには落ち着いて戦略を練るのが必要なのに、株式投資で落ち着いて戦略を練らなかった場合、成功するのはとても難しくなるでしょう。
悪いことは言いません、まずは落ち着きましょう。
共通点2.ロスカットができない
ずっと株価が上がり続ける株はありません。市場の流れ、企業の事情に合わせ、上がったり下がったりを繰り返していくのが普通です。そうなると、株を購入した時より株価が大幅に下がってしまうことだってあり得ます。
株価が大幅に下がってしまった場合、あるタイミングで売ってしまうのも大事です。いわゆるロスカット(損切り)ですが、これができるかできないかで、株式投資で成功できるかが決まってしまうといっても過言ではありません。
株価が下落している場合、再び上がるのを気長に待つのも悪くないです。しかし、どんどん株価が下がり、回復できないまでに損失が膨らんでしまう可能性もあります。
やはり、ある程度はロスカットをする勇気を持ちましょう。
共通点3.投資のルールを決めていない
ロスカットが大事、と書いたところで、もう一つ大事なことをご紹介しましょう。
株式投資に失敗する人の特徴として、「欲に目がくらむ」という点が指摘できます。儲かる、という点に敏感になりすぎるあまり、「いくら儲かればいいのか」を忘れてしまうのです。
明確な数値目標を持っていないため、「もっと儲かるはず」と思い込みながら投資を続けてしまうと、失敗する確率は一気に高まります。
後述しますが、目標を数値化するのはとても大事です。ルールを決めなければ、株式投資は失敗に終わる確率が高いでしょう。
共通点4.安易な理由で株式投資を始める
「預貯金で持っておくより儲かりそうだから」という安易な理由で株式投資を始めた方はいませんか?
たしかに、株式投資はうまくいけば、預貯金で持っておくより収益は挙げられるでしょう。これは本当です。
しかし、安易な理由で始める方の大半は、株式投資にどう取り組めば収益が挙げられるのか、という点については無頓着なのも事実です。
安易な理由で始めた株式投資は、大体うまくいきません。
共通点5.金融機関の言いなりになっている
株に限らず、金融商品への投資を行う場合、冒してしまいがちな間違いがあります。それは、金融機関の担当者に言われるがまま、商品を購入してしまうことです。
ご自分が納得して購入したなら問題はありませんが、内容もわからず買ってしまうのはよくありません。内容がわからない以上、どうなったら売却すべきかなど、戦略が立てられないことになります。
もし、金融機関で商品を進められたら、「なぜ、この商品をおすすめするのか」について、しっかり聞きこんでください。
わからない点をわからないままにするのは絶対にやめましょう。
共通点6.一つの銘柄にお金をつぎ込んでしまう
仮に、株式投資に使える資金が100万円あったとします。1つの銘柄に100万円つぎ込んでしまうのと、値動きが異なる2つの銘柄に50万円ずつつぎ込むのとでは、どっちが安全なのでしょうか?
答えは後者です。株価が上昇し続ければ問題はないのですが、何らかのきっかけで暴落した場合、1つの銘柄につぎ込んでいたら、損失が膨れ上がってしまいます。値動きが異なる銘柄を複数買っておいた方が、損失は少なくなるのです。
この考え方は分散投資といって、株式投資においてはとても大事な考え方となります。分散投資ができてない故に、株式投資に失敗する方はとても多いです。
共通点7.一度買ったらそのままにしている
株式投資は、買った株をそのままにしておいても収益は出せません。適切なタイミングで売買を繰り返し、地道に収益を積み上げていくのが基本と考えてください。
しかし、株式投資で思うように成果を上げられない方は、この基本を忘れがちです。つまり、一度買ったらそのままにしている、というパターンも少なくありません。
共通点8.情報収集や勉強が面倒くさいと思っている
最後は心構えの問題です。
先に書いたことともかぶりますが、一度買った株をそのままにしてしまうのはなぜでしょうか?一つの原因として考えられるのが、情報収集や勉強を怠っているために、それが株式投資においてはやってはいけないこととわからないからです。
つまり、情報収集や勉強が面倒くさいと思っている方は、株式投資で成功する可能性が限りなく低いと考えましょう。
株式投資で失敗しないための5つの心掛け
株式投資に失敗する人の共通点を踏まえ、失敗しないための心がけについても考えてみました。次の5つに特に注意してください。
心がけ1.情報収集・勉強を怠らない
あなたは、高い買い物をする時はどうしていますか?一目ぼれしたものを衝動買い、もあり得ますが、たいていはしっかりリサーチしてから買いますよね。
株式投資だって、ある意味高い買い物です。何も考えずに決めたところで、いい結果は残せません。情報収集はしっかり行ってから、実際の取引に移ってください。
まずは、「この会社の株を買いたい」と思う企業について、情報収集を行いましょう。公式ホームページ、ファイナンス情報掲載ページなど、インターネットを検索するだけでも、相当な情報が手に入ります。
余力が出てきたら、雑誌や新聞なども使い、様々な情報を拾ってみましょう。
また、株式投資で成果を挙げるには、勉強も必要です。特に初心者の方に意識してほしいのが、「株式投資はどのタイミングで何をすればいいのか」という流れをしっかり頭に入れることです。
株式投資は、基本的には「株を買い、上がったら売って利益を得る」という簡単な仕組みではありますが、注文方法などを押さえておかないと、スムーズな取引はできません。
これから株式投資にチャレンジしたい方は、デモトレードを通じ、一連の流れを押さえてみてはいかがでしょうか。専門用語の意味も同時に学べるので、おすすめします。
心がけ2.人の話をうのみにしない
現在はインターネットが普及したため、様々な立場の方が情報を自由に発信できます。インターネット上の掲示板に書かれている情報を見て、落ち着かない気分になる日だってあるかもしれません。
あなたの行動をポジティブにしてくれる情報なら、ぜひ取り入れてほしいところですが、不安に駆られて行動するのはあまりよくありません。
特に、株式投資においては、何の裏付けもないのに不安を掻き立てる情報が出回っていることもあります。そういう情報に惑わされないようにしましょう。
「どうすれば儲けられるか」ではなく、「どうすれば大損しないか」を考え、合理的に行動してください。人の話をうのみにしたところで、いいことがないのは株式投資でも同じです。
心がけ3.自分の性格・ライフスタイルに合った投資スタイルを選ぶ
このコラムを読んでいる方なら、デイトレーダーという言葉をご存じかもしれません。では、デイトレーダーはどうやって稼いでいるのでしょうか?
そもそも、デイトレーダーは「デイトレードをする人」という意味です。デイトレードとは、購入した銘柄をその日のうちにすべて売却決済する投資のスタイルを指します。
と、いうことは、株式市場で取引が行われている時間は、ずっと市場の動向を見守り、的確な判断を重ねていかなければなりません。会社勤めなどで日中は家にいない方にこのスタイルでの投資は向いていないでしょう。
日中に取引する時間が取れないなら、長期投資・中期投資を基本にしてください。
また、ご自身の性格によっても、投資スタイルを考える必要があります。
情報収集が得意、機敏な判断ができる、物事に動じない性格なら、中期投資で、ある程度のスパンで利益を挙げていくことを目指してください。
一方、面倒くさがりだったり、物事に動じやすい性格だったりするのであれば、しっかり腰を据えて、長期投資に取り組んでみるのをおすすめします。
心がけ4.目標を明確にする
「株式投資で儲けたい」と思うこと自体は悪くありません。資産形成の一つの手段である以上、儲けるのはとても大事です。
でも、いくら儲けたいのでしょうか?
そして、いつまでに達成したいのでしょうか?
この2点がわかっていないと、どんな株式を買えばいいのか、どのタイミングで売るのかがはっきりしません。目標がはっきりしないと、適切な行動は起こせません。
まずはしっかりと目標を明らかにしてから、株式投資に取り組むのをおすすめします。
心がけ5.知識・余力がないのに信用取引をしない
最後は、株式投資に慣れてきて新しい方法を探している方に向けた注意です。
株式取引は、現物取引=実物の株式を売買して利益を挙げる取引が一般的ですが、信用取引というやり方もあります。
つまり、将来の一定の日に、特定の株式を、特定の値段で売買する権利を取引する方法です。この方法は、証券会社に保証金を預けるだけで、保証金の3倍までの取引ができるため、成功すれば利益もそれだけ大きくなります。
逆をいえば、失敗すれば損失も膨らむのです。初心者が安易に手を出さない方がいいのはお分かりいただけたでしょうか?
信用取引にトライする場合は、しっかりと仕組みを理解した上で、損失を出しても動じない程度の資金を用意してから始めてください。
(文/菊地美亜)