生活が苦しい!
普段の食事はホットケーキの粉を水だけで溶いて焼いたものや乾麺タイプのうどんを茹でただけのもの。子どもにお腹いっぱい食べさせてあげることは難しく、明日の食事にありつけるかもわからない。いくら寒くても暖房器具を買うお金もなく、お風呂もつかることなくシャワーだけ。このような生活は母子家庭ではめずらしいことではなく、母子世帯の2世帯に1世帯は貧困に陥ってしまっているのです。
これだけの情報を見ていると彼女たちにも原因があるのではないか?と正直思う方もいるでしょう。事実、このような母子家庭で何か刑事事件が発生した場合、白い目で見られるのは決まってその子どもの母親です。彼女たちはとにかく明日を生きぬくことに焦点が充てられるため、子どもの教育はおろそかにしがちな傾向にあります。
その結果、子どもがいじめに合っているということに気づかずに、子どもが事件を起こすということも考えられますし、実際、母子世帯で育った子どもは非行に走りやすいというデータもあるそうです。なぜ、そのような貧困な母子世帯になってしまったのでしょうか。
なぜ彼女たちはそうなってしまったのか?
やはり最も大きな原因は離婚のようです。夫と同居していたときにDVを受けていたという女性は少なくなく、それが一つの原因で離婚し、シングルマザーになったということなのです。もちろん女性も仕事をしているわけなので、すぐに貧困に陥るということはありません。しかし、統計的に見てみると、日本は一人親世帯の貧困率が著しく高いということが明らかになっています。
つまり、毎日のように仕事はしているけれど頑張っても頑張っても貧困から抜け出せない!という人が数多く存在するのです。
実は貧困はこんな身近なところに!
母子家庭を見たことがないから実感が湧かないという人も多いかもしれませんが、実は母子世帯は身近に存在します。国民生活基礎調査によると全世帯数の5011万世帯に対して、母子家庭世帯は82万世帯あるそうです。
割合にしておよそ1.6%が母子世帯です。つまり一学年の生徒数が200人であるとすると、学年に3人は母子家庭世帯の子どもがいる計算になります。
それほど多くないのではないか?と思われるかもしれませんが、小学校であれば全校で20人にも上る計算になるのです。逆に言えばこれだけの子どもが毎日ご飯を食べるだけで精一杯でお金のかかるようなクラブ活動をすることはできないのです。さらに、母親はずっと働きに出ていて孤独を感じ続けるという子どもも少なくないのです。
貧困なシングルマザーにならないためには
では、もし夫と離婚することを考えている場合、そのような貧困な母子家庭にならないためにはどうすればいいのでしょうか。
まず、安定して収入を得ることができる就職先を先に見つけることです。最近であればリーマンショックの影響も随分と和らぎ、就職先が見つかるようになってきました。
もちろん簡単なことではありませんが、安定して給料のもらえる就職先さえ見つかれば、あとはなんとかなります。パートやアルバイトで得られる収入は微々たるものですし、生きていくためだけの収入を得るために毎日身を粉にして働かなければなりません。そうなると時間もなくなるので子どもと関わる時間はもちろん、新たな働き口を探すこともできません。
シングルマザーでこのような環境はまさに地獄です。どれだけ今の環境が悪くても、離婚後の現実も考えなければなりません。最近であればクラウドソーシングなどで月に30万円稼いでいるという主婦がいるとも聞きますし、多様な働き方ができるのも現代ならではでしょう。
貧困問題を解決するために
今後シングルマザーの貧困をそもそも減らす方法はないのでしょうか。シングルマザーを保護するための団体や国の手当ばかりが叫ばれていますが、そればかり期待するのは少々無理があります。
例え、手当が給付されるようになったとしても十分な給付がされる保障はありませんし、給付されたとしても大量の時間がかかると考えられます。
やはり根本的にシングルマザーの貧困をなくすためには、一人一人が将来のことをきちんと見据えるということに収束するのではないでしょうか。現状から抜け出すことを考えることで精一杯かもしれませんが、その後の現実まで見ないと悲惨な状態になりかねません。
もちろん保護も必要かもしれませんが、そればかりを当てにしないことが、シングルマザーの貧困をなくす1番の方法だと思います。
(文/河崎鷹大)