昔はほんのわずかなお金を出せば買えたようなちっぽけな商品が、なぜか20年ほど経った現在になってお宝扱いされている――こういうケース、おもちゃ業界では当たり前のことだったりする。
僕は趣味の範囲でそういうお宝を探しては中野辺りに出向いて、買取りしてもらうことが数ヶ月に1度あるんだけど、まあこれが上手いぐあいに良いものを掘り出すと大金に結びつく。
ガシャポンを覚えているだろうか?
もちろんそれだけで生活を成り立たせるレベルではないけど、この手のケースは、実は僕たちが小学生の頃に駄菓子屋の店頭やデパートのおもちゃ売り場の入り口などで見かけた、ガシャポン(もしくはガチャガチャ)のゴム人形が思いっきり当てはまっているのだ。もしかしたらそういうものを集めるのに熱中していたという人もいるかもしれない。
そしてこういうおもちゃは、案外実家のちょっとしたスペースにまとめて保管されていたりするものだ。押入れや倉庫の中に、もしかすると、とてつもないお宝に成長した子供の頃の思い出が眠っているなんて、考えただけでちょっとワクワクしてしまう。
今回は、僕らが子どもだった1980年代後半から90年代の前半にかけて出回ったガシャポンのチープなおもちゃの中でも、きわ立って人気になっているシリーズを簡単に紹介してみたい。ズバリ、SDガンダムの無彩色人形の中には、1つウン万円の価値を持つものがゴロゴロしているのだ!
高額買取りの決め手はパーツ欠けの有無!
SDガンダムのガシャポンは、何10弾にもわたるロングセラーになっている。
しかし初期のラインナップほど人気が高いのかと言われればそうではなく、実際にはシリーズ終了間際の、もう人気がなくなってきた時期に出回っていたものの方が、今は価値が高い。その理由は、市場に出回った数が初期ほど多くなく、誰でも持っていたアイテムよりもレアリティが高まったことが考えられる。
特にガンダムの場合は未だに根強い人気のあるジャンルだし、余計に価格にも反映されやすいのだ。また、後期ラインナップともなると金メッキパーツが付属していたり、武器が多彩だったり、サイズが大きなものも少なくない。
さらにパーツ同士をつなげているジョイントを切り取っていなければ完品と見なされ、ショップでもインターネットオークションでも大いに歓迎される。
例を挙げると、僕が以前に手離した「飛駆鳥大将軍(ビクトリーだいしょうぐん)」は、パーツの欠けがなく、即決で12,000円になった。けれど詳しい知人に聞けば、これでも買い叩かれたようなもので、ネットオークションに出品していればもっと高く売れたのだという。元々は100円で手に入ったものなので、20年後に価値が120倍になっていたと考えれば、それでも御の字なんだけど……。
変な西洋風の翼の生えたヤツは絶対高い!
「ガンドランダー」というジャンルのガシャポンをご存知だろうか。SDガンダムの亜流で人気だったナイトガンダムともまた違う、悪魔のような角やらドラゴンみたいな翼の生えた、かなり装飾華美なものがある。
僕の住んでいた地域では、これがハズレ扱いで全く人気もなかったんだけど、どうもこのところ、「ガンドランダー」シリーズはバカみたいに高騰しているようだ。
買取に持ち込めば安定して20,000円以上になるアイテムもあり、モノによってはオークションで50,000円以上の入札が入ることもしばしば。僕も子供の頃にいくつか持っていたんだけど、なにせ不人気だったこともあって早々に紛失してしまったのが悔やまれる。
おわりに
僕らが子どもの頃には当たり前にありふれていたチープトイも、今となってはびっくりするような価値が付いて取引されている場合もある。
まもなくお盆だ。実家に帰省するという方も多いはず。まだ残っているのなら、おもちゃ箱やら古いダンボールの中を確認してみるのも悪くない。
もしかすると、とてつもないレベルのレア・アイテムがあなたの実家の押入れにも眠っているかも知れないぞ!
(文/松本ミゾレ)