先日、ロト6攻略情報の裏側についてお話したが(参照リンク)、吉田はたくさんの質問に答えてくれた。今回は、「なぜ、ロト6を悪用した詐欺商材がたくさん売れるのか」を中心に、インタビュー内容をご紹介したい。
【この記事の目次】
ロト6攻略情報ビジネスの基礎知識
ロト6攻略情報ビジネスとはどのようなものだろうか。よく知らないという方に向け、一度詳しく解説しよう。
まず、ロト6攻略とは、抽選番号が抽出される仕組みを予想することだ。スポーツ新聞や書籍で攻略情報が出ているが、エンターテインメントとして楽しむなら十分だと思う。新聞なら一部100円、書籍でも1,000円程度で購入できる。
詐欺業者が販売する価格と商品を見てみよう。ロト6攻略商材の価格は、1つにつき数万円から10万円以上と、新聞や書籍よりも高額である。
攻略商材の内訳を見てみよう。攻略に関する知識をまとめた書籍、ランダムに数式を抽出するソフトなど、一見するとまともそうなものが多い。
しかし、アマゾンで採れた木で作った鉛筆、霊感がこもった鏡やダーツなど、明らかに胡散臭い商材も販売していた。もちろん、どれも詐欺商材である。
私は、興味本位で「どんな商材が人気なんですか?」と尋ねた。すると、予想外の回答が返ってきた。
ラクしてお金を稼げる商品が売れる
吉田いわく、
「シリーズ化していたロト6用のエクセルは売れ行きが良かったです。累計1,000本以上売れましたね。でも、お守り代わりになる鏡、投げるだけで当たるダーツも意外と人気でしたよ。10年前は主力商品で、リリース初日で100個くらい売れました(笑)」
まさか、鏡やダーツを購入する人がいるとは思わなかった。ロト6で稼ぎたいと思っているくらいだから、ラクしてお金が欲しいということなのだろうか。
メルマガで会員向けに情報提供
某ロト6攻略サイトでは、Webサイトを閲覧したユーザーや雑誌広告を見た読者に対し、無料メールマガジンへの登録を勧めている。
その後、毎日のようにメールマガジンを送付し、「有料会員限定のメールマガジン登録販売」「ロト6攻略情報販売のセールスレター」など、さまざまな商材を販売していたそうだ。
吉田によると、全盛期のメールマガジン会員は40,000人以上に上ったという。
メールマガジンでどれだけ売上が出たか、吉田は教えてくれない。しかし、売上が気になるのが人情である。40,000人が会員登録していると、どれくらいの収益が上がるのだろうか。
メールマガジンの売上を試算してみた
Webマーケティングに関するデータから、吉田の売上を考察してみたい。平均的なメールマーケティングの指標に当てはめると、40,000人のうち、4,000人が開封し、120人がサイトへ誘導され、7.5人が購入すると考えられる。
おそらく、吉田はメールマガジンを通じて、1日あたり7~8人に詐欺商材を販売していた。1つのメールマガジンあたり30日間のセールを行うらしいので、単純計算で、200人以上が詐欺商材を購入したと考えてよいだろう。
ユーザーがリアルな情報を求める時代
「詐欺商材を扱うメールマガジンで、なぜこんなにも簡単にモノが売れるんですか?」と、私は吉田に質問してみた。すると、吉田は「じゃあ、広野さんにメールマガジンの一部を見せますよ」と言ってくれた。
メールマガジンの内容は、投資ノウハウや人生論など多岐にわたる。紹介できない内容も多かったが、「殺人事件の動機と21世紀のライフスタイル」というテーマのメールを一例に取り上げたい。
「現代日本では、わずか数万円のために殺人事件が起きています。労働よりも殺人を選ぶ人は、学校や家庭で、仕事に対する価値観を学べなかったのでしょうか。私は、ロト6攻略というビジネススキルと仕事の価値観をあなたに伝えます。手に職を付け、時間や場所に縛られない働き方をしてほしいです。自由な働き方をするには、まずはロト6攻略の知識が必要なので、今すぐ有料会員限定してください。そうすれば、困窮や犯罪とは無縁な生涯を送れるのです。」
原文はわずか800文字程度だった。短いメールのなかに、現代日本の社会事情から価値に対する価値観、新たな働き方まで話題に上がっている。
そして、有料会員登録や攻略商材を売り込む文言で占められていた。賢明なHOW MATCH読者の方は気付いているだろうが、ロト6で救われることはない。詐欺商材を掴まされないように気をつけよう。
(文・広野一揆)