本音と建て前ってありますよね?転職しようと思っている人は誰もが元の会社に対して「年収が低いから」「上司が気に入らないから」とは言いません。
「キャリアアップしたい」とか「挑戦をしたい」とかとても聞こえの良い理由を作ります。これが日本において大人の世界の常識なのでしょう。
あなたが採用担当者として「志望理由は年収です」と言われたらどう思いますか?素直だな、と思いますか?それとも……?
仕事の満足感と年収
「転職の志望動機を、年収で考えるのはやはり良くないのでしょうか・・?」
これはキャリアや転職に特化した匿名相談Q&Aサービス、JobQに寄せられた質問です。
質問者は20代後半の女性で、今の仕事内容には満足しているものの、年収が低いため転職を考えているという方です。今の「普通の生活ができる」程度ではなく「もっと余裕のある暮らし」ができる年収が欲しいというのが彼女の望みです。
しかし転職活動をしようと思っても今の仕事に満足しているため志望動機が年収になってしまう、「やはり志望動機としての年収は良くないのでしょうか」と悩んだためこのQ&Aサービスに投稿したようです。
この質問について6人の方が回答しました。そのほとんどは「志望動機として年収を言うことは間違っていないが、年収だけでは転職ができないのでは」というものでした。
謙虚・謙遜が日本人の美徳です。ある種、習性と言っても良いものです。そんな日本人の面接官に向かって「年収」とストレートに言うのはちょっと眉をひそめられる行為という意見のようです。
「オブラートで包んで」と言いますが、年収という動機をぼかす他の動機も欲しいというところですね。質問者に対する回答にも「日本では年収や人間関係を志望動機にすると悪印象」という人もいます。
本音と建て前の使い分け
転職活動を始めるのに大切なものは自分の気持ちです。質問者の彼女にとっては「年収」です。しかし採用する企業側にとって重視したいのは「わが社にとってメリットとなる人か」です。
「私を採用するとあなたたちの会社にとってメリットになりますよ」と言わなければいけないのが面接です。質問に対する回答にも「志望動機は事業のことを言わないと」という意見があります。
確かに面接の場で「御社の志望動機は年収です」と言われたら面接官は面食らうと同時に「わが社にとってのメリットは?」と思ってしまうでしょう。それでは面談は失敗です。
読み手である採用担当者の立場からみた志望動機を考えましょう。そのためには事前に企業がどのような人材を求めるのかリサーチしておきましょう。
曖昧な志望動機はNG
また企業側としては、採用したら長く勤めて欲しいと考えます。年収を上げたい、しかも余裕のある生活をしたいという曖昧な志望動機の場合、もっと条件の良いところから打診されたら移ってしまうという印象を与えます。
採用担当者としても「別にうちじゃなくてもいいんだな」と思ってしまいます。どうしても来てほしいという人材にならない限り採用は難しいと思われてしまいます。
年収をあげたいことを志望動機にするならば具体的な年収の使い道、例えば「英会話スクールの月謝にしたい」「ビジネススクールに通いたい」などキャリアアップにお金を使いたいというと説得力および向上心をアピールできると考えられます。
年収が上がることによるリスク
「別の会社に転職すれば年収が上がると単純に考えてはいけない」という意見もあります。
1つは質問者の年収とその職種の平均がどの位離れているかです。その方によると「大幅に乖離してる場合はその仕事に対する熱意と年収を上げたい旨を伝えることでわかってもらえると思います」とのことです。
しかし平均とそこまで差がない場合は会社を変えることで年収が上がると安易に考えていると思われてしまうとも述べています。
また年収は転職理由としては正しいとしても、
「年収が上がるということは、期待値も上がることになるので、その期待値をさらに上回るんだという覚悟は最低限必要」
「せっかくお気に入りの職場を捨てて転職すれば、お給料はお望みの通りにあがるでしょうけど、仕事や人間関係などの環境は今より良くなるとは限りません」
という意見を述べています。
余裕のある生活をしたいという夢を具体的にしてみましょう。例えば今の年収の2倍稼ぎたいという希望は転職でも叶えるのが難しいです。
収入を増やすには転職以外の方法も
回答の中にも「転職を収入を上げる手段だと考えてるなら、たかだか月10万円あがるかどうか」という意見もあります。同回答者は「ブロガーやアフィリエイター、ヤフオクやメルカリ、株式やFXなどネットで稼げますので、転職活動の傍らでやってみてはいかがでしょうか」と収入を上げる手段として転職以外の手法を提案しています。
何ごとも固定概念にとらわれず選択肢を増やすことが大切なのです。
(文/高橋亮)