華やかで、バブリーなイメージがあるIT業界。しかし、ふたを開けてみると格差がひどい業界というウワサもあります。30歳で年収200万円という人もいると言いますが、なぜ格差が広がってしまうのでしょうか。
30代エンジニアで広がる年収格差
リクナビNEXTが2,180人のエンジニアを対象に実施したアンケートを見ると、ハードウェア開発に携わる30歳のエンジニアの平均年収は478万円ということがわかりました。30歳の平均年収は439万円なので、他の職業と大きな差はありません。しかし、内訳を見ると大きな開きがあることに気が付きます。
30歳の最高年収を見ると820万円と出ている一方、最低年収200万円という結果が出ています。平均年収は年齢とともに上がり、35歳までに557万円に到達します。この時点でのエンジニアの同年齢では最高1500万円を記録する人もいますが、最低年収は150万円という人もいました。同じ職業ですが、わずか10分の1の収入しかありません。
稼げるイメージがあるIT業界ですが、エンジニアの収入格差は非常に大きいです。劣悪な環境で働いている人が多い現実を見逃すことができません。
IT業界で年収格差が起きる理由
皆さんのご想像のとおり、IT業界の中にはベンチャー企業が多いです。そのうち、有名なシステムやアプリゲームを開発しているのはほんのひと握り。大半の企業は、システム開発の受託業務で売上を立てています。
業界の構造上、大企業から業務委託されるケースは少なくありません。たとえば、有名なシステム開発の業務も下請けに流す事例がしばしば見受けられます。一次下請けは業務量に対して売上も多くなりますが、孫請けや、ひ孫請けとなると、実務作業の割に儲からないという現象が発生するのです。
下請けへの発注が繰り返されると、中間マージンを取るだけの会社が増えます。その結果、一番下にいるエンジニアたちの給与にしわ寄せが来るのです。売上も少ない中小企業の経営者は、赤字に転落しないようにブラック企業的な働き方を要求せざるを得ません。
地域による影響も大きいが
エンジニア平均年収を決定する要因は、都市部か地方かという要因も影響します。リクナビNEXTでエンジニア1,000人を対象にした調査によると、関東608万円、関西588万円であるのに対し、北信越517万円、北海道・東北・九州502万円という結果が出ました。
地域別平均年収を見る限り、関東や関西のほうが優位に見えます。しかし、満足度では北信越が1位で73%という結果が出ました。一方、満足度の最下位は中国・四国の53%ということが明らかになっています。
仕事内容別の平均年収と最高・最低年収
エンジニアと言っても、仕事内容は人それぞれ異なります。具体的には、どのようなモノを開発し、どのような職種に就くのが稼ぎやすいのでしょうか。先のリクナビNEXTのデータをもとに考えてみたいと思います。
ソフトウェア部門では、平均年収が最も高いのはプロジェクトマネージャーの733万円でした。最高年収750万円、最低年収700万円と、安定して年収は高いです。
最高年収を基準に見ると、システム開発が年収1350万円でした。ただし、最低年収150万円を記録したのもシステム開発のエンジニアなので、IT業界で稼ぐ難しさを感じさせるポイントです。
ハードウェア部門では、半導体設計が一番高く、平均年収は569万円でした。最高年収は生産技術・プロセス開発、サービスエンジニア・FAE の1500万円です。一方、最低年収は品質管理や製品評価関連の仕事で150万円でした。
正当な評価が下りる職場へ転職しよう
年収格差が激しいエンジニアですが、その原因は「下請け」と「地域差」、そして「仕事内容」であることがわかりました。おそらく、自分のスキルが高いのに正当な評価を受けていないケースも多いはずです。ご自身のスキルに自信がある方は、年収格差が広がる前に転職するのがよいでしょう。