漫画やテレビドラマなどでホストという職業が取り上げられることも多くなっています。夜の街を歩いているとホストだと思われる人に声をかけられたという女性もいるのではないでしょうか。
女性の隣で盛り上げてお酒を飲んで、一晩に何百万という大金を使う女性客もいたりすることで、とても華やかな印象が強いホストという職業、男性であれば憧れるとまでは行かなくとも、その収入が一度は気になる職業でもあります。
では世の中のホストたちはいったいどのくらい稼いでいるのでしょうか。
稼げるのは10人に1人の厳しい現実
一晩で何十万円もするブランデーやシャンパンが次から次に売れるホストクラブで働くホストたちは、いったいいくら稼いでいるの?と気になる人も多いのではないでしょうか。
高級スーツに身を包み、高級外車を乗り回す。お客様からは毎日のように高額なプレゼントをもらうなどドラマや漫画の世界ではホストたちはとても華やかな毎日を送っているように見えます。
ではまずホストの給料のシステムを知っておきましょう。
ホストクラブの給料システム
ホストクラブは基本的に歩合制です。昼間の仕事で言えば営業職などと同じですね。新人の場合は一人前になるまでの3ヶ月ぐらいであれば日給が保証されていることがほとんどです。
求人広告には月収100万円とか書いてあることも多いのですが、ほとんど嘘と思って良いでしょう。
新人のうちに指名客を持ってお客様を呼ぶことができればいいのですが、いわゆる売れないホストの場合は新人期間が終わると日給5,000円から7,000円程度に下がり、1ヶ月休みなしで出勤しても月収は18万円程度にしかなりません。
通勤しやすいからと言って、ホストクラブが所有している寮に入ってしまうと、給料から3万円から5万円ほど寮費として引かれますし、毎日美容室でセットをする場合には1回1,000円から3,000円ほどかかります。
またキャッチや指名客が取れない、遅刻、欠勤など何かにつけて罰金が発生することがほとんどなので実際に手元に入ってくる収入は10万円を切ることも少なくありません。
薄給のホストが大勢いるのが実態です。
何十万、何百万と稼ぐためには自分のお客様を作り、せっせとお店に通ってもらって高いお酒やフードなどを入れてもらうことで稼いで行くしかありません。そのためには容姿や接客、人脈など、ありとあらゆる武器を駆使して稼いで行くしかないのです。
ホストの年収はこれぐらい!
お店の規模や地域などにもよるので一概には言えないのですが、ナンバー1クラス、中堅クラス、新人クラスで年収を算出すると以下の通りです。
- ナンバー1クラス
トップクラスのホストであれば月の収入は数百万円から数千万円になることも珍しくはありません。中には年収が数千万円から数億円と言われるホストも存在し、こういったホストがいることでホストになりたいと思う男性があとを絶たないのでしょう。とは言ってもこの収入全てがホストのものになるわけではなく、スーツ代や時計などの装飾品、美容院や車の維持費などそれ相応の経費も必要になりますし、実際にこれだけの収入を得ているホストはほんのひと握りです。
- 中堅クラス
ホストとして一人前と呼ばれるラインは小計売上で100万円だそうです。100万円売り上げるとホストの収入はだいたい約半分の50万円となります。コンスタントに毎月100万円の売上を作ることができれば年収は600万円程度となり、店でも中堅クラスと呼ばれるようになるようです。
- 新人クラス
指名をしてくれるお客様がいない場合には月収は15万円程度となり、年収は200万円程度となります。
下手するとサラリーマンよりも年収が低いなんてことも多く、早い段階でホストを諦める人も多いようです。
お酒の飲みすぎ、深夜営業……ホストの寿命は儚くて短い
高額な年収を稼ぐことができるチャンスがあるのがホストという職業です。
ですが長く続けられる仕事ではありません。深夜営業による睡眠不足やお酒の飲みすぎなどで体を壊してホストを続けることができなくなってしまうこともあります。さらに容姿や若さなどが重視されるこの世界では、年齢に限界を感じてホストを引退する人も多く存在します。
ホストの最終目標には自分の店を持つことが多いのですが、夢半ばで破れて去って行くホストも多いのです。太く短く稼ぐというのがホストの常ではないでしょうか。
給料がマイナスに?ホストが頭を抱える未収制度
ホストクラブに在籍しているホストは個人事業主として例えられることが多い職業です。
お店は場所をホストに提供しているだけというスタンスが多いのでホストは一人一人が自分の店の店主となります。ですからお客様の支払い方法を決めることができます。
支払い方法と言えば現金かクレジットカードをイメージするのですが、もう一つがツケです。担当のホストが許可さえすればその日の飲み代をツケにして帰ることができるのです。
ただしツケにするとその月に売上にはなりませんし、期日までに支払う必要があります。
ですがこの時点ではお客様に対して借用書を書かせていないことがほとんどです。多くの場合は携帯電話の番号のみで繋がっているなんてこともあります。そしてお客様がツケを支払わなかった場合にはホストが全て責任を取ることになります。
その月に収入からツケの分が借金返済分として差し引かれることになりますし、それでも足りなければ店に借金をして返済を続けることになります。
10万円、20万円程度であれば特に問題はないことも多いのですが、何百万という額になれば自己破産をすることにもなります。お客様との信頼関係によって成り立っているのですが、そこは夜の世界ならではの話であり、ナンバー1クラスのホストでもお客様に「飛ばれて」負債を背負ったというホストは多く存在します。
もちろん飛んだお客様に対して回収を試みるホストがほとんどですが、長期戦になることも多く簡単には回収することができないことがほとんどです。
今の時代、法律も厳しくなっているので、昔のように闇金に借りさせたり風俗に沈めたりなんてことはできないのです。
ホストクラブに来るお客様の気になる職業や年収は?
少し前に年収5000万円の女医がホストに貢いで貯金ゼロなんていう私生活を暴露したことがありました。
高いお酒や車やジュエリーなどの高額なプレゼントなど、とくかくお金が必要!というイメージの強いホストクラブですが、一体どんな女性が夜な夜な通っているのでしょうか。
女性客の職業は?
ホストクラブがオープンして早い時間帯は時間無制限のフリータイム制などを取っているお店が多いことから初回5,000円などで何時間も楽しむことができる場合も多いことから学生さんやOLさんが多い傾向にあります。
深夜や早朝になるとキャバ嬢や風俗嬢が多くなります。時にはお忍びで芸能人が来ていることもありますが、VIPルームなどに入ってしまうのであまり人目に触れることはありません。
ホストクラブに通っている女性全員が有閑マダムやブランド品で身を固めたお姉さんというわけではなく見た目は本当に普通の人が多いのです。
ホストは仕事柄多量のお酒を飲むことや深夜営業、色恋営業やツケの回収、人脈作りなど、ただ女性の隣でチヤホヤされながらお酒を飲むだけではありません。
夢を見る、チャンスを掴むという点ではホストという職業は無限大とも言える職業です。ですがやはり実際に稼げているホストはほんのひと握りであり、ほとんどのホストが昼職のサラリーマンよりも稼ぐことができずに辞めて行くというのが現実です。
(文/中村葵 写真/Greir / Shutterstock.com)