自営業はハイリスクハイリターンな働き方です。
福利厚生や年間休日は自分自身で作るよりほかなく、就業環境の面ではサラリーマンのほうが安定していると感じるかもしれません。収支計画も毎月予想を立てるしかないので収入状況は不安定です。
しかし、一方でお金の使い道に関する自由度が高いので、年収以上にお金を自由に使える点は自営業の面白いポイントだと言えます。そこで、自営業のお金の使い方について見てみましょう。
意外とお金にゆとりがある自営業
一般的なサラリーマンは、毎月のお給料の中でやりくりするという考え方をします。
しかし、自営業の場合、仕事で得た売上から商品の仕入れ代や携帯電話・インターネットの通信費などを差し引いて、給与を作成することが特徴です。このとき、仕入れ代や通信費が経費として計上されます。
自営業の場合、経費に対する考え方はあいまいです。厳密には、仕事で使うお金とプライベートのお金は分けなければなりませんが、細かく計算することは難しいと思います。
たとえば、携帯電話を1台しか持っていない場合、仕事とプライベートの電話の割合を算出するのは簡単ではありません。そこで、税金を計算するために仮に70%を仕事用として経費を請求するのです。
また、自営業の人が友達とご飯を食べに行くときに、「奢る代わりに請求書を切りたい」というケースもあると思います。あまりに交際費の金額が大きいと税務署側から疑われますが、多少はこういった節税対策が行われているのが現実です。
自営業の考え方にみられる「ビフォータックス」
自営業の人は、春になると収支をまとめて支払予定の税金額を算出します。これが確定申告ですが、1年間の売上から経費を差し引き、税務署に確認を取って税金を決定します。
このとき、できるだけ税金を低くするために、自営業者はビフォータックスという考え方を持っているのです。
ビフォータックスとは、税金を支払う前の利益を言います。単純に売上から経費を差し引いた状況ですが、利益が少なければ少ないほど節税対策ができます。
先ほどの例で言えば、税金額を抑えるために友達との食事の領収書を切って経費に計上しているのです。
サラリーマンがプライベートの食事を経費にすることはできません。自営業の場合、プライベートの食事すら節税できるケースもあるので、お金の使い方は有利だと考えることができます。
ビフォータックスは儲かっているときの考え方
先ほど述べた例は極端ですが、パソコン購入時の費用や携帯電話・インターネットの通信費など、仕事とプライベートの境界線があいまいなものは経費計上しやすいです。
また、自宅兼オフィスの場合、引越し費用も経費計上できてしまいます。これらは、サラリーマンでは節税できない部分なので、自営業ならではの大きな魅力です。
ただし、ビフォータックスの考え方が通用するのは、利益が出ている状況のみです。儲かっているから、税金を抑えるために節税対策をすることは忘れてはなりません。
自営業のメリットをたくさんお伝えしていますが、実際は福利厚生や休日などを見ると、サラリーマンのほうが圧倒的に守られています。残業をしたら残業代が支給され、仕事の能率が悪かったとしても給与は発生するのです。
フリーランスの時代をどう生き抜くか
あくまでも儲かっている場合に限りますが、サラリーマンと違い、自営業は経費をたくさん使うことができます。そのため、一概に自営業の年収とサラリーマンの年収を比較することはできません。
昨今、フリーランスブームが到来していますが、ビフォータックスの考え方さえあれば乗り切ることができます。ぜひ、節税対策の方法を覚えてみてください。
(文/三堂有人)