これまで複雑な手続きは自分でやってきた。自己破産の手続きだって大丈夫!そう思えるなら、自己破産手続きを自分でやってしまうのもいいかもしれません。そうすれば20万~30万円かかると言われる司法書士や弁護士費用が浮きますね。
自己破産手続きを自分でするかどうかを検討するに当たって、自己破産の流れと、かかる費用、期間についてみておきましょう。
自己破産手続きとは
自己破産手続きとは、多額の借金を抱えていて返済に苦しんでいる場合に、自分の持ち物を資産に換えて借金の返済に充て、借金を帳消しにする手続きのことです。
自己破産の手続きは決して単純ではないので、普通は弁護士に手伝ってもらいます。しかし、こうした複雑な手続きが得意な人や、もともとこうした方面に詳しい人は、弁護士を介さないで自分で済ませてしまおう!と考えるかもしれません。
自己破産の手続きは複雑ですが、ケースによっては自分でやろうと思えばできるものです。ただし、落とし穴や注意点もあるので、事前に入念に調べておいたほうがいいでしょう。
破産手続きの流れ
さて、破産手続きの流れと方法についてさっそく見ていきましょう。
- 同時廃止
- 少額管財
- 管財事件
それぞれ流れが異なるので、ひとつずつ順番にお話しします。
同時廃止の流れと方法
「同時廃止」とは、財産がない(20万円以下)場合の破産手続きのことです。同時廃止の手続きの場合の流れは以下のとおりです。
- 「陳述書」
- 「債権者一覧」
- 「自己破産・免責手続き申立書」
などの書類を地方裁判所でもらって作成し、
- 提出する
- 申立が受理されて裁判所から出頭通知がきたら裁判所へ出頭
- 破産決定通知が届く
という流れになります。手続きの終了と共に免責許可となり、復権します。
少額管財の流れと方法
これは、財産がある場合の自己破産手続きとなります。少額管財に関しては、どうしても弁護士が必要になります。流れと方法は以下のとおりです。
- 管財人専任・面接
- 債権者集会
- 破産決定通知が届く
という流れになります。
管財人専任・面接とは、管財人事務所で行われ、弁護士を同伴する必要があります。破産管財人から財産や借金の内容について聞かれるので、正確に答えられるようにしておきましょう。
債権者集会とは裁判所で行われるもので、裁判官同席のもと、破産管財人が財産や収支、免責についての意見陳述を行います。自己破産申立をした本人は弁護士を同伴して出頭する必要があります。
管財事件の流れと方法
こちらも、財産がある場合の自己破産手続きとなります。こちらの場合はどうしても弁護士が必要というわけではないのですが、弁護士を雇わなければ管財人をわざわざ選任しなければならないため、管財人費用でどっちみち20万円程度必要になります。
それなら、最初から弁護士を雇って管財人にもなってもらった方がいいでしょう。手続きの流れと方法は以下のとおりです。
- 管財人専任・面接
- 債権者集会
- 債権確定
- 配当
- 破産手続き終結決定免責審尋
- 破産決定通知書が届く
……という流れになります。上記の少額管財の場合と同様、管財人専任・面接と債権者集会に加え、免責審尋のときに弁護士を同伴します。
ちなみに、破産するのが個人ではなく、会社など法人破産である場合には管財事件として扱われます。
自己破産手続きの必要書類は
同時廃止の場合に必要な書類についてお話します。たくさんあるので地道に準備しましょう。
基本的に必要な書類
- 戸籍謄本の原本
- 住民票の原本
- 給与証明書(直近3か月分)のコピー
- 源泉徴収票のコピー(直近2年分)
- 課税証明書の原本(直近2年分)
- 通帳のコピー(できれば過去2年分)
- 保険証券のコピー(すべて)
該当する場合に必要となる書類
- 持病がある場合は診断書のコピー。
- 生活保護や子ども手当、年金を受けている場合は需給証明書のコピー
- 自営業の場合は確定申告書のコピー(直近2年分)
- 賃貸に住んでいる場合は賃貸借契約書のコピー
- 社宅に住んでいる場合は住宅使用許可書のコピー
- 誰かにお金を貸している場合は貸付金関係書類
- 退職金を受け取っている場合は退職金関係書類
- 保険に加入しているなら解約返戻金に関する証明書のコピー
- 証券のある人は証券のコピー
- 自動車や二輪車を持っているなら車検証、登録事項証明書、査定書などのコピー
- 同居人がいる場合は同居人の給与証明書、源泉徴収票のコピー
その他、
- 陳述書
- 債権者一覧
- 自己破産・免責手続き申立書
が必要となります。自己破産・免責手続き申立書は地方裁判所に出向いて受け取ります。その時の服装は普段通りのラフな格好で良いのですが、できるだけアクセサリーは付けず、派手なマニキュアなども控えると好印象です。
自己破産手続きの期間は?
自己破産手続きにかかる日数や期間は、自己破産手続きの種類によって異なります。ひとつずつ見ていきましょう。
同時廃止の手続きにかかる期間
同時廃止は、破産手続き開始と同時に破産手続きが終わるためこのように呼ばれています。破産手続き開始から破産決定通知が届くまでの期間は3~4ヶ月であり、自己破産手続きの中で一番短くなっています。
少額管財の手続きにかかる期間
少額管財の場合、管財人専任・面接が破産手続き開始から1~2週間後に行われ、債権者集会はその4~6か月後に行われます。破産手続き開始から加算決定通知が届くまでの期間は半年~1年となります。
管財事件の手続きにかかる期間
管財事件に関しては手続きの工程がもっとも多く、それに伴ってかかる日数や期間も長くなります。順調に行って半年、長い場合だと1年以上にわたることもあります。
自己破産手続きの費用は?
自己破産に必要な費用として、大まかに分けて裁判所に支払うものと弁護士に支払うものがあります。
裁判所に支払う費用は?
裁判所に支払う費用は、自己破産の手続きの種類に関係なく以下のとおりです。
- 収入印紙代として1,500円
- 予納郵券代(切手代)として3,000円~15,000円(借入社数により異なる)
- 予納金として同時廃止の場合10,000~30,000円、少額管財事件の場合最低20万円、管財事件の場合最低50万円。
弁護士に支払う費用は?
弁護士費用の金額は事務所によって異なります。ここでは、東京都の弁護士費用の料金相場について記載したいと思います。
- 同時廃止の場合約28万円
- 少額管財事件の場合約35万円
- 管財事件の場合約63万円
が目安となります。
同時廃止の手続きを自分で行った場合、場合によっては2~3万円のみの出費でできてしまうことになります。できるだけ出費を押さえて自己破産手続きをしたい場合には、弁護士を雇わずに自分で手続きをした方がよさそうです。
しかし、落とし穴もあるので要注意です。中ほどでも考えたとおり、自己破産の手続きに必要な書類はたくさんあります。何か抜けているとか、記入の仕方によっては申立が受理されないなんてこともありえます。
せっかく書類を集めて手続きをしたのに、受理されなかったなんてことになったらがっかりですね?しかも、その間にも借金の利息はどんどん増えていきます。そんなことを避けるためにも1秒でも早く自己破産など債務整理のプロである弁護士にいますぐ相談するのがよいでしょう。自己破産の相談はこちらからどうぞ。
おわりに
自己破産手続きは、これといった財産がない場合「同時廃止」という破産手続きになり、世の中の破産手続きの大半がこのケースになります。同時廃止の場合には弁護士がいなくてもよく、自分で手続きすれば弁護士費用を浮かせることができます。
ただし、数多い書類をそろえたり、抜かりなく記入を行ったりするのは至難の業であり、それによっては自己破産が成功するかどうかにも関わってきます。弁護士がいることにとって手続き中のストレスも軽減されることでしょう。
まとめ
- 自己破産手続きは自分だけでできるものもあるが、複雑なので不備がないよう入念な前準備が必要である。
- 自己破産のケースの大半を占めている「同時廃止」は、比較的自分で手続きしやすい。
- 「少額管財」はどうしても弁護士が必要であり、「管財事件」も最初から弁護士を雇っておいた方が有利である。
- 手続きの期間がもっとも短いのは「同時廃止」で3~4ヶ月、「少額管財」「管財事件」に関しては半年~1年が目安です。