何か買い物をするたびに、欲しい商品の公式サイトを閲覧して情報収集をしたり、インターネットの口コミを参考にする人も多いはず。実際に商品を使用しているという人たちの感想は、商品を手に取る前には役立つ情報になる場合もある。
だけど、あまりにネット情報に頼り過ぎてしまうのは考え物だ。何故なら、中には商品を実際に触れてすらないのに、使用感についての説明を書いちゃう人間もいるのだから。そう、僕もまたそうした仕事に手を染めてきた物書きの一人である。
商品がなくてもサイトの文章は書ける!
僕がライターになったのは2011年のこと。いきなり物書きになろうと考えて、とにかく仕事は選ばないスタンスでやってきた。この時期の僕に与えられた仕事のひとつに、定価23,000円もする、とある女性専用コスメのウェブサイトのテキストを、全てたった一人で構築するというものがあった。
ウェブサイトのレイアウトと、挿入予定の画像だけが用意され、あとは指定の枠に文字を挿入していくという形式の仕事である。
もちろん僕はこのコスメについての知識は、与えられた資料以上の知識はない。香りや手触りについての知識もない。そんな状態だったが、食うために引き受けるしかなかった。
商品のメリットやら含有物の安全性、それからキャンペーンで割引した場合のお得度について、手元の資料を眺めながら適当に文字を打ち込んで行った。
僕は生きるための嘘については必要だと割り切っていたので、スラスラと仕事は進んだ。あまりに仕事が早い(良心の呵責に悩まない)ので、クライアントに冷たい視線を送られたほどだ。そっちがヤレって言ったからやったのに。
サイトも口コミも話半分程度に認識しておこう!
サイトを構成する文章の中には、実際に商品を使ってみた女性からの声を記入する必要もあった。この場合、当然モニターを用意してから感想を聞きだし、文字に起こすのがまともな業者である。しかし僕はここも任された。
20代女性、30代女性、40代女性のそれぞれの使用感について、憶測だけで書き殴っていった。結果、一発OKである。僕の嘘八百商品レビューは、このクライアントにいたく気に入られ、今ではテンプレートとして多くのライターが共有しているようだ。
こんな仕事をした僕も僕だが、そんなサイトを用意して商品を販売しようと画策する奴も相当なワルである。
唯一、アレルギーの懸念があるため、含有成分については先方に何度も誤りがないか確認をしたが、その回答は決して明瞭なものではなかった。思い返せばとんでもない話だ。
嘘ばかりの商品広告サイトの見抜き方?
色々と洗いざらい白状したが、最後に、ネット上の嘘情報に騙されないための秘訣を書いておきたい。それは、人の弱みをカバーするタイプのコスメほど、誇張が顕著になるということだ。
女性の加齢に伴うシワ、それと産前産後の脱毛などに効果があると謳っているコスメというものは、たとえ効果が感じられなくても「個人差でしょう」という逃げが容易だ。この手の商品広告サイトに書いてある情報は鵜呑みにせず、ネット上の口コミも宛てにしない方がいいかもしれない。
同時に、男性の精力増強を謳うサプリ、ペニスのサイズをアップさせるというサプリ(ペニスだけを太く長くさせるサプリなど存在しない)、それから育毛剤にまつわるサイトも、おかしなものが多い。
この辺も覚えておきたいところだ。
まとめると、「夢物語のような体験談が書かれているサイトは、虚構である可能性が高い」ということだ。
(文/松本ミゾレ)