保険会社の広告などで「自動車保険の見直し、最大20,000円安くなる」と書かれていますが、もっと大切な自動車保険を安くする基本を知っていますか?
それは安全運転を心がけ、無事故でいることです。無事故であり続けると保険の『等級』が上がります。この等級が自動車保険の保険料を算出する決め手になるのです。1年間事故がなければ次の年の等級は1つ上がり、逆に事故を起こし保険を使用すると1~3等級下がります。
事故を起こした、起こさなかったで、保険料は大きく変わってしまうのです。
1等級と20等級では12万円近い差がある!
自動車保険の保険料は保険会社ごとに異なるため、同じ条件でも保険会社によって保険料が異なり「自動車保険の見直し」で安くなるのはここになります。一番わかりやすい例をあげると代理店型の保険会社の場合は保険料に代理店手数料がかかりますが、通販型の場合はこれがかからずその分安く保険料が設定されています。
保険料算出の公式とは?
実際に支払う保険料は次のようになります。
保険料【A】 × 割増引率 = 実際に支払う保険料【B】
【A】は保険会社ごとに異なっていても、【A】に割増引率をかけるこの計算式はどの保険会社でも同じです。一括見積もりサイトで最も安い【A】を見つけたからこれ以上【B】を安くできないというのは間違いです。かけている割増引率で【B】は大きく変わります。
保険料の割増引率は?
割増引率も保険会社独自で設定できますが、等級に準じている点はどこの保険会社でも同じです。等級は1~20等級まであり、原則的には1等級が最も保険料の割増率が高く、20等級が最も割引率が高いです。
損害保険料率算出機構が定めた参考純率を基に例をあげると、1等級の場合の割増引率は+64%、20等級の場合は-63%になります。
【A】を100,000円とすると、
- 1等級の場合【B】は164,000円
- 20等級の場合【B】は47,000円
になり、同じ保険会社でも保険料の差は117,000円にもなります。
等級が上がる条件、下がる条件
くり返しになりますが、等級が上がる条件は「1年間無事故」だけです。1年間無事故の場合、翌年は等級が1つ上がります。逆に事故を起こし保険を使用した場合、等級が3つ下がります。
ただし火災や台風などが原因だったり、盗難やイタズラが原因だったりして車が傷つき車両保険を使用した場合は「1等級ダウン事故」となり下がる等級は1つです。
また賠償責任が発生せず、
- 無保険車傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 人身傷害保険
だけを使った場合は「ノーカウント事故」であり等級が下がることはありません。
事故を起こして保険を使用した場合は3年間事故有割引率が適用されます。車両保険、搭乗者傷害保険、無事故者傷害保険のみの事故等の場合は等級が1等級下がり、事故有割引適用率が1年間適用されます。
また、7等級以上には2種類の割増引率、「無事故割引率」と「事故有割引率」があります。無事故割引率と事故有割引率には10~20%差があります。
等級が5つ上がると保険料が約30,000円減
自動車保険に新しく契約したときの等級は6等級です。6等級の割増引率(損害保険料率算出機構が定めた参考純率)は-19%、基本の保険料を100,000円とすると81,000円になります。「高いな」と思いながら無事故で5年経つと等級が11等級になり保険料は53,000円(割増引率-47%)、最初の保険料に比べると約30,000円安くなります。
保険料が安くなっても補償内容は一切変わりません。このように安くなるのを無事故でいたご褒美と考えると、反対に事故を起こした場合は相応の報いを受けることになります。
5年間無事故でいた場合の保険料総額は295,000円ですが、最初の年に1度事故を起こしてしまうと保険料総額は448,000円になります。その差は約150,000円で、これが事故を起こして保険を使ってしまった代償となります。
また等級は1年に1つしか上がらないので、事故で3等級下がると元の等級に戻るまで3年もかかってしまいます。
等級が下がって保険料が上がるから違う会社にしようと思っても、等級はそのまま引き継がれます。契約期間に空白があると等級の引き継ぎが難しくなるのですが、上手くできたもので5等級以下の場合は14ヶ月以上空けないと等級がリセットできないのです。
等級をあげることが節約への近道
保険の見直しをした場合、確かに現在の保険よりも安くなりますが限界が来ます。そのため最も有効な節約術は安全運転を心がけ無事故でいることです。等級が高ければ割引率が高いのはどこの保険会社でも同じことなので、無事故を続けて高い等級にすること、そして無事故を続けて最大の20等級を維持するように心がけて下さい。
自動車の事故は保険の問題だけでなく、起こしてしまった場合は心や身体に傷を負うことがあります。心身共に健康に、そして経済的にも健やかであるために安全運転を心がけるようにして下さい。
(文/高橋亮)