不動産を購入する時にはどんな基準で物件を選ぶのでしょうか?物件選びの条件は、ただ単に一戸建て住宅かマンションかだけではなく、
- 駅から近いか
- 利便性の良い街か
- 人気がある物件か
などを基準する人が多いようです。
しかし、ずっと住むつもりで購入したとしても、ひょっとするといつか売却することになるかも知れません。その時まで年数が経っていれば今の評価額からは大きく変わっている可能性があります。
特に不動産投資で購入する場合は売却価格が購入価格を下回ると損失となってしまいます。いずれにせよ、価格が下落しにくい不動産を購入することが大切です。
この記事では、そんな不動産の資産価値について基礎から解説し、資産価値の計算方法や、価格の下落がしにくい不動産の特徴について紹介します。
資産価値ってどういうこと?
資産価値とは、ひとことでいうとその不動産の価値のことなのですが、資産価値には大きく分けると2つの価値があります。
- 1つは売却して得るための売却価値
- もう1つは貸すことで家賃収入を得る収益価値です。
売却価値は不動産の売値のことではありません。たとえば不動産会社を通して売却しようとして、高い不動産価格がついていたとしても、売れなければ資産価値が高いとはいえません。
売却までに時間がかかって資産価値が目減りしていく可能性も考えられますので、周辺エリアの相場と比較して、適正かつ少々お値打ちな価格をつけ、なるべく早めに売却することも踏まえての価値だといえるでしょう。
貸す場合には、すぐに借り手が付くことが重要となります。ローンの返済があるのに空室が多ければ投資価格を回収できなくなる可能性があります。
ローン返済も踏まえた収益性も含めて考える必要があります。
マンションのメリットデメリット
マンションのメリットは、1棟の建物の中で各部屋を区分所有しているため、面積あたりの単価をローコストに抑えることが可能です。比較的安価な金額で居住することができるという特徴があります。
投資物件として考える場合は、同様の理由で投資資金に対して高い収益性を見込むことができ、損益分岐点が低いというメリットがあります。
マンションのデメリットは、老朽化による建て替えを自分の意思だけでは決定できないというところにあります。区分所有者の5分の4以上の人が同意する必要があるため、機動性に欠けています。
老朽化が進むと、貸すのも売却するのも不利となるので、資産価値を一定以上に保つこと自体が困難となる可能性があります。
戸建てのメリットデメリット
戸建ては全ての所有をしているため、老朽化した場合の建て替えを自分の意思だけで決定することができるというメリットがあります。
万一更地にしたとしても、土地は残るため、一定の資産価値を保つことができるということもメリットといえるでしょう。
反面、売却する場合には土地も建物も両方を売ることとなり、その分価格設定が高くなるというデメリットがあります。
投資をする場合にも、メリットとデメリットの両面があり、一軒家を丸ごと貸すために管理がしやすいというメリットがありますが、家賃を高額にせざるを得ないため、借り手が見つかるまで時間がかかる可能性があります。
資産価値ってどうやって鑑定するの?
不動産物件の価格が適正かどうかは、積算価格や収益価格で算出することができます。
関さん価格とは、土地と建物をそれぞれ現在の価格で算定し、それを合計した金額のことをいいます。路線価や公示地価を利用した計算方法で、原価法と呼ばれることもあるオーソドックスな手法です。
収益価格とは、その不動産が将来に渡って得るであろう利益と、現在の価値を合わせた算出方法で、収益還元法とも呼ばれています。特に不動産投資家など、不動産投資をする場合によく使われる手法です。
住むための不動産の資産価値計算方法
住むための不動産の資産価値を計算する方法は、土地と建物を別々に計算する積算価格で算出します。
といいつつも、土地の価格は
- 国税庁の相続税評価額路線価
- 市町村の固定資産税路線価
- 国土交通省の地価公示価格
- 都道府県の基準地価
などで確認できます。
1㎡あたりの金額を確認し、土地の面積を掛け算するだけで金額がはじけるでしょう。ただし、周辺地域の状況を考慮して若干補正は必要です。土地の形状や近接道路の状況なども踏まえて考えましょう。
建物の価格は、もしも新築をした場合を前提条件として、価値がなくなるまでの年数に対して、新築から経過した年数割合を掛け算したもの(残価率)で計算します。
具体的には以下の式となります。
再調達価額×延床面積×残価率(残耐用年数÷耐用年数=建物の積算価格
投資するための不動産の資産価値計算方法
投資をする場合の資産価値の計算は収益価格で計算をします。
収益価格を具体的にいうと「その不動産が生み出すと予測される将来における純利益」と「現在の不動産価値」を足し算した価格です。
収益価格の計算方法は、直接還元法とDCF法の2つがありますが、DCF法は複雑であるため、直接還元法を紹介したいと思います。
《直接還元法の計算式》
不動産の収益価格=一年間の純利益÷還元利回り
資産価値における将来予測
不動産における資産価値が分かったとしても、今後の不動産価値がどうなるのか予測ができなければ、せっかくの資産を簡単に失ってしまう恐れがあるでしょう。
もちろん将来の予測を的確に行うことは、誰にもできないことかも知れませんが、少なくとも資産価値下落の確率くらいは下げることが可能です。
将来的な資産価値の予測には、
- 今後の不動産の価値はどうなるか?
- 価格が下落しにくいのはどんな不動産か?
- 一戸建てとマンションはどちらが価値が落ちにくいのか?
などを知っておくと良いでしょう。それぞれどのような考え方をすれば良いのか、簡単に紹介します。
今後の不動産の価値はどうなるか?
今後の不動産価値の見方は人によってさまざまですが、多くの専門家の記事を読んでいると、今後も不動産価値が上昇するとの予測が大多数となっています。
その背景には、金融緩和による不動産ローンの手軽さの向上や、オリンピックによる地価上昇、相続税増税対策による不動産購入などがあげられています。
価格が下落しにくいのはどんな不動産?
不動産を購入する時に知っておきたい豆知識として、不動産価格が落ちにくいとされている条件です。不動産価格が落ちにくいといわれている条件は、
- 駅から近いこと
- 住みたい街ランキング上位であること
- 人気のある分譲会社であること
があげられます。
他にも、周辺物件の値段から人気のエリアかどうかを判断することが可能で、人気エリアの場合には、比較的価格が落ちにくいといわれています。
一戸建てとマンションはどちらが価値が落ちにくい?
一戸建てとマンションではどちらが資産が落ちにくいかは、一長一短がある上、専門家によっても意見が分かれるところです。
ただし、どちらかを選択する場合には、一定の目安は参考にすべきでしょう。
目安としては、戸建住宅の場合は築年数が20年を超えると建物の評価がほとんどなされないため、土地の価値を重視する必要があります。
一方、マンションの場合は、100戸以上分譲されている大きな物件や、掃除が行き届いている物件は資産価値が落ちにくいといわれています。
まとめ
産物件を選ぶ時には、現段階での資産価値だけでなく、将来性も踏まえた資産価値を計算しておく必要があります。
マンションと戸建てで資産価値の考え方は異なりますし、居住する目的で不動産を手に入れる場合と、投資目的で手に入れる場合とでもその考え方は異なります。
ただし、いずれの場合も資産が落ちにくい物件には共通点がありますので、これらの共通点を参考にしながら良い物件を選びましょう。
(文/田中英哉)