日本は医療の先進国である。細かく突き詰めていくとまだまだ全ての怪我や病気に満遍なく対処できるほどではないが、諸外国と比較すれば、その質の高さは保証されている。
さて、怪我や病気をした際に病院に行くと、医療費を捻出する必要がある。
日本は健康保険に入っている人が大半なので、負担は極々僅かで済むものの、この医療費って意外と、各都道府県ごとに開きがあるのをご存知だろうか。今回はちょっと、これについて書いてみたい。
医療費最安県は埼玉!年間18万円程度!
まず最初に、厚生労働省が平成14年に公開した、医療費の地域差についてのデータに目を通した。割と昔のデータとなっているが、これによると医療費の全国平均は244,000円となっている。
大きな疾病をした人、ほとんど病気をしなかった人、怪我ひとつない人をひっくるめて平均すると、私たちは年間、このぐらいの医療費を使っているという計算になっていたようだ。その上でこのデータの中に見る、医療費最安値の県はどこか。
それが埼玉県である。金額にして180,000円。平均を60,000円以上も下回る、素晴らしい数値であった。
これは言わば、埼玉県に住んでいる人はそれだけ、怪我や病気のリスクが低い環境にあるということだろう。あるいは医療機関までのアクセスが良いなど、重篤な状態になるまでに対処が可能ということも考えられる。
健康で暮らしたいなら、埼玉県に移住するのも悪くないかも……。
医療費がもっとも高いのは鹿児島!
では、気になる医療費最高値の都道府県はどこか。それはずばり、この年のデータを見るかぎり、ぶっちぎりで鹿児島県となっている。
その額なんと336,000円。
埼玉県と比較すると、1.9倍にも膨れ上がっている。僕は九州出身だが、なんとなくその理由が分かる気がする。
医師不足、病院までのアクセスも悪いし、なんせジジババが多い。医療費がかかりまくる環境にあるのだ。データを眺めると、九州では他の各県も、やはり全国平均より高めの医療費をキープしている。
九州で暮らすということは、ただそれだけで医療費の負担増を覚悟しなければならないということかも知れない。
東北各県は環境の割に医療費が安かった!
実はこのコラムを書くにあたって、僕はなんとなく、「沖縄が医療費安くて、東北あたりは高いんだろうなあ」と思っていた。しかし蓋を開けてみればこの結果。僕の予想はアテが外れに外れまくり、赤面する他なかった。
件の沖縄の医療費。250,000円から少々足が出ている形となり、全国平均より多くなっている。長寿、健康というイメージがあるが、実際には医療費だけに目を向けると、ごく普通の環境に見えてしまった。
一方で、冬の厳しい寒さだったり、自殺率も高いイメージのある東北各県はどうか。軒並み全国平均をややオーバーしているものの、これも九州に比べるとたいした医療費の高騰は見られなかった。
医療費を見れば、その地域の、本質的な実態が俯瞰できるものである。
(文/松本ミゾレ)