日本人は保険料を払いすぎている
「あなたはどんな保険に入っていますか?」
私がこう聞いたのは、「入っている or 入っていない」はおそらく選択肢にはならないと思ったからです。生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、日本人の約80%が何かしらの保険に加入しているという調査結果が出ています。
また、同調査によると、2013年度の生命保険の払込料、日本人の平均額、男性の平均は月額で約20,000円との結果も出ています。安定志向を求める日本人の性格的な理由もあって、私たちはついつい「保険に入っておけば安心」と考えてしまいがちです。
しかし、保険というものはその支払い内容や保障内容を正しく把握しておかないと、大損してしまう可能性もある、れっきとした「金融商品」なのです。保険のことを金融商品と言われると意外に感じますか?もしあなたがそう感じるのであれば、今回の記事は最後まで熟読すべきです。
自分の入っている保険のことを把握してる?
もしかして、自分が入っている生命保険の詳しい内容をきちんと把握していない人の方が多いのではないでしょうか?あやしいと思った人は、さっそく下記の項目をチェックしてみてください。
- 受け取れる保険金額はいくらですか?
- 保障期間はいつからいつまでですか?
- 保険料の払込期間は終身ですか?一定期間ですか?
- 保険料は一定ですか?更新時に保険料は上がりますか?
- 特約は何がありますか?
以上、これ以外にも細かいチェック項目はいっぱいありますが、取り急ぎ基礎中の基礎項目だけに絞ってみました。どうでしょうか?分からない項目が結構あったりしたのではないでしょうか?
分からなくてちょっとドキッとしたあなたに、今から多種多様ある保険商品の概要について解説しましょう。
定期保険、終身保険、養老保険、全部説明できる?
まず、くり返しになりますが、「保険とは金融商品である」という大前提を忘れずにもってください。保険はあなたの親御さんのように無条件で援助してくれるような優しい存在ではありません。
企業が提供する保険とは保険会社が営利目的でその利益を得るために考えだしたものです。そういう視点でこれから解説する内容を読んでみてください。
生命保険
生命保険とはあなたの「生命」にかける保険です。つまり、死亡したときにお金がもらえる保険です。生命保険には定期保険、終身保険などいくつか種類があります。
定期保険
定期保険とは保険期間が何年間、もしくは何歳になるまでと、あらかじめ期間が決まっているものです。例えば10年、
しかし、解約時にお金が戻ってくる解約返戻金(かいやくへんれいきん)がほとんどなかったり、満期になっても保険金が下りなかったりすることが多いのが、定期保険の特徴です。
終身保険
一方、終身保険とはその名のとおり「保障が一生涯続く」生命保険です。保険料の支払い期間は、
- 一生涯支払う
- 60歳まで、
65歳までなど、特定の年齢まで支払う - 10年間、
20年間と、特定の期間支払う
など支払い方を決めることができ、またその保険料も変わりません。そして支払完了後も保障が一生涯続きます。安心を手軽に買えるという点が多くの日本人にうけているのでしょう。
貯蓄性がある保険ですが、定期保険より保険料は割高になります。また、もし途中解約しても解約返戻金は受け取れますが、その時点で今まで支払った保険料よりも解約返戻金の方が少なくなります。
しかし、保険料の払い込みが終了した後に解約すると、
養老保険
「養老」と聞くとまるで年金のように聞こえますが、養老保険とは貯蓄目的の保険とも言えるもので、満期に達すると死亡時に受け取れる金額と同額の保険金が受け取れるというものです。
もちろん、一定の保険期間内に死亡してしまったら、その保険金ももちろん受け取れます。さらに、生存したまま満期に達すると、死亡時に受け取れる金額と同額の満期保険金が受け取れます。
医療保険
医療保険は大きく2つありまして、ひとつは国民なら誰しも入っている公的医療保険、すなわち国民皆保険のことです。もうひとつは、その反対の民間の医療保険のことです。正しくは第三分野保険というそうです。
医療保険はあなたが病気やケガで治療を受けたり入院したりする際の治療費をサポートします。公的医療保険の治療費3割負担というのもそうですし、民間の医療保険ならば「手術を受けたときに10万円給付金を支払います」というのもそうです。
民間の医療保険・入院保険
生命保険があなたの「生命」に保険をかけるのですから、医療保険とはあなたの「医療」に対して保険をかけるわけです。よくあるプランとして毎月数1,000円の保険料を支払うことで、手術や入院をした際に給付金を受け取ることができるというものです。
例えば毎月2,000円の保険料だったとしても、年間で24,000円もかかります。あなたがこれから1年間、手術を受けたり入院をしたりする可能性はどのくらいあるでしょうか。そのことをよく考えれば、この保険の必要性というものが見えてくることでしょう。
私の場合ですが、数年前にとある手術を受けたときに、この医療保険のお世話になったことがあります。そのときは保険から100,000円の給付金をもらいました。私が支払ったのは手術費用の50,000円と、診断書を書いてもらった費用5,000円ほどで済み、結果として黒字に終わったのです。
このように、病院のお世話になったとしたら、医療保険は大いにその価値を発揮します。しかし、支払う保険料のことも忘れてはなりません。あなたは過去5年間に、どれだけ入院して手術を受けましたか?過去10年間だとどうですか?
先ほどの例で見れば5年で120,000円、10年で240,000円の保険料を掛け捨てることになります。もしこの金額を貯蓄に回していたらどうなっていたでしょうか?
がん保険
最近、テレビCMでもよく見かけるがん保険。「日本人の2名に1名ががんで死亡している」という統計が後押ししているせいか、日本ではよく売れているそうです。
がん保険は保障が手厚いぶん、支払う保険料も割高なことがあります。仮に40歳の人が毎月3,000円のがん保険を契約したとして、10年間で支払う保険料は36万円です。
ここで、あなたにお伝えしたいデータは年齢別のがん罹患率です。国立がん研究センターの統計によると、40歳の男性が10年後にがんで死亡する確率は2%という結果が出ています。40歳代で命を脅かすほどのがんにかかる可能性はゼロとは言いませんが、それほど高くはないのです。
しかし、がんが恐ろしい理由は「がんになる原因がよく分かっていない」という点に尽きます。毎日タバコを1箱吸っている人が80歳になってもがんにかからないかもしれません。反対に食生活に気を使っている人に胃がんが発覚してしまう可能性もあるのです。
発がん性のある食べ物や飲み物など、がんが発生するリスクはあるていど見えてきている部分もあります。しかし、がんは高血圧ほど予防策がはっきりと確立してはいません。がんにはまだそういう難しさがあり、そういうリスクを総体的に見据えたうえで、がん保険を検討する必要があるのです。
その他の保険
その他、子供の将来の学費を保障してくれる学資保険や、自分の受け取る年金を自分で用意するための個人年金保険、介護にかかる費用を用意するための介護保険などがあります。
どの保険も「将来に発生するかもしれない金銭的リスクを回避する目的である」という点においてはすべて共通しています。ポイントは「あなたの支払う総額が、リスクの回避にふさわしいものか」という点を徹底的に洗い出すことです。
「本当に保険が必要なのか?貯金やその他の方法でカバーすることはできないか?」この点を確認する作業を省略してしまうと、保険が満期になったときに、結果的に大損してしまうという、悲しい結末を迎えてしまう可能性がでてくるのです。