【この記事の目次】
1000万円を超える定期預金は大口定期に
収入が増えて貯金が1000万円を超えた時、最初に気になるのは、もし定期預金に入れたら利息がどのくらいつくのか、という情報でしょう。
大口定期になると高い金利が設定される
1000万円以上の資産運用方法にはさまざまなものがありますが、まずは大口定期預金を利用することが考えられます。大口定期預金は銀行との交渉によって金利が決まるため、一般的なスーパー定期の預金金利よりも優遇されるケースが多いという特徴があります。
金利の交渉では預金額やこれまでの取引などが影響します。ですから1000万円を超える貯蓄があれば、交渉の際に優待される可能性が高いのです。
このように大口定期預金の金利が交渉で設定することができるようになったのは90年代半ばに日本で預金金利が完全に自由化されてからのことで、専門家によると当時は驚くような金利が付いていたそうです。
固定金利を選ぶのか?変動金利を選ぶのか?
固定金利というのは、大口定期預金の新規登録時、最初の預け入れの際に決めた金利が満期まで変わらない定期預金です。これに対して、6ヵ月ごとに金利を見直すのが変動金利です。
固定金利の年数には縛りがありませんが、変動金利を利用する場合は預け入れ期間が3年に制限されているため、満期までの3年の間に計6回金利を見直すことになります。
このため、固定金利の場合は預け入れの段階で満期までにいくらの利息をもらうことができるかを予測できるのに対し、変動金利の場合は満期までにいくらの利息をもらえるのかを予測することはできません。
このため多くの人たちが「どちらを選ぶのが良いの?」という質問をすることになります。とはいえ専門家でも明確に「こちらが良い」という回答はできません。
できるだけ手堅い方法を取りたいのであれば、どちらかを選ぶのではなく、いっそのこと分散させてみるのも手です。例えば基本は固定金利で預けて一部を変動金利にしたり、短期の固定預金を毎年作ったりすることでリスクの分散になります。決してハイリターンな運用方法ではありませんが、少なくともローリスクで確実なりターンを見込むことができるでしょう。
ネット銀行なら金利0.3%以上の定期預金も!
他にも注目できるものとして、ここ数年で急速に普及したネット銀行が挙げられます。これらの銀行は営業上最小限の店舗のみを持ち、ネットや電話での取引を中心とし、無通帳取引が基本です。そんなネット銀行の定期預金は金利が高いことから、多くの貯蓄賢者の間で人気が高まっているのです。
ネット銀行が定期預金の金利を高く設定することができるのは、事業運営上の各種の出費…具体的には人件費、建設費、銀行運営のコスト、店舗を持つコストを抑えることで、利用者へ金利として還元、つまりキャッシュバックしているからです。
ネット銀行の中には1000万円以上の預け入れで0.300%以上の金利がつく銀行もあります。金利の平均は0.025%なので、いかにネット銀行の定期預金の金利が高いかがわかります。
1000万円を固定金利0.3%で預けたら
1000万円を固定金利0.300%で10年預けた場合、1年で受け取ることができる利息は30,000円、10年預けた場合の利息は30万円になります。これを合計すると1030万円です。10年で30万円の臨時収入と考えるとかなりのローリターンに感じますが、他にこれといったリスクや手間がないことを考えると、個人の資産運用としては悪くはありません。
ですが注意する必要があるのは、ここで国税と地方税で20%を引かれてしまうということです。ですから実際に受け取ることができるのは1024万円です。20年後は単純にこの2倍となりますから、合計1048万円を受け取れる計算になります。
結論:1000万円を超えたら定期預金は止めなさい!
もし、1000万円以上貯めたなら、定期預金を止めて別の資産運用も考えるべきでしょう。これからその理由を説明します。
リーマンショックから10年も前の1990年代から、日本は未曽有の経済危機に直面していました。金融機関が破たんする事件も起き、プロ投資家はもちろん消費者からも不安の声が上がりました。そこで、預金保険制度やペイオフ制度が誕生することになったのです。
ペイオフ制度の下では、普通預金や定期預金は、元本となる貯金1000万円と、金融機関が破たんした日までの利息が保証されます。言い換えると、1000万円以上を同じ金融機関に預けていると、その金融機関が破たんしたときに貯金していたお金のうち安全資産といえるのは1000万円までで、残りのお金は返ってこないのです。
本来銀行預金は元本割れしないものですが、ペイオフ制度により、1000万円以上を超えたお金を預けた場合、金融機関が倒産すると差額がゼロになってしまうという、非常にハイリスクな状況になってしまったのです。
急速に変化し続ける世界経済のなかで、次に何が起こるかはもはや誰にも予測できません。もはや銀行や信用金庫に預けていても安全ではないといえるでしょう。
このようにお金に関する知識と教養を正しく持っていないと、今ある資産を増やすどころか失ってしまうことにもなりかねません。「@SEM!NAR」のような無料のマネーセミナーなどを活用し、お金に関する知識を身につけておくことが大切です。
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資産運用の方法を見直そう
ペイオフ制度の存在を考えると、1000万円以上の貯金は同じ金融機関に預けるべきではありません。ですからひとつの考え方としては、別の口座を作って今までどおりに銀行預金を続けることもできます。
ですが、このタイミングをきっかけに資産運用の選択肢を広げてみるのはいかがでしょうか。資産を運用するための投資方法はいろいろありますし、リスクリターンの程度もそれぞれ異なっています。
資産運用を始めるにあたって、さまざまな運用シリーズの中で比較的安全性が高いといえるのは日本の国債です。近年は少し評価が下がっていますが、まだまだ日本経済および日本円の信頼度は低くはありません。元本割れせずに投資ができるローリスクの運用方法と言えるでしょう。もちろん、ある程度のリターンも期待できます。
加えて、投資要素が強い生命保険への加入も効果的です。少し趣が異なる手法ですが、万が一のときにはお金が下りて生活を支えることができますし、満期になると返戻金(へんれいきん)が戻ってきます。定期預金よりも高い利回りで貯蓄性があり、さらに非常時の生活費にもなる、投資に近い金融商品と考えるとよいでしょう。
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投資を始めてみよう
リスクは少々高くなりますが、投資信託を始めるのも悪くないでしょう。投資信託は、金融の専門家であるプロの投資家が複数の投資先を集めてポートフォリオ(資産の内訳のこと)を組み、パッケージ化したものです。
普通の株式投資や外貨投資よりも勉強せずにできるため、株アドバイザーなどに頼ることなく自分軸で運用することができます。投資先さえ間違わなければ初心者にとってはハードルが低く、始めやすいものです。
もちろん投資信託にもデメリットはあります。運用が上手く行けば一定のリターンとして利益を受け取ることができますが、運用が上手く行かなかった場合は元本割れを起こしてしまうリスクもあります。ローリスクと思って油断することはできません。
貯金の何割を投資に回す?
次に考えるべきは貯金と投資の比率です。まずは、貯金額の1割を投資に回すパターン。専門家の意見やさまざまなブログなどを読むと、投資初心者はこれくらいから始めるのがよいという声も少なくありません。確かに1割なら安全性は高いですが、投資によって資産を増やすには少し心もとありません。できれば、ある程度経験を積んだあとは投資の比率を増やすことを検討するとよいでしょう。
目安としては3割程度を投資に回すのが良いかもしれません。これなら、一定の安全性を維持しながら、利回りが出たときはリターンとしてそれなりの利益を享受できます。投資をしながら貯金も継続する習慣を持っておけば、もし失敗しても、一気に多くの資産を失ってしまうような心配もないでしょう。
投資には他にもいろいろなパターンがあります。人気のある投資方法をチェックしてみましょう。
殖やしたいなら株式投資!
貯めた1000万円を資金として資産運用をするのであれば、株式投資が良いでしょう。株式投資では、現在上場している3,500社ほどの会社の中から、自分と関連のあるもの、関心のあるもの、得意分野の会社、といった基準によって株取引をする会社を自分自身で選択することができます。
株アドバイザーなどの専門家もいますから、ニュースを見続けて複雑な世界情勢などの知識を無理に身に付けなくても、購入した銘柄だけに集中して分析すれば比較的結果は出やすい運用方法といえます。コストや効率、さらにリスクリターンを考えると、株式投資はおすすめです。 株主優待などの特典を受けることもできますよ。
また、一般的な株式投資に慣れてきたら新規公開株の公募に申し込み、IPO投資に挑戦してみるのも良いでしょう。その際は専門家にアドバイスをもらったり、IPO初値予想ブログなどを参考にすることもできます。
副業として人気が高いFX!
サラリーマンや専業主婦の副業として爆発的な人気となったのがいわゆるFX、外国為替証拠金取引です。FXは外貨預金と比べ取引手数料が少額で、取引時間に制限がなく、土日を除いて24時間取引ができることから手軽な副業として人気が高まりました。
FXは専用の取引口座を開設することで手軽に始めることができます。そしてドルやユーロ、ポンドなど外国の通貨を売買して、その差益で利益を出すのです。 FXの強みはレバレッジと呼ばれるテコの原理を活用できる点です。具体的にいうと、入金した元金の最大25倍の外貨を取引できるのです。
FXにはもちろんデメリットもあります。国内外の経済の動向の影響を大きく受けるという特徴から、リスク管理ができなければあっという間に自己資金が底を突いてしまう危険があるのです。
またレバレッジはプラス方向だけでなくマイナス方向にも働くので、預け入れた元本以上に損失を出してしまう可能性もあることを知っておくべきでしょう。
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資産運用の確定申告について
資産運用をして利益が出れば、当然ながら税金を収める義務も発生します。これは投資信託、株式投資、FXを含め、全ての投資に関わる問題ともいえます。
確定申告が必要なケース
資産運用で利益が出た場合、忘れてはいけないのが確定申告です。確定申告が必要なのは、以下のような利益が出た場合です。
- 源泉徴収などの特定口座での株式や投資信託で出た売買益
- 一般口座での株式や投資信託で出た売買益
- 先物取引の利益
- FXの利益
これらの収益と、給与や退職所得を除いた所得が合計して年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。逆に確定申告が必要ないケースは
- 収益、給与、退職所得を除いた所得の合計が年間20万円以下の場合
- NISA口座での売買益
- 源泉徴収がある特定口座での株式や投資信託の売買益
となります。
確定申告をするメリットとデメリット
実は確定申告をすることにはメリットもあります。最大のメリットは、複数の金融機関で取引をしている場合に確定申告をすることによって、税金の還付を受けることができる可能性があるという点です。
もし儲けた金融機関と損をした金融機関の両方を持っている場合は、確定申告をすることで利益と損益を差し引いて相殺できるため、金融機関で差し引かれていた税金が戻ってくることがあるのです。
さらに損失は3年間繰り越すことができるので、翌年に利益を出したとしても、前年に損失があればその分を差し引くこともできます。
デメリットは、配当所得や売却益も全て所得となるため、確定申告をすることによって増税や社会保険料のアップにつながってしまう可能性があるということです。
非課税のメリットが大きいNISA口座
テレビCMなどでNISA(ニーサ)口座という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。資産運用をする上で欠かせない節税対策として大きな効果を発揮するという理由から、最近ではNISA口座を利用する人が増えています。
NISAは株や投資信託などの運用益配当金などを一定額非課税にするものです。このメリットを受けるには、NISA口座で取引をする必要があります。NISAの特徴はこのようになります。
- 非課税の対象:株や投資信託の運用益や配当金
- 非課税投資枠:毎年120万円まで(翌年への繰越は不可)
- 非課税の期間:5年間(この間に売却をしても非課税枠を再利用することはできません)
- 投資総額:最大600万円(120万円から始めて最長で5年間)
- 制度の存続期間:2014年から2023年までの10年間
- NISA口座を開設できる人:20歳以上
通常、資産運用で得た利益の20%は、税金として国に収めることになります。仮に最初の年に120万円分の株を購入して、この株が5年後に2倍の株価に値上がりをして資産は240万円となった場合、普通であれば利益となる120万円に20%の税金がかかって、24万円を税金として収める必要が出てきます。ですがNISA口座で取引をすれば税金は0円になり、120万円全額が自分のものになるのです。
定期預金にこだわらないことが大切
定期預金は元本割れしないことが前提です。このため安全性は高いという印象を持っている人は多いと思います。ですがペイオフ制度がある以上、金融機関自体が破たんしてしまえば決してノーリスクとはいえません。
もちろん、1000万円以上貯金したら投資を始める、ということが必ずしも正解とはいえません。人によってはパーっと海外旅行に出かけたり、宝くじを買ったりということもあるかもしれません。
とはいえ、将来への備えを充実させたいという想いや夢があるなら、蓄えることに加えて、上手な資産運用などのお金の上手な使い道を模索することも大切でしょう。
定期預金以外の選択肢も視野に入れながら、あなたなりの資産形成を目指してみてください。