厚生労働省の調査によると、平成26年の大卒の初任給は200,400円です。仮にボーナスが年に4ヵ月分支給されたとすると、年収は200,400×20ヵ月=4,008,000円ですね。
この年収を見て、「高い」と思う人も、「低い」と思う人も、「普通だな」と思う人もいるでしょう。しかし、年収1800万円と聞いて、「安い」と思う人や「普通」と思う人はまずいないと思います。
1800万円というのは、Googleが東大の大学院生をスカウトする際に提示した年収です。いくら大企業とはいえ、新人に1800万円というのは、かなり思い切った金額ですよね。
一方で、同じIT系でも、残業代コミで年収300万円程度しかもらっていないという人もたくさんいます。一体何が違うのでしょうか。
芸の世界では年収格差は当たり前
1ヵ月かけて1枚の絵を描いたとして、それが1000万円で売れるか、1,000円にしかならないかは、その人の持った能力や知名度、絵の完成度、パトロンの有無などによって異なります。また、芸能人でも、同じ番組に出ているからといって出演料が同じというわけではありません。
Googleでは、こうした芸の世界と同じように、高いスキルや知識を持った学生に対して、新人であっても最初から高いリターンを約束しています。Googleにとって、社員というのは「時間を切り売りしている従業員」ではなく、「アーティスト」なのです。
年功序列はもう古い?
日本企業の給料は、長い間次のように定められてきました。
- 長く勤めれば勤めただけ給料が上がる
- 一度勤めた会社に定年までいるのが望ましい
- 長い時間働いている社員が働き者とされ、定時では帰りづらい雰囲気がある
しかし、Googleをはじめとする海外企業では、このような考え方はあまり一般的ではありません。
- 能力の高い人が高い給料をもらう
- より高い見返りを提示されたり、スキルアップできるならどんどん転職する
- 企業側があまり残業をさせたがらない(法定残業代が高額なため)
こうして比べてみると、日本の給与体系というのはどこか不自然に見えます。実際、最近の若者の間では、キャリアアップを目指して転職したり、時間に縛られない働き方を好む人たちも増えてきています。
今後は日本でも成果重視の働き方が増えていく
ホワイトカラー・エグゼプションの導入によって、今後は、日本でも時間ではなく成果を重視した働き方ができるようになります。しかし、「残業」や「一定時間会社にいること」が重視されていた世代が中心となっている会社では、こうした働き方が浸透するまでにある程度の時間がかかるでしょう。
一方、ITベンチャーを中心とする新しい企業や業界を目指す若者の中では、成果主義や転職は当たり前のことになっていくと考えられます。
これからの若者に求められることとは?
今後、Googleが提示した1800万円という年収を目指すためには、一体どうすればよいのでしょうか。昔であれば、レベルの高い大学に入学したり、一流企業にコネを作ることが大切だったかもしれません。しかし、これからはそういう時代ではなくなっていくでしょう。
ITベンチャー企業では、Googleのように、高いスキルに対して高額な年収を用意する傾向がどんどん高まっています。
IT企業で成功するためには、自分自身のスキルを伸ばしていくことが大切です。外国語やITに関する知識など、自分が目指す分野に沿ったスキルを磨いていきましょう。
もちろん、webデザインやコーディングといったクリエイティブなスキルを身につけることや、企業を見る目を養ってこれから伸びる会社を見極めることも大切です。
もはや、歴史ある大企業に入社できなければそこで終わり、という時代ではありません。ベンチャー企業であっても、そこで業績を大きくアップさせるような活躍をしたり、伸び盛りの企業に入社して会社に貢献すれば、20代で1000万円以上の年収を得ることも夢ではないのです。
(文/平野恵子)