昨日の2日に自民党の議員連盟が「たばこ税の引き上げ」などを要求したことがニュースになっていますね。
現在、たばこは1箱400円前後するみたいですが、これを一気に引き上げて、1,000円にするかもしれないという話です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えてとのこと。日本の「たばこ」の価格は、欧米と比較して3分の1程度といいますから、まだまだ喫煙者にとっては暮らしやすい国なのでしょう。
禁煙するということ
私は何年か前までは1日1箱吸っていた立派なスモーカーでしたが、「禁煙セラピー」という本を読んだり、Webサイトやブログから禁煙に関する情報を集めて、今現在は禁煙をしています。
正直、吸っているときも「たばこをやめられないものか?」とずっと考えながらいわば惰性で吸っていました。当時は1日1箱で300円ほどしましたから、毎月10,000円近くをたばこで消費していたのです。
そこからたばこの煙がどのように脳に作用するのか、どうして中毒性、依存性を帯びているのか、などたばこの仕組みについてもいくつか本を読みあさり、知識として得た結果、「なんでこんなものを俺は吸い続けていたんだ!?」と怒りに近い感情がわき、そこからは案外すんなりたばこをやめることができました。
私が思うにこれは禁煙側へと自己洗脳をしていったのだと自分では思っています。特に日本では頭の良い人や収入の高い人でもかなりの割合で喫煙者が存在しますが、こういう人たちはたばこがどういうものかを十分把握したうえで吸っているのかもしれません。
金額でも病気へのおそれでもない、たばこの魔力
よく、たばこをやめさせるための手段として、「1日400円、1ヵ月12,000円、1年で144,000円、1年吸わなければ海外旅行に行けるくらいのお金が貯まる」と金額で訴求したりとか、肺が真っ黒になった写真や喉頭がんで声が出なくなった人の映像などを見せることで脅したりというものがありますが、これらには喫煙者を一時的に驚かす効果はあるものの、禁煙にまではなかなか至らないようです。
「肺がんになって肺を半分取りました」といってそれ以来たばこをやめた人が私の知り合いにもいます。さすがにそれほどのことになればやめるでしょう。しかし、そこまでのことにならなければ、たばこというものはやめられないものなのでしょうか?
なぜ、たばこはやめたくてもやめられないのか?1,000円になろうがやめるつもりは一切ない人にとっては関係のない話ですが、ここではやめたくてもやめられない人に向けて話をします。ひとことで言いますと、
「喫煙とはニコチンという麻薬への依存症だから」
このひとことに尽きるわけです。もちろん、たばこだけではありません。お酒だってれっきとした「アルコールという麻薬への依存症」です。もっと言えばコーヒーだって「カフェインという麻薬への依存症」以外の何物でもありません。
ニコチンはコカイン、ヘロイン、マリファナと並ぶ立派な麻薬です。ただ、国がその摂取を認めているかいないかだけの違いです。今日現在、喫煙を完全に法律で禁じている国はないかと思われますが、たとえばイスラムでは宗教上の理由でお酒はご法度です。今日、あなたがニコチンという麻薬を摂取できているのは、日本の法律で合法だと認められているからにほかなりません。
1箱1,000円になったらどうするか?
だからといってお酒もタバコもコーヒーも一切口にしない方がいいとはまったく思いません。「必要だ」とは声を大にして言いたくはありませんが、人間にはやはり、お酒やたばこ、コーヒーやもっといえば甘いものからしか得られない「安らぎ」というものがあります。
それらも度が過ぎれば依存症となり、一生元には戻れなくなってしまう難しさがありますが、世の中にはお酒やたばこと上手に距離をとって依存症になることなく、病気にもならずに一生を終えた人がいます。一方で、一歩間違えてしまったために依存症になってしまった人もいます。お酒やたばこの直接的な害のみならず、このように依存症という観点から何冊か本を読んでみると、この点のことが理解できると思います。
要はたばこというものは麻薬であり、麻薬ということは依存症になる可能性があり、ひとたび依存症になってしまうと二度と元には戻れないということを知っておくだけでも、たばこに対する意識というのは大きく変わるはずなのです。
私はこの1,000円に値上がりするというのはその意味で良い機会であると思っています。遅かれ早かれ、1,000円になる時代は訪れるでしょう。普段、多くの喫煙者は依存についてきちんと向き合わずに、惰性で今日も1本のたばこに火をつけていることでしょう。
私は禁煙者だから「たばこなんてやめろ」と簡単に片付けたくはないんです。しかし、再三くり返しますが、たばこは麻薬であることと、今、あなたが吸った1本は次の1本のために吸っているということについて、この機会に考えてくれたらうれしいと思っている次第なのです。
(文/HOW MATCH編集部)