お金に困ったり、何らかの資金が必要な場合には、銀行カードローンや消費者金融会社のキャッシングを利用し、融資契約を結ぶ人がいらっしゃいます。この方法ですと、ある程度まとまった金額の現金を手に入れることができるため、気軽な借り入れが可能です。
しかし、金利が割高であったり、返済期限を守れなかった場合のリスクが大きいため、親兄弟のような家族や身内から借りる人もいらっしゃいます。特に親の場合は子供のためなら無条件で借金させてくれる場合もあるでしょう。
しかし、親からお金借りる場合にはいくつかの注意点があります。この記事では、親からの借金によくある理由を紹介し、気をつけなければならない点や対策について紹介します。
親からお金借りる理由とは?
社会人となり、自立していたとしても、自分ではどうしようもない状況となったり、自分だけではとうてい資金が足りない買い物をする場合には、親から借金するケースがあります。
親相手だと借入審査も必要ありませんし、電話一本で貸してくれる親もいるでしょう。でも、一体どういう理由で親から借りるケースが多いのでしょうか?まずは典型的な理由をまとめてみました。
住宅や自動車ローンの頭金
親からお金借りることが多いのが、住宅ローンの頭金です。金融機関で住宅ローンを組む場合には、頭金を少しでも多く入れる方が借入額を減らすことができ、金利負担を軽減できるため、支払総額を減らせます。
また、金融機関からの借入額が少ない方が借入審査で有利となるため、頭金を増やすことは重要となります。そのため、親から頭金に必要な費用を借りて、住宅購入資金にあてる人が多いようです。ただし、借金ではなく、親が資金提供してくれる場合もあるようです。
脱サラして独立するため
脱サラして独立した場合には、計画よりも多くの支出を想定しておかなければなりません。仕入れ費用や、事務所費用の支払い、備品や交通費、交際費など、何かと出費が多いことに驚く経営者がいらっしゃいます。
収入は少なく、支出は多く見積もっておかないと、苦しい資金繰り状態に陥りやすくなるため、結果的に親をアテにすることとなります。個人事業主を含む経営者は、ほぼ例外なく資金繰りに奔走するため、独立前の資金計画はとても重要です。
生活費が苦しくなったため
単純に日常生活が苦しくなって生活費を借りる場合もあります。失業によって収入がなくなったり、もともと給料が少ないなど、収入面の不足を理由に親から借りるパターンがあります。
逆に、子どもが産まれて出費が増えたり、浪費グセがあって家計が苦しかったり、臨時出費によって金策が必要となる場合にも、親をアテにすることがあります。親から借りて急場をしのいでも、根本解決にならない場合が多いため、生活自体を軌道に乗せることが先決です。
親からお金借りる場合の注意点
親からお金借りる場合には、さまざまな注意点があります。借りる額によって注意点は異なりますが、特に注意しなければならないことをピックアップしておきたいと思います。
それは「親子の仲が険悪になる可能性があること」「親の老後が苦しくなる可能性があること」「贈与税がかかる可能性があること」の3つです。親からお金借りる場合には、最低限これらの内容に配慮しておきましょう。
親子の仲が険悪になる可能性がある
親から借金をしていると、親子の仲が険悪になる可能性があります。きっちりと返済できるのであれば問題ありませんが、返済ができない場合には不仲となる原因になるでしょう。
言い訳ばかりしていつまでも返済ができないと、喧嘩が増える可能性もありますので、返済方法や返済計画を示す必要があります。親は借金が返って来ないことよりも、心配して感情的になるという話しをよく聞きます。不仲にならないためには、親を安心させる具体的な返済計画が大切です。
親の老後が苦しくなる可能性がある
親の老後が厳しくなる可能性もあります。親は子供のためならと、無理してお金を貸してくれることもあります。もしも返済が滞ってしまった場合には、親の老後の生活が厳しいものとなりますので、しっかりと配慮する必要があるでしょう。
また、老後資金がいくら必要なのかを把握せず、今貯金があるという理由で安易に貸してしまう親もいますので、親の経済事情との相談も大切です。
関連記事
贈与税がかかる可能性がある
税金対策も大切です。親からお金を借りた場合には、借金であることを証明できなければ、贈与税がかかってしまう可能性があります。本当に借金だとしても、税務署に贈与とみなされる可能性がありますので、事前に対策を打っておきましょう。
具体的には、借用書を書くことや、金利を設定することなどがあげられます。ちなみに、相続税と勘違いしている人が時々いらっしゃいますが、贈与税ですので覚えておきましょう。
親からの借金で知っておきたい豆知識
親から借金をする場合に、これだけは知っておきたいという豆知識を紹介します。贈与税対策で触れた「借用書を書く」ことや、「金利設定をする」ことのほか、「非課税枠がある」ことや、「住宅購入資金は非課税枠が増える」ことも知っておくと良いでしょう。それぞれの内容を具体的に解説します。
借用書は必ず書く
親から借金をする場合には、借用書を必ず書くということが重要です。贈与ではなく借金であることの一定の証明となるでしょう。ただし、ただ単に借用書を書いただけでは、やはり贈与とみなされる可能性があります。
「形式的に書類を作成しただけ」とみなされる場合があるからです。借用書の内容が真実かを証明するためには、返済履歴も重要ですので、借用書とあわせて知っておきましょう。
金利を1%以上に設定する
借用書を作って借金をし、返済履歴があったとしても、金利設定がなければ贈与とみなされることもあります。たとえ親からの借金であっても、一定の金利を設定して、利息とともに返済していく必要があるのです。
金利の目安は1%以上にすると良いでしょう。個人が無担保無保証人で借り入れする金利としては、かなり低い水準ではありますが、会社が社員に融資をする社内融資の場合には1%程度の金利の場合もありますので、整合性の取れた設定だといえるでしょう。
贈与税がかからない非課税枠がある
実は、贈与税には非課税枠があります。つまり、贈与されても税金がかからない枠があるということですので、ぜひ知っておきたい情報ですよね?親から贈与されても、年間110万円以下である場合には贈与税はかかりませんので、年間110万円以下の借金が贈与とみなされたとしても安心です。
念のため、贈与税の計算式を知っておくと良いでしょう。
《贈与税の計算式》
贈与税額=課税価格(贈与財産-110万円)×贈与税率-控除額
《贈与税の税率と控除額》
課税価格(年間贈与額-110万円) | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円を超える場合 | 55% | 640万円 |
住宅購入資金の場合には非課税枠が増えるということを知っておくと、親からの借金を効果的に利用することが可能です。
《贈与税の税率と控除額》
課税価格(年間贈与額-110万円) | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円を超える場合 | 55% | 640万円 |
《消費税8%の場合の非課税枠》
契約時期 | 非課税枠 | |
一般住宅 | 一定基準を満たす住宅 | |
2017年10月1日~2018年9月30日 | 500万円 | 1,000万円 |
2018年10月1日~2019年6月30日 | 300万円 | 800万円 |
まとめ
親からお金借りるケースは多々ありますが、いずれの場合にも親への配慮や、税金については気をつける必要があります。
借金であることを客観的に証明できなければ贈与税がかかる場合がありますので、お金を借りた上に余分な費用がかかってしまいます。借用書や金利設定、返済履歴が重要だと心得ておきましょう。ただし、贈与税には非課税枠もありますので、同時に覚えておくと良いでしょう。