「読書量が多い人は高収入」と言われることがしばしばあります。しかし、読書量だけでなく、読書の質に目を向けている人はどのくらいいるのでしょうか。
実は、年収500万円の方と年収1500万円の方では、読んでいる本の内容が違います。読書は単に自分の知識を増やすだけでなく、社会人として収入をアップさせるための方法を学ぶ生活習慣といえるのかもしれません。をそこで、今回は年収と読書の内容について比較し、より収入が高い方が読書からどんなことを学んでいるかを見てみましょう。
出世する人の読書量は一般成人の約4倍!
「出世する女性は、月に約4冊の本を読んでいる」という統計があります。人気の書籍は、「小説」「ビジネス書」「趣味、実用書」ですが、仕事ができ、管理職に昇進する女性は、週5時間程度の読書量を確保しているようです。
一般成人の平均的な読書量が月1冊であると考えると、管理職に昇進できる人の読書量は、およそその4倍と、大きな差が開いています。
具体的な統計データから、読書と収入の関係を見てみましょう。『2014年家計調査』によると、働いている人に限定すると、書籍等の購入に使うお金は平成16年4,560円から平成26年に3,241円となっており、読書に使う金額が年々減っていることがわかりました。 勤労者世帯の収入も10年間で変化しています。平成16年408,631円だったのに対し平成26年は387,606円と、21,025円も下がってしまいました。
これらのことから、読書にかけたお金は、収入に影響を与えていると言えるかもしれません。つまり、読書をする習慣はその人自身を知識人にするというより、お金を稼ぐ能力を身に付けさせるための一種の投資といえるでしょう。
読書内容で年収は3倍変わる!
読書量と年収は一定の関係があると考えられますが、どんな本を読んでも収入に開きはないのでしょうか? 実は、年収500万円の層と年収1500万円の層を比較すると、読書の内容に大きな違いがあることが分かります。
まず、年収500万円の人たちが読んだ書籍の内訳を見てみましょう。
話題になったビジネス書は読むものの、その他はライフスタイルの本やハウツー本、トレンド雑誌、マンガ・小説など、専門書や学術書よりはライトでスピード感のある本を好む傾向があります。いち消費者として、面白いことを情報収集しながら生活しているという人物像が浮かび上がります。
一方、年収1500万円の人たちは、ベストセラーの実用書以外にもさまざまなビジネス書に目を向けています。
例えば、経営者の考え方や経営学、経済学など、経営者視点の書籍が多いです。さらに、自己啓発書や歴史に関する書籍を読み、勉強しているという意見も見受けられました。
一定以上の年収を得ている人でも、その内訳をみると詳細は大きく異なります。読書量だけではなく、読書の質が収入に比例すると考えてもよいかもしれません。
大局観と未来を予測するスキルで年収アップを!
年収1500万円の人たちが歴史を学ぶ理由の一つに、過去を教材に未来を見る力と、大局観(全体を俯瞰する力)の体得が挙げられます。ここからは、「なぜ、高収入の人が歴史や経済学を学んでいるのか」という点について見てみましょう。
歴史を学ぶと、未来を予想することができます。『資本論』の著者で社会主義の父、カール・マルクスは「歴史は繰り返す」と述べました。この言葉は、「過去のできごとは、姿かたちを変えながら、似たような経緯をたどってまた起きる」という意味があります。
情報収集によって状況のパターンを見極め、未来を見る力と想像力がある人は、時代の先を読むことでビジネスの世界で成功することができるのです。
大局観は、ビジネスの世界では戦術ではなく戦略的な思考力と言い換えることもできます。「案件を受注した・失注した」という軸で考えるのではなく、ビジネスの長期的な勝ち負けを見極める力といっても過言ではありません。
例えば、歴史を学ぶと戦争の勝敗と国の興亡の結びつきが分かるので、大局観を身に付けるきっかけになるはずです。
「戦略的に物事を考える」という発想は人生の中で自分自身の行動や価値観を左右する大きな要素になりますが、同時にビジネスの分野でも、一流の論理的思考能力をインプットする、価値ある思考術として注目を集めています。
今後、年収アップのために読書量を増やしたい方は、短期的な勝敗ばかりを考えるのではなく、歴史や経済学を学んで論理的思考を養い、大局観や未来を読み解く力を習得しましょう!