世の中には、思いもよらないサービスを提供する会社というものが、まだまだある。
5年や10年前では考えも及ばなかった斬新なサービス業は、今も次々に誕生しているのだ。
家族代行サービスなんて、その最たるものではないだろうか。
家族代行、その利用目的の一例
家族代行。その名の通り、このサービス業は依頼者の家族として振舞える人員を用意する業務を行っている。
その用途は非常に多岐にわたる。
筆者が出会った実際の利用者の場合は、この手のサービス会社に登録されている若い男性の中から任意の人材を選んで、自分の弟役を雇ったそうだ。
この利用者は40代の男性。雇った目的は、同じアパートに住む住人への戒めのためだったという。
男性と隣あわせの部屋の住人が、騒音やゴミ出しマナーの違反などで、近隣にかなり迷惑をかけていたそうだ。
注意しようと思ったが、何か因縁をつけられても恐ろしい。
そこで家族代行サービスを頼ることにした。
腕っぷしが強そうに見える若い男性を1人雇って、自分と2人で兄弟役となり、隣人の家を訪問。
表向きは穏便ではあったものの、その実かなり迷惑をしていること。そしてこれ以上は我慢ならないことをそれとなく弟役に説明してもらったそうだ。
その甲斐もあって、隣人はめっきり大人しくなったというのだから、これはなかなか良い使い道だと言える。
他にも、この手の業種を頼る人々の狙いは様々であるという。
考えようによっては色んな搦め手も思いつく。利用者の発想力にも左右されるサービスと言えるだろう。
恋人代行、友人代行など、人間関係の代行サービスが増えています。
最近では家族代行も話題になっていますので、利用者を見つけて取材するか、失敗した場合はその用途について紹介する形にしていきます。
5時間で2万ちょい!利用料金も案外安い!
前述の40代利用経験者には、ついでにサービスの料金についても話を聞いてみた。
5時間で20,000円少々(それに交通費も発生する)とのことで、存外リーズナブルに思える。
実際、筆者がいくつかの同種のサービス業をネット検索してみると、このラインが相場のようだ。
中には8時間で20,000円という会社もあったので、探せばまだまだ安いところがあるのかもしれない。
家族役を用意するというのは、普通の生活を送る上ではなかなか発生することのない事態だ。
しかし、世の中何があるか分からない。
もしもこういった特殊な事情が差し迫ったという場合には、慌てず騒がず、こういうサービスの存在を思い出すのが得策だ。
代行は家族だけにとどまらず
そもそもこの手のサービスでは、何も家族だけを代行できる人員しかいないわけではない。
それ以外にも友人や上司役、果ては恋人役も探すことができる。
どちらかと言えば、この手の血縁にない知人役の方が、需要はあると言えるだろう。
レンタル彼女サービスなんてのも世間にはあるけど、あれはたった数時間で50,000円以上飛んで行くことも多いそうだ。
一方で彼女役を代行する女性を、こういったサービスで探し出すことで、たとえ彼女がいなくても周囲に「あいつ彼女いるんだ……」と思わせることも可能になるというわけだ。
まあ、とてつもなく悲しい見栄の張り方ではあるけども。
使い道はまさに無限大。
普段とは一風異なる依頼内容に沿う人材を確保したいという場合は、アテにしてみるのも一興と言える。
(文/松本ミゾレ)