人間、顔である。
顔がその人の評価を下す局面。これがかなり多い。
はっきり言って、その人の能力など度外視した人事というものは、どこの企業でも少なからずある。
イケメン、美人はそれだけで得をしている。
仕事は今ひとつのデキなのに、身の丈以上のポストを任されることもしばしばある。
一方、ブサイク、ブスの人たちは、どれほど仕事に真面目に取り組んでも、100%評価されることは少ない。
影でどれだけ努力しても、その姿を誰かがじっと見てくれていることもない。
大抵「またアイツ、こそこそ点数稼ぎしてる」と言われるのがオチだ。
人間、顔である。
顔がその人の人生を、良いものにもすれば、悪いものにだってするのだ。
実際、顔の良し悪しが賃金に影響を与える!
経済学者のダニエル・ハマーメッシュ氏は、1970年代にアメリカで、ルックスにまつわる調査を行っている。
容姿が下から数えたほうが早い男性たちは、一般的なルックスの男性よりも、収入が13%低かった。
一方でイケメンの男性は、一般的な男性よりも4%ほど収入が高いという結果になっていた。
これは女性にしても同じような傾向が見られたという。
つまり、ブサイクとイケメン。その収入差は17%にも上るということになる。
これはアメリカで行われた調査だが、こんなのわが国でいちいち精査するまでもなく、似たような結果に落ち着く企業など幾らでもあるはずだ。
僕自身、そのような傾向を見せる職場で働いていたことがあるが、明らかに仕事ができるブサイクの評価が不当とも言えるほど低かったのに対し、仕事のできないイケメンは人事の覚えもよく、どんどん昇給していった。
僕もどちらかと言えばルックスが並みよりも下に入るタイプなので、これはもう僻みに僻んだものだ。
家1軒分!賃金格差はルックスによってこんなに開く!
前述の調査を行ったハマーメッシュ氏は、イケメンとブサイクの生涯賃金格差について、日本円換算で2,700万円程度との試算を出していた。
このぐらいの差が生じるというのが現実なのだ。
家が1軒ぐらい買えちゃうほどの開きがある。
日本では、ブサイクがお金を持つとものすごく叩かれる。
一方でイケメンはどうか。適当ぶっこいていても、意外と上手くやっていける。
たとえばホリエモン。
一時はライブドアで飛ぶ鳥を落とす勢いを見せたが、その後、マスコミから異様に熱のこもった追及を受け続け、諸々のスキャンダルが発覚して失脚。実刑判決を経て収監までされた。
僕の個人的な考えなんだけど、あの人物がもしもイケメンだったら、あそこまでマスコミや市井の人々から嫌悪されなかったんじゃないだろうか、と思うこともある。
もっとも、マスコミはバカの扇動をするのが上手いかもしれないが、彼らもそこそこ頭が悪い。
だってショーンKのような、ルックスありきの詐欺師を、長年重宝していたんだから。
ショーンKだって、あんな整形フェイスの持ち主じゃなければ、一時の人気だって得ることはできなかった。
日本においてルックスは、何よりも優先されるものだと、マスコミ自身がそう証明してくれた。
イケメン有利の人間社会、ブサイクどもは強く生きよう!
ただし、生涯賃金格差でウン千万円の開きが出やすいとしても、それで腐ってはつまらない。
ブサイクはどうあがいてもブサイクなのだし、越えられない壁というものにぶつかってもしようがない。
顔を変えてみたところで、ブサイクだった頃の厭な思い出が塗り替えられるというものでもない。
諦め。そう、諦めの精神が何よりも寛容なのだ。
日本は資本主義。
お金が相当重要なものであることには変わりはないが、ブサイクだって人並みの生活を送れるぐらいには豊かな国なのだ。
ルックスでの差別は絶対にあるし、これからもなくなることはないが、今世では自分の顔を受け入れて過ごし、来世の顔立ちに期待をしよう。
イケメンに生まれることができれば、それだけでばら色の人生が幕を開けるのだ。それに賭けようじゃないか。
(文/松本ミゾレ)