「第二の成人式」ともいわれる40歳。20歳の倍も生きてきたわけですから当然「いい大人」です。しかし、まだまだ気持ちも若く体力にも余裕があるのが40歳の特徴でもあります。
現代日本における40歳の平均的なライフスタイルとはどのようなものなのでしょうか。年収、就業率、お小遣い、趣味など仕事とプライベートを徹底調査しました。
【この記事の目次】
40歳の平均年収は540万円
転職情報サイト「DODA」によれば、40歳の平均年収は540万円ということです。400~500万円が23%と最も多いのですが、300万円未満も8%、1,000万円以上も4%と個人差もかなりあります。
また、東洋経済オンラインでは上場企業約3600社を対象として各社の40歳社員の年収を有価証券報告書から推計し、エリアごとに分けてまとめています。そのうちの東京都上位500社ランキングを見てみると、
- 1位 M&Aキャピタルパートナーズ(2,451万円)
- 1位 日本M&Aセンター(1,551万円)
- 3位 GCAサヴィアン(1,550万円)
と、上位はM&Aの仲介を行う企業が占めていることがわかります。
一方、ワーストランキングでは
- 1位 日本ハウズインク(250万円)
- 2位 太平洋興発(256万円)
- 3位 日本管財(277万円)
となっています。比較的収入には恵まれている首都圏の上場企業でも、400万円未満の企業も59社もあるというのが実情です。
トップ500のうち1000万円を突破したのは42社
40歳は社会人生活の折り返し地点でもあり、年収の差もひらいてくる年代です。上位には先にあげたM&A関連企業の他、大手テレビ局、総合商社、金融系企業などがランクインしています。
しかしいずれにせよ、40歳で1,000万円の大台をマークしているのはわずか42社しかありません。
夢の1,000万円超えは一部の企業に限られていますし、その地位もけっして安泰とはいえず、今後は他の業種に取って代わられる可能性も大いにあります。
ワースト500のうち500万円未満は259社
同じ40歳でも年収1,000万円超えを実現している人もいれば、500万円にも満たない人もいるのが現実です。500万円未満の企業は259社にものぼり、1,000万円以上の42社を大きく上回っています。
比較的裕福といわれる首都圏の40歳でも約15%も年収500万円未満という計算になり、地方ではさらに低くなっていることが予想されます。
長引く不況の中で40歳の平均年収も伸び悩んでいるといったところでしょうか。日本経済の速やかな回復が待たれます。
男女別の就業率
総務省「労働力調査」によると、40歳の就業率は男性93.1%、女性70.4%ということです。
男性は30代と比較して約3%ダウンしています。40歳というと男性の身体の変わり目でもあるので体調を壊す人も少なくありません。また、早期退職の人も出てくる年齢のため、このような結果になっていると考えられます。
一方、女性は30代よりも就業率が高くなっています。30歳前後で出産していたとすると子育てが一段落する頃でもあり、仕事に復帰する人が増えるためといえるでしょう。
40代サラリーマンのお小遣い
40歳というと住宅ローン、子どもの学費などまだまだ出費が多い年代です。独身貴族生活を謳歌している40歳でも、そろそろ老後への蓄えも気になるところです。そのような中で、40歳が自分の好きに使えるお小遣いはどれぐらいあるのでしょうか。
新生銀行「2015年サラリーマンのお小遣い調査」によれば、40代のお小遣いの平均は
- 男性36,719円
- 女性32,309円
でした。男女別の平均年収から計算すると、男性は年収の約6%、女性は11%をお小遣いにしていることがわかります。
しかし、1990年当時は平均して77,725円のお小遣いがあったそうです。現在の約2倍もの余裕があったということになります。
少ないお小遣いの中で趣味を大切にしている40歳も多く、各自工夫していることがうかがえます。
40歳の貯蓄金額の平均
総務省「家計調査」で40歳の平均貯金額を調べてみると、
- 単身世帯で1,153万円
- 2人以上の世帯で962万円
とのことです。「みんなそんなに貯めているの?」と、驚く人も少なくないでしょう。確かに億単位の貯蓄がある人もちらほら出てくる年代でもあるため、そういった一部のミリオネアによって平均額が引き上げられていると考えられます。
中央値だけの分布から考察すると、
- 単身世帯で600万円
- 2人以上の世帯で640万円ほど
というのが平均的な貯金金額のようです。そうとはいっても貯蓄ゼロ世帯もあり、貯金に対する考え方は一様ではないことがうかがえます。
40歳代の結婚率
以上のように40歳の貯蓄金額は、中央値付近では2人以上の世帯の方が多いことがわかります。結婚してダブルインカムの方が貯金もしやすいということでしょう。では、40歳代の結婚率はどうなっているのでしょうか。
総務省統計局による2010年国勢調査によれば、40~44歳で結婚している人の割合は男性66.4%、女性73.2%ということです。男性の1/3、女性の1/4が独身という計算になり、男女ともこれ以降はあまり変化が見られません。つまり、生涯独身率が高くなるということです。
単身世帯のためのサービスも増えてきている昨今、今後も40歳の独身率はアップする可能性もあります。ライフスタイルの多様化ということでしょうか。
40歳のライフスタイル
実際のところ、40歳のライフスタイルはどうなっているのでしょうか。350種類以上の趣味を紹介するサイト「趣味探し.com」によれば、40代の趣味ランキングは
- 1位 在宅ワーク
- 2位 一人旅
- 3位 バイク
- 4位 神社・仏閣巡り
- 5位 自転車
- 6位 アーチェリー
- 7位 射撃
- 8位 株
- 9位 登山
ということです。
かつての40歳というとゴルフや車などを趣味にしている人も少なくありませんでした。しかし、現在ではそういったお金がかかる趣味はあまり人気がないようです。そもそも1位がお金を稼ぐ在宅ワークというのも象徴的です。
また、一人で楽しめることを趣味にしている人が多いことも特徴です。現在の40歳というと1971~1974年生まれの団塊ジュニアよりも少し下の世代ということになりますが、集団で群れるよりも自分のペースを大事にしている人が多いということなのかもしれません。
以上のように、それぞれの40歳が置かれている状況はさまざまです。1億円を超える蓄えがあるセミリタイア組もいれば、年収400万円未満どころか無職という人もいます。それでもまだ40歳ならば、これから巻き返しのチャンスもあります。大事なのはむしろモチベーションといえるでしょう。
しかし、モチベーションが二極化していることも40歳の特徴です。完全にやる気を失いあきらめモードになっている人もいれば、やる気だけは誰にも負けないという人もいます。
あきらめモードの人は年収が少ない人ばかりではありません。むしろ、これまで夜も寝ずに1,000万円台の年収を稼ぎ出してはきたものの、心や体を病んでしまう人が多く見られるのもこの年代です。
40歳というのは、社会人としてはもちろんのこと、人生そのもののターニングポイントといっても過言ではありません。これまでのキャリアをいかすことも大事ですが、心機一転新しいチャレンジをする最後のチャンスともいえます。
自分の人生で最も大事なのは「お金」なのか、それとも違う「何か」なのか。20歳ならばまだ「何か」を模索する余裕もあったかもしれませんが、40歳はわからないながらもとりあえず一歩を踏み出すことがもっと大事です。
限りある人生を悔いなく生きるには、40歳をどう過ごしたかが思いの他重要なのだと心にとめておいてください。「お金」はもちろんのこと、それ以上の「何か」を目指しましょう!
(文/木野きのこ)