世の中にはたくさんのプロが存在します。彼らは私たちとは遠い世界にいると感じる人も多いかもしれませんが、果たしてどのような生活を送っているかご存知でしょうか。
プロになる苦しさやプロならではの覚悟と合わせてお話しします。
【この記事の目次】
日本人の平均年収
政府の統計によりますと、日本人の平均年収は414万円と言われています。男性は511万円、女性は272万円が平均年収です。
特に高収入の人が多い職業は、電気・ガス・熱供給・水道業などのインフラ系で、695万円という結果が出ました。次いで金融業・保険業が616万円の高収入を記録しています。一方、宿泊業・飲食業は233万円と最も低収入のようです。
どのような職業でも、お客様からお金をもらって働いている以上はプロだと思います。しかし、保険の営業マンやアパレルショップの店員をプロと呼ぶことはありません。では、どのような人たちがプロと呼ばれるのでしょうか。
プロ=統括団体が認定する人物、専門家
プロという言葉は、職業上のエキスパートという意味があります。そのため、「営業のプロ」「接客のプロ」という表現は間違いではありません。しかし、日本語ではある団体が認定した人または専門家を指すことが多いようです。
たとえば、野球を見てみましょう。NPBが運営するプロ野球だけではなく、高校生や大学生の競技である学生野球と、企業に所属する選手が試合を行う社会人野球があります。学校に所属する学生野球や企業に所属する社会人野球と違い、個人事業主が年単位で契約するのがプロ野球です。
ゴルフやテニスはもっとわかりやすく、日本プロゴルフ協会や日本プロテニス協会が認定する選手のみがプロとして認められています。
なお、ゴルフに関しては競技のプロだけではありません。ティーチングプロはゴルフを教えることで報酬をもらう職業です。このような仕事もあることから、プロとアマでは明確な区分がされています。
参考までにスポーツ分野の平均年収を見てみましょう。
- プロ野球 3,800万円
- Jリーグ 1,700万円
- プロゴルファー男子 3,081万円
- プロゴルファー女子 2,923万円
平均的な日本人の年収と比べると、総じて高額であることがわかると思います。
スポーツ分野以外でも活躍するプロ
スポーツ以外の分野でもプロが登場しています。たとえば、以下のようなジャンルのプロがいることをご存じでしょうか。
- プロ棋士 平均年収700~800万円
- ダーツ トッププロで平均年収1000万円
- プロゲーマー 平均年収500万円
です。これらは頭脳スポーツと呼ばれることも多いですが、賞金によって稼ぐことが少なくありません。
芸術分野も見てみましょう。
- プロミュージシャン 平均年収300~400万円
- 画家 平均年収600~700万円
とされています。ただし、人気商売であることから収入は水モノである点は理解しておかなければなりません。
プロの特徴とは精神的な強さと自己研鑽
スポーツや芸術分野では、いずれもプロとアマチュアが存在します。プロにひけを取らないアマチュアも多いですが、プロとアマチュアを分けるポイントはどのような点にあるのでしょうか。
まず、プロは完璧主義である点が違います。基本的にどのような物事でも完璧を目指すのは不可能ですが、そこで諦めてしまうのがアマチュアです。
プロ野球のピッチャーなら1km/hでも速い球を的確なコントロールで投げる、プロのギタリストならBPMを1でも速く、正確に弾けるように練習をします。
もちろん、スポーツなら競技成績、ミュージシャンなら人気に比例するわけではありませんが、プロなら上達しようとする姿勢や改善しようとする姿勢が求められるのです。
次に、プロは広く長期的な視野で物事を考えようとしますが、アマチュアは狭く短期的な視野でしか物事を考えられません。
スポーツや頭脳スポーツでは全体の流れを把握し、相手の考え方を読みながら行動することで勝利をつかみ取ることができます。競技においてフィジカルや技術、戦略を勉強する理由は、相手の行動を予測して実践するためです。
この点をはき違えると、アマチュアの領域を脱出することはできないでしょう。
さらに、感情のコントロールができるかどうかも大切です。アマチュアのうちは感情を軸に計画を立ててしまいますが、プロはゴールを見据えて計画的に物事を進めます。
感情を自らコントロールして、成功するための道筋を立て続けられる人がプロになり、最終的には成功できるのです。
お客様やファン、広告主に対する意識
プロが完璧主義で感情に左右されずに物事を追求し続ける姿勢は、お客様やファン、広告主を安心させるためにあります。
なぜ、お客様やファンを安心させるべきかというと、彼らは素晴らしい競技やライブ演奏を見るためにお金を払っていて、期待に応えてほしいからです。
もし、プロスポーツ選手が「今日はケガをしているからコンディションが悪い」と答えたり、プロのボーカリストが「風邪を引いたから声がガラガラだ」と答えたりしていたらどうでしょうか。多くのファンは失望し、今後その選手やミュージシャンのことを応援しなくなると思います。
多くのプロは興行収入(チケットの販売)やグッズ収入を期待され、広告主が年俸を払ったり企業が契約料を支払ったりします。
たとえば、プロ野球チームなら選手の活躍によって企業の名前が露出することを期待されています。また、イベントに出演するミュージシャンはイベント主から集客を求められているのです。
期待に応えられないプロに対し、広告主はお金を用意しようとはしません。活躍できないプロ野球選手やJリーグ選手は契約されず、ゴルフやテニスでは勝てないために賞金を受け取ることができないはずです。
ミュージシャンの場合、次からはギャラを払ってまでイベントに呼びたいと思ってもらえなくなるでしょう。
まずは万全のコンディションで本番に挑めるよう、日々調子を整えるのがプロです。もし、ケガや不調でも隠し通すくらいの姿勢を持たなければプロとは言えません。
ビジネスシーンでプロを目指せ
ここまでは一般的に言われるプロのお話しをしました。私たちからすると高年収で、現実離れしているように感じるかもしれませんが、ビジネスの世界にもたくさんのプロがいます。
彼らは年収数千万円あるいは数億円を手に入れており、プロスポーツ選手並の年収を稼いでいる存在です。
仮に、普通のサラリーマンをアマチュアとした場合、プロはどのような行動が違うのでしょうか。
基本的に、ビジネス分野でも考え方はスポーツのプロと変わりません。常に自己実現や成果に焦点を絞って成長意欲を持ち続け、出てきた結果に甘えないという姿勢が大切です。
プロの世界では、チームスポーツなら勝利に貢献できない人は次から起用されません。個人スポーツの場合は賞金を獲得できなかったり広告主からスポンサーを撤退されたりと、収入を得る道が断たれてしまいます。
ビジネスシーンでは、結果が出なくてもいきなりクビになることのほうが少ないです。そのため、つい甘えてしまうことがあると思います。
しかし、気付かないうちに結果を出し続ける人は年収がアップし、そうでない人は年収が変わらないという状況になっているのです。
日本でプロと呼ばれる人たちは、並大抵の努力で今の立場を手に入れたわけではありません。想像を絶するような努力がそこにはあります。
アスリートやその他のプロを目指すのもよいですが、ビジネスの世界でプロを目指してみるのもよいのではないでしょうか。
(文/三堂有人)