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中小企業の役員の年収は?大手企業の役員との差はどれくらい?

投稿日:2016年10月12日 更新日:


職業:会社役員」と書いてあると、なんとなくその人がリッチに思えてきませんか?大企業の役員なら言うに及ばず、中小企業でもそう思いますよね。

でも、本当のところはどうなのでしょうか?中小企業の役員の年収の平均データと、中小企業の役員がお金持ちそうに見えるワケを用いて、徹底的に解説します。

中小企業の経営陣はぶっちゃけ年収どれぐらいもらってるの?

タイトルの通りです。中小企業の社長など、経営陣の年収データを読み解いてみましょう。

ところで、中小企業って?

本格的に話を始める前に、一般的に中小企業とはどんな会社を指すのか考えてみましょう。中小企業基本法という法律は、中小企業・小規模企業者の定義を次のように示しています。

<中小企業者の定義>

業種分類

中小企業基本法の定義

製造業その他  

資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は

常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

卸売業

資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は

常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

小売業

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は

常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

サービス業

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は

常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

<小規模企業者の定義>

業種分類 

中小企業基本法の定義

製造業その他

従業員20人以下

商業・サービス業

従業員 5人以下

読者の皆様がイメージする中小企業に一番近い定義でしょう。これ以降の文章でも、中小企業のイメージとして中小企業基本法の定義を使います。

企業規模ごとに役員の平均年収をまとめました

最初の切り口として、企業規模ごとの役員の平均年収を調べてみました。わかりやすくするために、表にまとめてあります。

資本金額

平均年収(円)

資本金2,000万円未満

5,290,000

資本金2,000万円超
5,000万円未満

7,589,000

資本金5,000万円超1億円未満

10,574,000

案外高くないんだな」と思いませんか?役員と言っても、色々な立場の人がいる上に、企業規模も様々なので、結果として平均も低くなっています。

役員の階層ごとの相場も考えてみました

先ほど、役員と言っても色々な立場の人がいる、と書きました。偉くなればなるほどもらえるはず……ですよね。この点についても、実際はどうなのか調べてみたので、ご覧ください。

職位

年間報酬の相場

会長

1,200万円~1,400万円

社長

1,700万円~2,000万円

専務

1,200万円~1,350万円

常務

1,100万円~1,200万円

取締役

900万円~1,100万円

監査役

280万円~340万円

やっぱり、「大金持ち!」というイメージとは程遠いかもしれません。一般のサラリーマンに比べればもらっている、という水準でしょう。

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大企業に比べたら全然もらってない

よく、ニュースで「●億円の役員報酬が……」という雲の上の話が出ることがあります。中小企業の役員報酬の話をしたところで、大企業の給料・役員報酬事情とも比べてみましょう。

まず、役員報酬について考えてみましょう。役員報酬が多い上位20社をランキング形式の表にしてみました。

順位 

社名 

役員平均年収(万円)

1 

エイベックス・グループ・ホールディングス 

24,620

2 

ミスミグループ本社 

24,363

3 

ファーストリテイリング 

24,000

4 

スターバックスコーヒージャパン 

22,000

5 

カシオ計算機 

21,317

6 

日産自動車        

21,300

7 

ユニバーサルエンターテインメント 

20,425

8 

堀場製作所        

16,950

9 

キャノン 

14,900

10 

SANKYO 

14,833

11 

三菱商事 

13,545

12 

伊藤忠商事 

12,792

13 

アステラス製薬 

12,775

14 

カルビー 

12,600

15 

ユーシン 

12,400

16 

三井物産 

12,333

17 

ファナック 

12,218

18 

東理ホールディングス 

12,000

19 

ネクソン 

11,775

20 

中外製薬 

11,433

かなり認知度の高い会社が並んでいますね。1位のエイベックス・グループ・ホールディングスに至っては2億5,000万円近い金額です。

もちろん、大規模な企業であればあるほど、役員が行うべき職務の範囲が広くなるので、役員報酬もそれに比例して高くなります。責任をもって仕事を行わなければいけないのは中小企業も一緒ですが、規模の大きさによる違いは免れません。

では、一般の社員も含めて比較してみるとどうなるのでしょうか。こちらについても、平均年収の高い上位20社のデータを表にしてまとめてみました。

順位 

社名 

平均年収(万円)

1

M&Aキャピタルパートナーズ 

2,253 

2

GCAサヴィアン 

2,153

3

キーエンス 

1,688

4

朝日放送 

1,518

5

TBSホールディングス 

1,509

6

日本テレビホールディングス      

1,469

7

フジ・メディア・ホールディングス 

1,447

8

テレビ朝日ホールディングス   

1,433

9

伊藤忠商事 

1,395

10

日本M&Aセンター 

1,385

11

三菱商事 

1,375

12

スクウェア・エニックス・ホールディングス 

1,374

13

三井物産 

1,361

14

テレビ東京ホールディングス 

1,330

15

丸紅 

1,306

16

電通 

1,301

17

住友商事 

1,300

18

ヒューリック 

1,295

19

ファナック 

1,276

20

三井住友トラスト・ホールディングス 

1,249

1,200万円台になると、かなりの上位に食い込むみたいです。でもこれは、一般の社員を含めたランキングなので、ここに出てきた企業の役員の報酬がもっと高いのは想像に難くありません。

中小企業といっても、かなり幅広いので一概には言えませんが、大企業なみの報酬をもらっている役員がいる会社は、はっきり言って少数派でしょう。

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経営陣の給料(役員報酬)にまつわる知識を徹底解説

中小企業の経営陣の給料=役員報酬の実態について知ってもらったところで、次の話題に移りましょう。役員がもらう給料を役員報酬、一般社員がもらう給料を給与と言いますが、この2つはどう違うのでしょうか?

理解を深めるための知識として押さえておきましょう。

役員報酬と給与の違い

様々な側面から、違いを解説します。

基本

役員報酬と給与の違いを開設します。表にまとめました。

役員報酬

法人税法上の役員にあたる人に対して会社から支払われる報酬のこと。毎月同じ金額を役員報酬として受け取る(定期同額給与)。

給与

会社で働く従業員などが労働の見返りとして会社から支払われるすべてのもの(諸手当を含む)。

ここで、諸手当には次のものが含まれるとされています。

  • 通勤手当のうち、月10万円を超える部分の金額
  • 残業手当(時間外手当、超過勤務手当)
  • 休日出勤手当
  • 家族手当(扶養手当)
  • 住宅手当
  • 職務手当(役職手当、役員手当)

また、会社からもらうもの(現物給与)も給与に含まれます。飲食店などのバイトで出てくる「まかない」も一定の条件を超えれば給与になるので、注意しましょう。

損金算入できるか

簡単に言えば、会社の経費にできるかということです。役員報酬の場合、詳しくは後述しますが、毎月一定額を支給しないと、経費できないのが原則です。

一方、給料の場合、増額・減額をしても、基本的には自由に経費にできます。

雇用保険料の扱い

通常、正社員や契約社員、アルバイトなどの場合、会社と雇用契約を結びます。このため、給料から雇用保険料が差し引かれ、失業した場合に一定の条件を満たせば失業保険給付金がもらえる制度になっているのが特徴です。

しかし、役員は会社で働くのは一緒ですが、正確には雇用関係ではなく委任関係(=会社から仕事を委任されている)にあるため、雇用保険に入れません。つまり、失業保険はもらえないのです。

役員報酬の決め方

ところで、役員報酬はどうやって決められるのでしょうか?

損金算入するためには?

役員報酬を決定する場合、経費にできる=損金算入できる形で決めなくてはいけません。日本の税法では、次の3種類の決め方が認められています。

定期同額給与

毎月一定の時期に定額で支払う。

事前確定届出給与

事前に税務署に届出をして、その届出の内容通りに支払われる。

利益連動給与

利益に連動して実際の報酬が支払われる。※主に大会社で採用

中小企業では、定期同額給与が用いられるのが一般的です。

金額を変更したい場合は?

役員報酬は、一度決めたら変更できません。ただし、次の4つの例外に関して、役員報酬の減額が認められています。

1.業績や財務が悪化して、株主との関係上、役員としての経営責任を取るために役員報酬を減額せざるを得ない場合

2.取引銀行との借入金返済の予定協議において、役員報酬を減額せざるを得ない場合

3.業績や財務状況の悪化で、取引先などの利害関係者からの信用を維持する必要があり、役員報酬を減額して経営状況の改善を図るという計画が盛り込まれた場合

4.特定の役員の不祥事により会社秩序を維持するため、あるいは会社の社会的評価への悪影響をさけるため、一時的にやむを得ず行われたものであり、その処分内容が社会通念上相当のものである場合

具体的に決める流れは?

役員報酬を決める際の基本的な流れも押さえておきましょう。まずは税引前利益を計算します。そのうえで、税金の支払額、会社の資金繰りを考えながら具体的な金額を決めるのが一般的です。

この場合、税理士などの専門家と相談しながら行うのがほとんどになります。

年収が安い割にお金持ちそうなのはなぜだ?

ここで、筆者は一つの疑問に行き当たりました。繰り返しているように、中小企業の役員報酬はそれほど高くありません。

それでも、外車に乗っていたり、高級レストランで食事をしていたりと、生活がなかなかリッチそうに見える方はたくさんいます。その理由を考えてみました。

経費の扱いに鍵がある

ポイントは、経費の扱いに差があるということです。中小企業の場合、大企業に比べて経営基盤が弱いため、経営基盤を築くための出費も必要という意味で、経費として認められる費用の範囲が広くなっています。

一般的に、次の3つの条件を満たせば、経費で落とせるようです。

  1. 仕事に使うことが証明・説明できる。
  2. 会社の売り上げに関係する出費である。
  3. 妥当な範囲の出費である。

このため、一見仕事に関係ないような出費でも経費にできる余地があるため、リッチな生活もできる!?と考えましょう。

どこまで経費にできる?

先ほどの3つの条件を踏まえて、どこまでなら経費にできるかを考えてみました。

1)飲食代

取引先、社員と一緒に食事をした場合は会議費として経費にできます。1人の場合はできません。1人あたりの飲食代が5,000円以下なら会議費、5,000円超ならば交際費として処理します。

また、交際費に関しては年間800万円まで、会議費に関しては全額非課税になります。

さらに、会社の宴会費用も、懇親会など仕事に関連する妥当な理由があれば、交際費として経費計上が可能です。

2)旅行、レジャー代、交通費

仕事のために必要な理由のある出張・外出に関する旅費・交通費は、旅費交通費として計上できます。

  • 取引先と行ったスポーツ観戦
  • 旅行の費用
  • コンサートのチケット代

などは、交際費として計上が可能です。

また、社員と行った慰安旅行の費用は、福利厚生費として計上できます。ただし、役員だけでの旅行の場合は経費にできません。

3)自宅の家賃

自宅を会社名義にした場合、家賃の50~80%を経費に計上できます。会社の役員が家賃の20~50%を支払っていれば大丈夫です。

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