ネット通販会社の楽天が、2012年に社内公用語として英語を用いるという大胆な施策を講じたのは、インターネットのみならずマスメディアが取り上げる大ニュースだった。当時、私もテレビや新聞で、三木谷社長の顔とともに、「グローバリゼーション」というちょっと遠い世界の言葉のように感じていた単語が、眼前まで迫ってきたことを思い出す。
この流れによって、TOEICをはじめとした自身の英語力を図るテストを受けるようになった方も多いだろう。人事採用でも、英語力が重視されるようになったからだ。実は、この英語力、本業だけでなく副業でも活かせることはご存知だろうか。
在宅ワークで大切なのは専門スキルの獲得
現在の副業は、インターネットを利用して手軽に行える。しかし、誰もができる仕事は当然競合が多く、その分作業単価は低くなりがちだ。逆にいえば、専門性が高く受け手がなかなか見つからない仕事は、大きな報酬が得られるのである。
とはいえ副業のために、新たに知識や技術を身につけるのはなかなか難しいかもしれない。そこで考えたいのが、本業でも必要とされるスキルを高めることだ。冒頭で述べたとおり、英語力は本業でも求められるスキルだから、理にかなった選択といえるだろう。
下記の3つの仕事は在宅で取り組める英語力を活かした仕事だ。参考にしてみよう。
翻訳
「英語を活かす」と考えたら、まず浮かぶのがこの仕事ではないだろうか。ただし、翻訳といっても海外の小説やエッセイ、さらには映画の字幕やニュースの翻訳といった仕事は難易度が高いため、初めての方ではなかなか仕事が得られないかもしれない。まずは、「実務翻訳」に取り組んでみよう。
実務翻訳とは、英語で書かれたビジネス論文や研究報告書、マニュアルを翻訳する仕事のこと。そのため、本業で英語を勉強している方であれば、作業に取り掛かりやすいのが特徴だ。
報酬は、英文和訳400文字当たりで、1,000~7,000円程度と幅が広い。依頼内容が製品の取扱説明書といった比較的難易度の低いものから、ビジネス論文といった専門性の高いものまであるためだ。もし、本業で専門的な分野に携わっているのであれば、翻訳のでき栄え次第では高額収入を得るのも夢ではないだろう。
輸入ビジネス
海外の商品を個人輸入し、日本の消費者に向け販売して利益をあげる輸入ビジネスは、英語を使う在宅副業のなかでもポピュラーな仕事だ。ところが、輸入ビジネスでは英語力は必要ないという意見もある。海外のサイトを覗く分には、ネット辞書を利用すれば苦労はないからだ。
しかし、将来事業の拡大を考える人であれば必須のスキル。商取引の場面で、英語のニュアンスが上手につかずに相手との意思疎通が図れないと、交渉が決裂してしまうリスクがあるためだ。
また、収入面は、自身で仕入れて販売を行う都合上、赤字になってしまうリスクがある。その分、軌道に乗れば安定して収入が得られるため、きちんとした準備とノウハウの構築が求められる。そのために、英語力を鍛えるのも一つの手段となるはずだ。
一方で、いくら英語力を身につけたと言っても、法律や専門用語が並べられるような書類では、苦戦してしまうかもしれない。特に、契約書を交わすような場面では、細かい条件について見落としてしまうと、後々のトラブルに繋がる。できれば英語に強い弁護士に相談しておこう。
英語講師
在宅ワークで英語講師になるのも選択肢だ。これは、Skypeをはじめとしたビデオチャットツールを利用し、主に日本人のビジネスマンを対象に、家庭教師のような感覚でレッスンを行うというもの。時給は、1,000~2,000円程度と先に挙げた副業よりも効率的とはいえないが、人に教える仕事は他にはない経験や感覚が得られるだろう。
また、英語のリーディング・ライティングが苦手な方であっても、スピーキングは得意という方であればベストな選択になるだろう。その他にも、将来英語教師を目指したい方にはよいかもしれない。
英語力を活かした副業で本業の評価アップにもつなげよう
副業で、英語を使う仕事をしていれば、必然的に英語力も向上するはずだ。その結果、本業での評価も上がることもあるだろう。副収入を得ながら、給与アップも目指せるとは、一挙両得の状況だ。将来的にグローバル企業で働きたいという方や、副業でなかなか成果が上がらないといった方は、これを機に英語力を活かした副業に取り組んでみてはどうだろうか。
(文/山口拓巳)