数ある資格・免許の中でおそらく第一位の取得者数を誇るであろう運転免許証。地方では車がないと生活できない場所も多いでしょう。
筆者の故郷もそんな田舎です。大学時代になんの疑いもなく運転免許を取得したのですが、そのまま地元を離れてペーパードライバーになってしまいました。免許取得以来、車を運転した回数はおそらく1桁。更新のたびに「運転していないのに更新する必要があるのだろうか……」と思ってしまいます。今回は運転免許証を保有するコストを検証してみました。
自動車教習所にかかる費用
免許の種類や教習所によってまちまちですが、普通自動車免許でだいたい25万円~30万円というところです。筆者が教習所に通ったのは10年ほど前。消費税5%の時代でオートマチック限定だったため、全部で25万円ぐらいでした。
教習所によっては「ホームページから申し込むと○万円引き」とか、「大学生協で申し込むと○万円キャッシュバック」とか、いろいろな割引をしています。申し込む前にきちんとリサーチしておくと良いでしょう。
運転免許取得時と更新時にかかる費用
教習所を卒業すると、運転免許センターで試験を受けて免許の交付を受けます。このときにかかる費用は受験料が1,750円、免許証交付料が2,050円で、合計3,800円です。試験に落ちて再び受験する場合はその都度1,750円を払わなければなりません。
更新の際に支払う手数料は初回更新者講習が3,850円、優良運転者講習が3,000円、一般運転者講習が3,300円、違反運転者講習が3,850円となっています。
免許取得時と更新時に必ず聞かれる交通安全協会への加入ですが、筆者は入っていません。交通安全協会に加入すると年間400円が上乗せになります。実際のところ、入っても入らなくてもどちらでも構わないでしょう。
筆者の運転免許保有コスト
以上は平成27年11月現在の手数料です。これから手続きされる方は最新の情報を調べるようにしてください。
仮に今後も改正しないとして、一生のうちに運転免許証にかかる費用を計算してみましょう。筆者は20歳で取得し、22歳で初回の更新、25歳の更新でゴールド免許になりました。今後もずっとゴールド免許で、65歳で免許を返納すると仮定すると、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳と、8回更新することになります。
すべての費用を合計すると、
教習所250,000円+取得時3,800円+初回3,850円+優良3,000円×8回=281,650円
となります。
20歳~65歳の45年間で281,650円ですから、1年あたり6,259円です。20歳の時に「いつか必要になるだろう」と思って取った免許ですが、今後もずっと運転しないとなると年間6,259円ずつ無駄にしているということになってしまいます。年に数回しかない身分証明のために6,259円払っていると思うと、ちょっともったいないですね。
運転経歴証明書という手もある
運転免許証を自主返納してから5年以内に申請すると「運転経歴証明書」を発行してもらうことができます。こちらは発行手数料1,000円で永年有効です。運転免許証のように写真が入っていて、金融機関の口座開設の本人確認書類としても使えます。
ペーパードライバーが今後も絶対に運転しない見込みであれば、運転経歴証明書のほうがお得ですね。しかし永年有効とは言え、若いうちに発行するとだいぶ顔が変わってしまいそうな気がします。
もしも運転することになったら?
今のところは運転しなくても生活に困りません。しかし、いつ車が必要な生活になるのかわかりません。一度手放してしまうと再取得するのは大変です。いざ運転することになったらペーパードライバー教習を受ける必要がありますが、一から取得することを思えば安いものです。
年間6,259円というのは全ての費用を合計した平均額ですが、教習所費用や取得費用はすでに支払った金額です。いわゆる埋没費用なので、考慮する必要はありません。
これから支払う費用は5年あたり3,000円ですから、維持費としては1年あたり600円です。運転することになった場合の保険と考えると、それほど高い金額ではないでしょう。筆者はこれからも保有し続けることになりそうです。
(文/宮島ムー)