(写真:ヤシマ作戦の舞台 Photo by ume-y)
TV放送開始から20周年を迎えたエヴァンゲリオン
2015年はエヴァンゲリオンイヤー。国内外に熱いファンを抱える、日本のエンターテイメントは記念すべき年を迎えました。TVアニメの放送開始から20周年、さらにはアニメの舞台が2015年だからです。
エヴァンゲリオンの中での2015年は、本当にさまざまなことが起こりました。主人公の碇シンジが人類を壊滅に追い込む「使徒」とエヴァンゲリオンで戦ったり、世界中の建物が次々に破壊されたりとか、数え切れないほどの命を失ったりとか。
私は碇シンジと同じ誕生日(6月6日)なので、感情移入をしてしまい、「こんな少年が世界のために戦っている……」と心を痛めたこともありました。現実がこのようにならなくてよかった、と安堵する今日この頃です。
ヤシマ作戦っていくらかかるの? 今の日本で考えてみた
そんなエヴァンゲリオンには、数々の名シーンがあります。碇シンジが「逃げちゃ駄目だ」と言って、エヴァンゲリオンに搭乗するシーンもそうですし、「僕は、エヴァンゲリオン初号機パイロット、碇シンジです!」と指揮官であるお父さんに言い放つシーンも感動的です。
でも、エヴァンゲリオンのファンなら“ヤシマ作戦”を推す人も多いかもしれません。ヤシマ作戦とは、使徒を倒すために日本中の電力をストップして、全てを電子砲に集めることです。電子砲で見ごとに使徒を撃破したあと、それまで無表情だった綾波レイが、碇シンジに笑いかけるシーンは、作中屈指の名シーンでしょう。
ちなみにこのシーンで、綾波レイから「ごめんなさい、こういうとき、どんな顔すればいいのか分からないの」と言われた碇シンジが、「笑えばいいと思うよ」と返したセリフがとても印象に残っています。
そこでふと気になりましたが、今の日本でヤシマ作戦を実行しようとすれば、いったいいくらかかるのでしょうか。
日本中の電力をストップするなんて、ITが根付いた現代日本では正直考えられません。ただ、「人類壊滅の危機」だとすれば理解が得られるかも、だとしても莫大な金額が必要になるはず。こういった経緯です。
調べてみたところ、もし今の日本でヤシマ作戦を実行すると、約5600万世帯の電気を止めることになります。2014年の段階で全国の平均世帯人員は2.49人。それから2~3人世帯の平均電気料金は1日あたりで約315円です。
作中では一時的に日本の電力を停電させていますが、ここでは丸々1日止めることにしてみると、なんと合計で約180億円もの金額に上りました。つまり、ヤシマ作戦は180億円相当の費用がかかっていたかもと言えます。
180億円をどう使うか?
先述した通り、作中内での使徒という怪物は、人類を壊滅に追い込んでしまうほどの驚異的な存在です。そんな相手を180億円で倒せるというならどうでしょうか。もしあなたが180億円を持っていたら使徒を倒すのに使うのでしょうか。
180億円といえば、ソフトバンクの孫正義社長が、日本とアメリカに大豪邸を購入した資金として話題になった金額です。2つの豪邸を合わせた敷地面積は、なんと東京ドーム約1個分に相当するとか。
アメリカの豪邸には10台以上は停められる駐車場を、日本の豪邸にはゴルフの打ちっぱなしができる場所や25メートルプール、さらにはボウリング場まで備えていると聞きます。大層な豪邸であることが分かりますが、このように180億円もあれば誰もがうらやむような生活が手に入るわけです。人類を守るのか、それとも自分の贅沢に使うのか、とても難しい選択肢になってきました。
しかしですね、180億円という金額は、お金持ちからすると、そうたいした数字ではないのではないでしょうか。「たった180億円で人類が守れるのか?」と、世界中の富豪が続々と手を挙げる様子がありありと浮かびます。
何が言いたいのかというと、私なら自分のために使ってしまうということです。だからあなたには、きちんと人類を守るために使っていただきたいですし、使わないにしても「出します!」と全世界に表明してほしいです。世界の未来はあなたにかかっています。
(文/吉松京介・エストリンクス)