風俗嬢のリアルな給料・年収事情
「今、女子大生が充実した学生生活を過ごすべく、身体を売って学費を稼いでいる――。」2015年10月13日に発売された『女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル』(中村敦彦著)は、女子大生が風俗嬢を選ぶ理由に迫った衝撃の作品だ。
今回は、私が敬愛する中村氏の著書発行を記念し、風俗嬢のリアルな年収事情をまとめた。
【この記事の目次】
風俗はセーフティネットになりうるか?
風俗嬢というと、世間一般的にはネガティブなイメージがある。しかし中村氏によると、当の女子大生風俗嬢たちは「風俗を選んでよかった。」と口をそろえて話したという。事実、長引く不況で親からの援助は期待できず、仕事先は時給の低いブラックバイトばかり。向学心があり、親を想う気持ちの強い女子大生たちは、学費を稼ぐために自ら風俗嬢の道を選んでいるわけだ。
「即金で30,000円をもらってすごいと思った。」
と、喜ぶ女子大生もいる。すぐに手に入る30,000円は、大学生にとってどれだけの価値があるか、お分かりいただけるだろう。
NHK『クローズアップ現代』は、「10代から20代で貧困に喘ぐシングルマザーの生活を保障する風俗産業は、セーフティネットだといわざるを得ない」と解説し、実際の体験談をもとに若い女性の“リアル”を取り上げている。若い女性が風俗を選ぶ理由として、風俗店が住居や託児所を用意してくれるからというケースが珍しくないからだ。
ただ暗い話ばかりではない。中村氏は著書『日本の風俗嬢』で、「高級ソープランドでは月収128万円を稼ぐ女性がいるのではないか」と、自身の調査に基づいた推計を発表した。
国税庁のデータに基づけば、年収1000万円以上の女性は1,000人中わずか6人に過ぎないが、売上から高額のバックを受け取ることができる風俗嬢は、その夢が見られる職業のひとつだと言える。
風俗産業は、親の援助が期待できない女子大生や年収100万円台以下のシングルマザーなど、複雑な家庭事情に悩む若い女性たちの働き口となっている。さらに、環境や本人の努力次第では高所得者層の仲間入りをすることも可能だ。
風俗嬢は、彼女たちを絶望から救い、夢を見せる職業なのかもしれない。
地方の風俗嬢の給与はサラリーマン並み
このような情報を読んで、「私も風俗嬢になったら稼げるかもしれない。」と安易に「風俗嬢への転職」を検討する人もいるかもしれない。しかし、現実はそう甘くない。
風俗がセーフティネットとなりえるのは、あくまで20代までの話だ。30代を過ぎると、「貧困から抜け出せない。」と嘆く風俗嬢が途端に増えるという。彼女たちは、毎日身体を売っているのに日当15,000円も稼げていないのが現状だ。
年齢だけでなく、地方勤務というだけで収入が減っている可能性もある。中村氏が風俗嬢の給料事情についての回答を集計したところ、「地方のデリヘルでは月収25万円、ピンサロでは月収22万円程度」だったそうだ。おそらく、彼女たちの年収は300万円にも満たないだろう。
高い収入が得られるのは、東京のクラブなど、都会にある高級店や有名店にほぼ限られているのが現状だ。風俗という危険がともなう仕事に就いても、大卒初任給程度の年収しか稼げないなら転職を考えてみてはどうか。
風俗嬢ほど不安定な仕事はない
残念ながら、風俗嬢の商品価値は若さと、採用されたお店によるところが大きいのが現実だ。店によっては最初から厳しいノルマが科されている一方で、給料平均はそれほど高くないことも少なくない。
求人情報誌やサイトに掲載されている風俗求人を見ると、給料システムはほとんどが歩合制。店によっては日払いのところもあるが、一般的な月給制や、ましてや保証時給がある店などほとんどない。高収入を得るには、ランキング上位の人気キャストになって指名客の数を増やし、指名料バックやドリンクバックを得るしかない。
店側のシステムにもよるが、「居心地がよいから」と、風俗嬢を続けていると、一時的に稼げたとしても年々収入は減少していくのだ。
さらに、出ていくお金も少なくない。例を挙げると、遅刻・欠勤のペナルティや店舗へ支払う雑費(店舗運営にかかる諸経費)、衣装代、ヘアメイク代、仕事で使う携帯代といった電話料金などにより、風俗嬢の年収は想像以上に少なくなっていく。
安定した収入や社会保障はない。いつクビになるかもわからない。最悪の場合、死に至る他にも、性病に感染するリスクもある。不安材料だらけの風俗産業をセーフティネットと呼ぶのは、ちょっとふさわしいとは言えないだろう。
風俗嬢に求められる素質とは?
風俗嬢として成功を収めるには、天賦の才とたゆまぬ努力が欠かせない。では、もし風俗で働くとして、きちんと稼ぐためにはどんな素質が求められるだろうか。
- ルックスおよびプロポーション
- サービスレベル
- 接客および営業スキルとタフなマインド
ルックスおよびプロポーション
まず、生まれ持ってのルックスやプロポーションは大切だ。男性心理を明け透けに話してしまうと、これらは風俗嬢の価値を大きく左右する。現実問題として、どうしてもスタイルのよい美人が好まれるのは仕方ない。しかし、顔やスタイルは怠慢によってすぐ劣化する。風俗嬢には、芸能人並みの美意識や自己管理が求められるのだ。
サービスレベル
プレイ中のサービスレベルは経験や知識の差が出る。性行為や快楽を得る方法を貪欲に追求し、実践しなければならない。お客に満足な体験を与えるための風俗嬢としてのプロ意識、そして向上心が求められるということになるだろう。
接客および営業スキルとタフなマインド
そして、会話をはじめとする接客・営業スキルやマインドも重要なポイントだ。色恋商売という側面もある風俗産業は、男性客に恋愛感情を抱かせるだけで収入が大きく変わる。男性からの指名本数が多ければ多いほど収入も増えるし、指名料自体も上げることができる。もちろん、相手に対して罪悪感を持つ方もいるだろう。これを乗り越えて、レベルの高い接客や営業をこなさなければならない。
風俗嬢は楽に稼げる仕事ではない
中村氏は、「自信がないなら風俗嬢にはなるな」と、持論を展開している。たしかに、風俗嬢はアスリートや個人事業主並のプロ意識が求められる厳しい職業だ。
加齢や自らの怠慢によって、将来の貧困や性病感染など、新たな破滅を招く危険も決して小さくない。「楽して稼げる」と勘違いしているなら、風俗の世界に飛び込むべきではないだろう。
キャバクラ嬢の平均年収は何円なのか?
以前、新宿歌舞伎町で人気No.1のキャバ嬢、愛沢えみりの年収が2億円と話題になった。実際、「月収100万円稼げた!」という体験談を語る人も多く、キャバクラは儲かると感じる方もいるかもしれない。
しかし、なんとキャバ嬢の平均年収は384万円だというデータもある。私は、都内に暮らす友人のM子ちゃん(元キャバ嬢、27歳)に取材してみた。
No.3キャバ嬢のM子ちゃんと待ち合わせ
M子ちゃんとの待ち合わせ場所は、渋谷駅前にある某カフェ。私はソイラテをオーダーし、待ち合わせ時間の5分前から待っていた。このカフェに来たときは、ソイラテを頼むと相場が決まっている。
さて、M子ちゃんが来る前に、少し彼女のことを紹介したい。ルックスは内田有紀に似ている。
「“汚部屋”になるほどガサツな性格」
「常に声が酒焼けしている」
「髪型とファッションが奇抜」
「朝に弱く、よく遅刻するタイプ」
「男勝りな性格」
「現在の仕事はFXトレーダー」
など、キャラが濃く、話題には事欠かない。しかし、彼女でも店内No.3のキャバ嬢になったことがあるらしい。世の中はよくわからない。
一杯目のソイラテを飲み終わる頃――およそ30分経っただろうか、ようやくM子ちゃんが「ごめ~ん!」と言いながらやってきた。いつものように、酒焼けで若干声がしゃがれていた。昨日もかなり飲んだと思われる。
年収384万円はガチ!意外と稼げないキャバ嬢
お互いの近況報告もそこそこに、私は「M子ちゃん、キャバ嬢の平均年収が384万円ってホント?」と尋ねた。
M子「ちゃんと計算したことはないけどホントかも!キャバ1本で働いても、月10万円~15万円しか稼げないときもあるよ。副業の子はもっと少ないかも。まぁ、稼げなかったのは、大体1週間くらい仕事を休んで旅行したときかな(笑)。一番よかったときは60万円くらいだったと思う。」
意外や意外。1週間休んでいたとは言え、キャバクラだけで働いていても月収20万円以下ということもあるそうだ。「じゃあ、一緒に働いている女の子はどうだった?」と、続けて尋ねた。
稼ぐキャバ嬢は勉強熱心
M子「みんなが“姉さん”って呼んでた人は、一昨年の年末に90万円くらい稼いでいたみたい。お客さんへのメールもマメだから指名(※1)も多かったし、いつもニュースや本を読んで勉強していたとか。私も、今の仕事で参考にしてるよ。」
(※1お客様が別料金を払って特定の女の子と遊ぶこと)
かわいかったり、美しかったりするだけでは、キャバ嬢は務まらないらしい。とくに、25歳を過ぎると稼ぎは一気に悪くなるらしく、この年齢を境に、人間性を磨かなければ指名数も給与も減ってしまう。
身の危険も?キャバ嬢の仕事は稼ぎの割にハード
キャバ嬢の平均年収384万円説はどうやら事実らしい。短期間なら稼ぎがいい職業だが、水商売ならではの波があるということだろうか。ついでに、「キャバ嬢の仕事ってどこが大変?」と尋ねた。
アフターで襲われそうに
M子「お金を使ってくれるお客様にはアフター(※2)も付き合うけど、襲われそうになることもあるから、自分の身を守るのは大変だった。」(※2業務後にお客様とプライベートで遊びに行くこと。キャバ嬢は営業テクニックとしてよく行う。)
いわゆる“枕営業”を積極的に使う女の子もいるらしい。M子ちゃんは頑なに「枕営業はしない」と決め、トーク1本で勝負していたようだ。そして、なかには困ったお客様もいるようで……。
SNSでプライベートを詮索される
M子「TwitterとかFacebookとかのSNSを見てプライベートを詮索するお客様も多かった。」
プライベートの息抜きとしてSNSを楽しむキャバ嬢は少なくない。しかし、キャバ嬢に本気で恋をし、プライベートを詮索するお客様もいるという。職業柄、有名税のようなものかもしれないが、とりわけ面倒だったそうだ。
キャバ嬢で稼ぐための道のりは険しい
じつは、私は一度だけM子ちゃんが働くキャバクラへ訪れたことがある。店内での彼女の姿は、冒頭で話した「ガサツで、奇抜で、酒焼けして、男勝り」というキャラクターからはかけ離れている。
彼女と一緒に飲み、お酒を楽しく飲めるという男性も多かったのだろう。「キャバクラはハードだから辞めたい」と、しばしば愚痴をこぼしていたが、仕事中はそんなそぶりは見せない。女性らしいふるまいとサービス精神旺盛なキャラクターで、プロフェッショナルな仕事ぶりを見せてくれた。
キャバ嬢で稼ぐためには覚悟と努力が必要
キャバ嬢で稼ぐためには覚悟と努力が必要だ。この仕事は、見た目も内面も磨き続け、お客様に夢を売り続けなければならない。あらためて、M子ちゃんにお金を稼ぐ難しさを教わったように思う。