アベノミクスで景気は上向きになっていると言われている中で賃金の値上げやボーナスの値上げなどのニュースもあるのですが、一体それはどこの国の話なの?と思う人も多いのではないでしょうか。
アベノミクスなんて一部だけの話でその恩恵に預かれずに過酷な状況に置かれている業界も少なくありません。長く不況が続いていると言っても良い日本ではここ15年ほどで平均年収は60万円近く減っています。
こんな状態が続く中で日本では働いても働いても収入に反映されないからと、私たち日本人の中には今急速に発展しているアジア諸国に目を向ける人もいるのではないでしょうか。
ではそんなアジア諸国で働いた場合どのくらいの年収を得ることができるのでしょうか。
アジアの中では日本人はお金持ち?
アジアの中で日本は先進国です。毎年世界各国から就業や留学のために多くの外国人が日本に来ています。観光目的の旅行でも多くの外国人が来ていますね。
日本企業が外国人労働者の受け入れを積極的に行っていることから特に海外からの就業目的での渡航は右肩上がりで伸び続けています。そして外国人のほとんどがアジアの国々から来ています。
この理由のひとつになっているのが日本という国のブランド力です。最先端の技術や医療、教育の充実、遺産や芸術、文化などの充実などあらゆる面での評価が高く国のブランド力に関しては世界でも随一です。
では日本人はアジアの国々の中ではお金持ちなのでしょうか?
アジアの中で見る日本人のレベル
日本人の2015年度の平均年収は440万円でした。物価の違いや豊かさは別として平均年収だけで見ると平均的な収入を得ている日本人でも世界では上位1%のお金持ちなんです。
ではアジア諸国におけるGDPで比べてみましょう。
日本人の一人あたりのGDPは45,870ドルとなっています。香港の場合は一人あたり34,970ドル、韓国の場合は一人あたり22,424ドルと続いていくのですが、シンガポールの一人あたりのGDPが50,000ドルで一位となり日本は二位につけています。
日本の一人あたりのGDPはアジア最貧国と言われているバングラデシュの約60倍、急速に発展している中国の約8.4倍、日本からの移住も増えているマレーシアの約4.6倍にもなるのです。
アジアの中で比較するだけでもこれだけの格差があり、日本人はアジア諸国の中でもお金持ちと言えるのではないでしょうか。
日本人はアジアで稼ぐならどこの国?
アジアの諸国の中で見ると日本人はお金持ちとは言っても経済は縮小を続ける一方で将来が見えない、今の収入に満足することができない、ちっとも豊かだと思えないという人もいるでしょう。
アジア諸国から日本に働きに来ている外国人のように日本人もアジア諸国に目を向けてアジアで稼ぐ人材になろうと考えるとしたらどこの国がいいのでしょうか。
アジアの主要な日系企業で働く際の給与水準
海外で働きたいという日本人が増えているなか、実際にアジアで働いた場合どのくらいの年収を稼ぐことができるのでしょうか。その一例をお見せしましょう。
シンガポール
- 化学品メーカーの営業職・・・約390万円
- 建築業の施工管理・・・約660万円
上海
- 貿易会社の財務マネージャー・・・約656万円
- 広告会社のディレクター・・・約278万円
インド
- OA機器メーカーの営業職・・・約420万円
- 旅行会社の営業職・・・約268万円
となっています。
営業職やマネージャークラスになると日本で働くのとは変わらない水準の給与を得ることができるとわかりますが、東南アジアやインドなど国や地域によっては管理職などであっても日本人の平均年収以下の収入になってしまいます。
日本で稼げない人は海外に行っても稼げない?
日本での給与に満足することができない、あるいは稼ぐことができないから海外に目を向けるというのは将来性などを考えると間違っているとは思いません。ですが日本で仕事ができずに稼げていない人となれば話は別です。
実際に今現在海外で活躍して高収入を得ている人のほとんどは日本でも仕事ができる人たちです。つまり日本で成功できないのであれば海外に行っても成功することはできないでしょう。
もちろん仕事を選ばなければアジアで働くことは可能ですが、そのためには語学力は必ず必要になりますし、海外では日本での常識が通じないことも多くあります。
アジアなどの海外で働きたいと考えるのであればまずは日本で仕事ができると思われることが重要であり、その先に海外で働くという夢を持つべきではないでしょうか。
そこで次に紹介するのが日本での仕事を評価されて次のステップとして海外に派遣されているのが日本企業の海外駐在員です。
アジア各国で働く駐在員はリッチ?
ユニクロなどのファストファッションが流行っているなか、低価格で商品を提供できる裏側には人件費を抑えることができるアジア諸国への企業の進出などがあります。また日本の企業の中にはアジア地域のインフラ設備などを整えるために進出している企業もあります。
日本だけではなくアジアに進出をして市場を拡大している企業が多くある中で、実際に現地に赴任している日本人がいます。
日本法人に雇用されており、会社命令で海外拠点に赴任している人のことを駐在員といい、世界各国にこういった形で赴任している日本人が多くいます。
そんな中でもアジア各国に駐在している駐在員の多くはリッチな生活をしていると言われているのですが、どのくらいの年収をもらってどんな生活をしているのでしょうか。
駐在員は日本で働いていた時よりも高い役職に就くことが多い
現地の拠点でマネジメントや技術指導をするために駐在員になることがほとんどであり、日本で働いていた時よりも高い役職になることが多くなっています。
これに伴って日本での給与に比べて20%から30%アップすることが多いようです。これにプラスして赴任手当などの各種手当が入るとかなりの額になります。
中には日本の企業から海外の企業に出向することで2つの企業から給与が支払われているという人もいるほどです。
タイの駐在員の場合
世界三大スープのひとつであるトムヤムクン、豪華なビーチリゾート、東南アジア随一の都会、タイのイメージはこんな感じでしょうか。微笑みの国と言われるタイには毎年多くの日本人旅行客が訪れ、移住する日本人も増えています。
日本の3分の1程度の年収で暮らすことができる物価の安さから、タイで暮らす日本企業の駐在員はとても快適な生活を送っています。
例えば居住環境です。6万バーツから7万バーツほどの物件であれば、バンコクでも一等地でプールやジムが完備された最高級物件に住むことも可能です。さらに企業が家賃負担をしてくれることもあります。また企業によっては会社への送迎のために車とドライバーが付与されることもあるようです。
この他にも日本人が多く移住していることから日本食や日本のものにもあまり困ることがなく、街中にも日本語が溢れており、年中常夏となるのでネクタイやスーツなどを着用することはないなど、メリットは豊富にあります。
アジアで働くことで日本にいるよりも多くの年収を得ることができるのが日本企業の駐在員であり、より稼ぐことを目的にするのであれば駐在員を目指すべきでしょう。
何がなんでもアジアで働きたいと思うのであれば現地採用を目指して転職活動をすることもできますが求人の数はかなり限られますし、現地採用で働くことができても年収は下がるのでチャンレンジしたいという強い覚悟が必要になるのではないでしょうか。
(文/中村葵)