リーマンショック以前には、賃貸は収入の3分の1が妥当だといわれてきました。例えば、月給が30万円なら家賃10万円の家に住むのが妥当、ということです。
でも、これは過去の話。近年不景気が続いていることもあり、収入の3分の1を家賃に当てていたのでは生活が苦しくなってしまいます。現代において、賃貸に住むなら家賃は年収の何%が妥当なのか、考えましょう。
なぜ人は妥当な家賃金額を決めたがるのか?
そもそも家賃は安ければ安い方がいいような気がします。それなのに、どうして昔から「妥当な家賃」説があるのでしょうか?
それは、家賃が安いのには理由があるからです。例えば、あるアパートが一部屋だけ低価格の家賃で貸し出しているとします。その部屋はきっと日当たりが悪いか、風通しが悪くてカビが生えやすいか、何か理由があるのです。
あるいは、外見はリフォーム済みでキレイでも、実は築何十年も経っていてあちこち故障しやすい、ということもあります。
家賃の額と、住み心地は直結している部分があるのです。それで、家賃が高い賃貸で快適な生活がしたいと思う場合、収入の何%までなら払えるか、その妥当さは人々の関心の的になってきたのです。
賃貸は収入の20%~25%が妥当
冒頭で触れたように、少し前の時代は家賃は収入の3分の1が妥当だと言われてきました。では、最近ではどうなのでしょうか?最近では、家賃は収入の20%~25%が妥当だと言われています。
どういうことかというと、年収500万円なら、月給は約40万円なので、家賃はその20~25%である8万~10万程度が妥当であり、年収1000万円なら月給は約80万円なので、家賃は16万~20万円程度まで許容できる、ということです。
ところで、世の中の会社員の平均年収は400万円代ですね。平均年収を稼いでいる人は、いったいいくらの賃貸に住めるのでしょうか?
月給が33万円になるので、その20%というと6.6万円です。さて、家賃を6.6万円に抑えるとしたら、どんなところに住めるのでしょうか?
家賃6.6万円ならどんなアパートに住める?
家賃6.6万円のアパートで検索してみると、たくさん物件が出てきました。6万円代の物件に多いのは、駅から徒歩10分~15分程度の立地で、築20~30年経っている、古めのアパート・マンションです。
いくつか例を挙げてみましょう。
物件A・山手線新宿駅から徒歩15分
山手線新宿駅から徒歩15分のところにある1Kのマンション。家賃は1ヶ月6.5万円。広さは18平方メートル。築28年で古いですが、外側も内側もリフォーム済みで外観はとてもきれいです。
南西向きなので日当たりも良さそうです。お風呂とキッチン付近に窓がなく、風通しはイマイチなのが残念。でも、安全重視の一人暮らしの女性には、むしろ好条件かもしれません。
この住みやすさでこの安さなのは、駅から徒歩15分と、少し遠いからだと思われます。電車通勤なら、自転車があると便利かもしれません。駐輪場代はかかってしまいますが…。
物件B・山手線高田馬場駅から徒歩3分
山手線高田馬場駅から徒歩3分のところにあるワンルームマンション。家賃は6.3万円。築32年と少し古め。広さは15.8平方メートル。
この物件の魅力は、テラスの先にお庭が付いていることです(1階のみ)。南西向きなのでお昼近くから夕方にかけて陽が当たります。
リフォームはキレイにされているのですが、築30年を超えていることもあって、どことなく作りが昭和の香りがします。靴箱の仕切りが年季の入った木の板だったり、お風呂のタイルがところどころ原色が使われている辺りでしょうか。
物件C・山手線目白駅から徒歩4分
山手線目白駅から徒歩4分のところにある広さ17平方メートルの1Kです。家賃は6.6万円。築23年ですが、リフォームはキレイにされており、センスの良いデザインです。
床が明るめのフロアで、壁や部屋のドア、キッチンのタイルがオフホワイト、窓が広めにとられており、照明も明るめなのもあってとても明るい印象を受けます。
窓が曇りガラスになっていて格子も付いており、安全面で工夫されているところがいいですね。
筆者は個人的には物件Cが気に入りました。安全面での気配りと、モダンな雰囲気がいいと思いました。それに駅からも近いです。都内で仕事をするなら、こういうアパートに住みたいですね。
(文/河原まり)