「資産って、どのくらいある?」……そう聞かれたら、一体何を想像しますか?銀行口座の残高でしょうか。一瞬、「資産?」と首をかしげてしまう人もいるかもしれませんね。一方、「貯蓄って、どのくらいある?」だとしたら、すぐに答えられる人が多いでしょう。これは、銀行口座の残高を聞かれている質問です。
【この記事の目次】
資産と貯蓄の違い
資産と貯蓄は、似たものではありますが、少し意味が違います。資産というのは、貯蓄よりも広く財産全般を表す言葉です。つまり、資産の中のひとつの形として、貯蓄(=現金や口座残高)があるのです。
貯蓄は、銀行に預けているお金や手元の現金ですから、国家が転覆するほどのトラブルが起こったり、泥棒に入られない限りは安全です。だからこそ、多くの人が将来のためにお金を貯めたり、資金計画を立てたりするのです。
一方の資産には、不動産や株式、金、投資信託などが含まれます。これらは、景気や金融情勢によっては値崩れするリスクをはらんだものです。しかし、リスクがある一方で、大きく値上がりして利益を生み出す可能性もあります。
また、不動産や株式を持っている場合は、家賃収入や配当金などで定期的にお金を受け取る仕組みを作ることもできます。僅かな利子しかつかない貯蓄とは異なり、資産の中には、お金を生み出す力を持っているものがあるのです。
貯蓄は必要?
お金が増える喜びを知ることで、貯蓄もそこそこにほとんどすべてのお金を投資に回してしまう人もいます。しかし、これは非常に危険なことです。いくら不動産を持っていても、急病で10万円必要になった時、すぐに換金することはできません。タクシーに乗りたい時も、お祝いを包みたい時も、土地や株券、金(きん)では役に立たないのです。
貯蓄は、いざという時のための生活防衛のためにも絶対に必要なものなのです。投資というのは、お金が減るリスクもはらんでいるものですから、あくまでも余剰資金で行うのが鉄則です。
どのくらい投資する?
一体どのくらいを投資に回して、どのくらいを貯蓄として現金で保有するかは、その人の生活の仕方や貯蓄額によって異なります。
ケース1.月収20万円で貯蓄50万円(独身・30代)
月収20万円のサラリーマンで、貯蓄は前に辞めた会社の退職金の残りの50万円、というような人は、まず投資ではなく貯蓄をしましょう。毎月の給料の中から貯蓄ができていない状態で、リスクのある投資に手を出すのは危険です。
ケース2.月収20万円で貯蓄100万円(独身・30代)
毎月貯蓄ができているのであれば、貯蓄の3割程度を投資に回してみるのも良いでしょう。月の生活費の3か月分をキープしておくようにしてください。
ケース3.月収30万円で貯蓄300万円(妻子あり・30代)
まずは年間の生活費と貯蓄額を確認してみましょう。コンスタントに貯蓄ができているのであれば、子どもの学費などを確保した上で投資に挑戦するのも良いでしょう。
ただし、なくなってもいいと思える程度のごくわずかな額に留めるようにして、最低でも半年分の生活費にあたる貯蓄をキープするようにしてください。
投資に回す金額を考える時のポイントとしては、次の2点があげられます。
ポイント1.生活防衛費を必ず別に確保しておく
独身なら生活費の3か月から半年分、家族がいるなら半年から1年分ほどあると安心です。また、子どもがいる場合は学費も念頭においておく必要があります。
ポイント2.年齢があがるにつれて投資割合を減らす
20代と50代では、同じ300万円の貯蓄があったとしても、投資に回すべき金額は異なります。若いうちは、投資で失敗してもまだまだ長く会社勤めをするわけですから、穴埋めもできるでしょう。しかし、50代、60代になってから投資で失敗をすると、なかなか挽回することができないのです。
ある程度の貯蓄を確保したら、投資にチャレンジしてお金を生み出す仕組みを作ってみましょう。
(文/平野恵子)